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夢幻 ~一生懸命

小学二年の夏、TVで観ていた甲子園
「この瞬間こそが人生」とばかりに駆け抜ける青年
それに夢を託すかのように一喜一憂し声援を送るアルプススタンド
「この胸の躍動は何!? 俺もそこにいたい!」
次の日、目に星を浮かべグローブとバットを持った自分は
近所の空き地で三角ベースの仲間に入れてもらった

バットを振ってもボールが当たらない
当たってもボテボテの内野ゴロ
守ってはボールは股の間を通り過ぎてゆく
そんな繰り返しを重ねていた

当時年長の友達二人がリーダーとなりジャンケンでメンバー割をしていた
勝った方が自分のチームのためにドラフトしてゆく形式
自分はいつも最後まで残され且つジャンケンで負けた方に引き取られた
それでも人数合わせがあるからリーダーはしぶしぶチームに入れてくれた
お決まりのセリフは「おまえが来たから今日は負けるわ!」
それでもヘラヘラ笑みを浮かべて「頑張る!」という自分がいた
惨めさも悲しさもなんとか押し殺しながら笑った
野球ができなくなるのは寂しいし怖かったから

ある日、「子供会対抗の大会」のために仲間たちが集まった練習で
中学生の先輩がコーチとしてノックをしてくれたが
どうしても自分はトンネルかはじいてしまうかを繰り返していたら
そのコーチが怒り出して、バットを放り出し帰ってしまった
その後、仲間たちに詰め寄られて口々に「おまえのせいだ!」と責められた
申し訳なさと情けなさに泣けた
一生懸命やってたんだけどな・・・

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