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夢幻 ~夢のステージへ

高校進学
迷うことなく野球部の門を叩いた
やっと夢の章が始まる このために打ちのめされてもやってきた
同期の仲間を見ると 各中学で活躍していたやつもそこそこいた
初日からレギュラー組の先輩方に交じり練習に参加している奴もいる
そんな景色を見ているとさすがに気後れしている自分を見ずにはいられない
それでもやる! やるしかない! 3年あるんだ 自分にはできる!
そう信じて・・・いや「信じなくてはならない 信じない自分は認めない」
ビビる心を力づくで押し込めようとしている自分がいた

1年生とはいえ 同期の奴らの半分は中学時代の活躍を知られていて
次々と試されてはレギュラー組入りしてゆく
当然ながら「キングオブ無名」の自分と数人に声がかかる事はなく
ひたすらランニングとグラウンド整備 キャッチボール 
レギュラー組が練習しやすいようにあらゆるサポート(使用人的立場?)
心で誓う「いつかきっと!」
そんなシーンが1年半延々と続くのだった

いつのまにか自分の希望する守備位置さえわからない状態だった
「下働き中心でその合間での短い練習参加しかしてないし
『定位置』での守備練習などしたこともないのだから仕方ないよ」
そんな「今の自分は〇〇のせいで」というような
他者依存的な思考になっていたにも拘わらずそれに気づかず
「俺はよくわからないけど頑張っているんじゃないかな」という
ガラスのようなプライドだけは持っていた
今なら思う
本気だったら「やり方 自身の高め方」は他にあったはずだ
他者をみて学ぶとか自主練の時間を創る等々・・・

自分の状況を顧みることもなく指示があったことを
意見を押し殺して(意見など無い あっても自分が間違っていると
自分に言い聞かせ)ただ従っていることを「俺は頑張っている」と定義
そして皆と同じ時間から始めて自分に与えられた役割をこなし
皆と同じ時間に練習をあがることになんの疑問も持たずに日々を過ごした

2回目の夏が終わりいよいよ「自分たちの代」の幕が上がった
「やっときた!」という期待があったのは事実
しかしながら力の無い者が「皆と同じ」を繰り返していながら
「何かを掴める」と漠然と思う 夢のステージに立てると思う 
滑稽・・・いや自分に無責任な夢の見方である
実際は何ひとつ準備などしていない
そんな状態からレギュラーを狙う闘いに入ろうとしていたのだ


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