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集団免疫を達成することはどういったことなのか?(5月7日こびナビClubhouseまとめ)

こびナビ広報

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2021年5月7日(金)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:岡田玲緒奈

岡田玲緒奈
皆さん、おはようございます!
こびなびの医師が解説する世界の最新医療ニュースということで…

では今日の雑談を安川先生、お願いします。

安川康介
わかりました、えっと、古事記の話からでよろしいですか?

岡田玲緒奈
いいですねえ。古事記、まだあるんですか?

安川康介
まだいっぱいネタはあります。
いま古事記って言っているんですけど、昔はもしかすると「ふることぶみ」っていわれていたかもしれなくて、読み方もちょっとはっきりしないということがあります。

岡田玲緒奈
(爆笑)
何者なんですかね、安川先生。ちょっとわからなくなってきましたけど…
ありがとうございます。ということでもう始めちゃっていいですか?
今日は分量が多いんですよ。

木下喬弘
じゃあ始めなさいよ!


【アメリカはなぜ集団免疫達成について悲観的なのか】

岡田玲緒奈
ではさっそくニュースに入ります!
これは5/3のニューヨーク・タイムズから
「Reaching ‘Herd Immunity’ Is Unlikely in the U.S., Experts Now Believe」
https://www.nytimes.com/2021/05/03/health/covid-herd-immunity-vaccine.html
出典: The New York Times 2021/05/03

アメリカの複数の専門家が集団免疫無理かも…と言っているという、個人的にはショッキングな記事が出ていましたので、取り上げてみます。

まず大前提として一気に広く国民の接種率を上げられれば、イスラエルのように一国の中で集団免疫らしきものが達成できるとこの番組をお聞きのかなりの方がおわかりだと思います。

ではアメリカに足りないものは何か、ということになります。
現在アメリカでは成人の半数以上が少なくとも1回は予防接種を受けるというペースになっていますが、各種の報道でも取り上げられているように、1日あたりの接種数が落ちてきているんですね。

この流れが続くと集団免疫を達成出来ないと専門家が言いはじめていて、ウィズコロナしかねぇ…みたいなことが書いてあります。
入院するような重症例も出るし死亡例も出るけれど、今よりも小さい数字になるからもう許容するしかないという理屈なんですね。
この重症例・死亡例をどのくらいまで小さな数字に抑えられるかというのは、どのくらいの人が予防接種を受けるかと、どのような変異ウイルスが出てくるかによると。

現時点では予防接種のスピードは変異のスピードに対して遅過ぎると言っています。
この点はちょっとどうなのかな、と思っていて、僕は「そんなに変異のスピード速いですか?」と思ってしまいました。
こびナビをやるまではウイルスなんてどんどん変異するものだくらいのざっくりしたイメージで実際のスピードって考えたこともなかったので、あまり比較対象がなくてわからないんです。
しょうもない質問なんですけど、実際のところどうなんですかね?

じゃあこれはアペタイザー、安川先生ですかね。

安川康介
あ、これ、峰先生に行くと思ったんですけど…
今回のウイルスは RNAウイルスでも一番大きな種類のウイルスで、全長3万塩基長ある上、 RNAのウイルスではすごく珍しく「校正機能」がついているんですね。
つまり、ウイルスのゲノムをコピーする際に間違いを犯したら直すという機能がついています。だいたい月に2か所くらい変異が蓄積されていっているということがわかっていて、これはインフルエンザとか HIV に比べると全然遅いです。
なので、変異が遅いか速いかをいったら、これは比較の問題になるかと思うんですけれども、他の RNAウイルスと比べたら遅くて、これは今回ワクチンの開発という意味で有利に働いているのではないかな、と思います。

Eek と呼ばれる E484K というのが今注目されていますし、インドの L452R とか、いろいろ変異は出てきてはいます。しかし変異したら「何かを得るためには何かを犠牲にしなければいけない」ということがウイルスにもあって、変異し過ぎるとワクチンは効きづらいけれどもヒトの細胞に侵入しづらくなるとかいうこともありえます。今後どれくらい変異していくかというのはコロナと僕たちがどう付き合っていくかということに決定的な要素だとは思います。
結論から言えばそんなに速くはないと思います。

岡田玲緒奈
そうですよね。僕も同じような認識で、実際新しい変異はいろいろ出てきてますけれども、少なくともメッセンジャーRNAワクチンの効果というのはそこまで、悲観するほど落ちていないというデータが集まってきています。ですから、これはちょっと言い過ぎかなと思っています。

峰先生、その点どうですか?

峰宗太郎
はい、基本的にウイルスの変異は安川先生に説明していただいたように、他の RNA ウイルスなんかの方がずっと速いんですよね。
RNA ウイルスといってもいくつか種類があります。一本鎖(ss)だったり二本鎖(ds)だったりポジティブ鎖やネガティブ鎖など、いろいろあります。また、二本鎖DNA(ds-DNA)のウイルスもいたりいろいろあるんですけど、変異速度としては今回の新型コロナウイルスはそんなに「極めて速い」というものでないのはラッキーでしたね。
そういう評価でいいと思いますよ。

※一本鎖RNAウイルス(プラス鎖)はゲノム本体がmRNAとして働き、ウイルスタンパク質を作り出すが、一本鎖RNA-ウイルス(マイナス鎖)は本体を鋳型に一旦mRNAを作り出し、このmRNAからウイルスタンパク質を作り出す。

岡田玲緒奈
ありがとうございます。
ちなみになんですけれど、E484K を「Eek( イーク)」と呼んでいるのは何でなんですか?

安川康介
いや、ただ呼びやすく「E」と「K」なんで「Eek」(気持ち悪いものを見た時にだす声の意味)と呼んでいるのかと。

岡田玲緒奈
ああ、なるほど、484は飛ばしてるんですね?

戻りますと、とりあえず高齢者や基礎疾患のある人、医療従事者のようにコロナに暴露の機会が多い人というのはどんどん接種を進めていかなきゃならない。
そうしなければ感染爆発がやはり抑えられないというところはもちろん変わりないです。

エモリー大学の進化生物学者の方は「コロナウイルスはいなくならない」と言っていて、許容できるくらいマイルドな感染症になるにはどうしたらよいか考えようという方向にシフトしていると。
ファウチ先生(NIAID、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長)は「人々はみな集団免疫獲得までは感染状況は改善しない、そもそも何%だとそのようになるのかわからないけどと混乱している。」として、とりあえず古典的な意味での集団免疫のことは置いておいて、十分な人に予防接種をすることができれば感染症は落ち着いていく、とシンプルに考えようと言っているそうです。

新型コロナウイルス感染症が世界中に拡大した時から、これを終わらせるにはみんなが罹るか予防接種するか、いずれかで免疫を獲得するしかないと言われて、いわゆる集団免疫の獲得を目標にしていたと。
以前は60~70%の人が免疫を獲得するのが集団免疫になるのではないかと言われていました。しかし今 B.1.1.7 の伝播性が60%くらい上がっているのではないかと考えられていて、これが蔓延しているために、免疫獲得率が80%くらいにならないとだめかもしれないともいわれています。
そして、伝播性がもっと高いとか、ワクチンを打った人でも伝播はしてしまうとかそういう変異が出てきたら、集団免疫を獲得するには免疫獲得率をもっと高い数字にしなければならなくなるということになってしまうわけです。

世論調査によればアメリカの30%の人がまだワクチン接種をしたくないと言っているという話もあるということで、情報提供などでもう少しましな数字になるかもしれないのですが、それでも90%の人が接種するとかにはならないのではないかと、ハーバード分校の先生も言っているということです。

ここで余談なんですが、先日この番組でも話題になった Hotez 先生の Podcast を最近聞いていまして、Republican、つまり共和党支持者がそれはもうワクチンが嫌いな人が多いと言っています。

Hotez 先生の Twitter アカウント
https://twitter.com/PeterHotez) / Twitter

Hotez 先生、蝶ネクタイで小児科医でぱっと見かわいい感じなんですけど、しゃべっているのを聞くと結構武闘派な感じで、若干峰先生を彷彿とさせることがあります。
なんで政治的信念とワクチンが関係あるんや!と僕なんかは思ってしまうんですけど、アメリカの先生方、ちょっとこれ、どういうことなのか教えていただいてもいいですか?

安川康介
詳しくはわからないんですけど…
確かに Republican、共和党支持者の方がワクチン忌避が強いというのはアンケート調査などでもあって、なんでそうなのかというのはちょっと僕自身わからないんですけど、元々共和党って小さな政府、Democrat(民主党)は大きな政府を支持しているというところがあって、ちょっと反体制的な人が多いのかなというイメージがあります。


岡田玲緒奈
ありがとうございます。
峰先生、何かありますか?

峰宗太郎
これ、アメリカでは特にワクチンに対する姿勢とか、コロナそのものに対する姿勢もなのですが、党派性を帯びちゃってるんですよね。
ただ日本でもどうかということを考えると YouTube などを観ていると傾向がわかりますよね。
日本でも政治姿勢といいいますか、イデオロギーといいますか、それぞれの心情的なものと絡まりやすいというところはあると思いますので、まあ、それはどこの国でもあることなのかなと思いつつ、アメリカはそこがちょっと激しいというのは事実だと思いますね。

岡田玲緒奈
ありがとうございます。
結局こういう「ワクチン絶対打たん!」みたいな人もいるわけなんですが、それは置いておくとして、地域差みたいなものも重要です。アメリカくらい大きな国だと国全体なら95%の人が打っていても、地域によってはまだ70%にしかなっていないこともありえるます。
そうすると地域的流行は続いて、そこでまた変異ウイルスの出てくる可能性があって…となるというんですね。

これはさらに世界規模で考えるともっと顕著で、どこぞの島国のように全然進んどらんやんけ!という国がオリンピックやると言っていたりして、そういうところからまた入ってきたりするかもしれないと。
記事の中でこの「どこぞの島国」は出てこないんですけれど、インドとかがまだ1%しか打っていないよ、というような話の例として出てきています。

「じゃあもう諦めますか?」というとそうではなくて、いわゆるノーガードでも感染が勝手に収束していくという集団免疫状態はとりあえずおいておいて、入院率や死亡率を下げることが重要なんだということです。
ハイリスク群に十分ワクチン接種を行き渡らせて、インフルエンザみたいな存在にしてしまえばいいんじゃないかというわけです。
ただしこれは基礎疾患のない若者でも重症になる人も頻度としては低いけれどいますし、ロングコビット、コロナ後遺症と言ってもいいですけれども、そういう患者さんも出るんだけれども、まあ医療体制がもつならいいじゃないかという、なんとも諦めムードな話です。

ただ可能な限り多くの人に予防接種するというコンセプトは変わらないということが最後の方に書いてあって、それを目指すのに「集団免疫だ!」と前面に押していくのではなくて、もっと個々人にとってのベネフィット、利益を強調した方がいいということです。
たとえば会いたい人に会えるようになるとか、子どもの学校が再開できるとか、そういうことですね。
ただしこれには最悪のシナリオも残されていて、それは全然ワクチンの効かない変異ウイルスが出てきて、「1からやり直し」みたいな場合ですね。
そういう場合も絶対になくはないので、予防接種率の向上は諦めてはならないと言っています。

最後に言っているのが、これがすごく共感できる部分だったのですが、変異ウイルスの細かいことを一般の人が気にし過ぎる必要はない、これは専門家が気にすることであって、やるべきこと、すなわち個々人が取るべき対策は何かという、基本に立ち返ろうと言っています。
これはエモい赤子👶がいつも言っている結論になっていて、弟子の私としては感無量と、そういう話でございました。
皆さん、ご意見ありますでしょうか?

峰宗太郎
いやいやいや、いつの間に弟子になったのか…ゲホゲホっすみません、おじいちゃんみたいになっちゃった(笑)

この記事読んだんですけど、すごくいいですよね。
皆さんどう思うか知りたいということがあるんです。
まず1つは今まで人類って、何度もパンデミックを味わっているんですよね。
ペストやスペイン風邪ももちろんそうですし、いろいろあったわけです。
人類はこれまでワクチンなしで徒手空拳のように戦ってきたんですよ、特にスペイン風邪はすごく流行った。
さてここで疑問なんですけど集団免疫って達成されたことがあると思いますか?これが皆さんの意見を聞きたい1個目。
またワクチンという武器がなく我々の祖先が戦ってきたこれらのパンデミックって集団免疫が達成されたから終結したと思いますか?それとも別の事由だと思いますか?というのが1つ。
それからもう1つは今まで起こったあらゆるパンデミック、エンデミック、エピデミックを含む感染症でこれほどまでに変異ウイルスの状況が調査された感染症というのはあったかどうか、そしてそれをそれだけ気にして研究して「ワクチンが効く・効かない」「伝わり方が変わる・変わらない」というのを大袈裟に騒いだ感染症はあると思いますか?

この2点、皆さんの意見を聞きたいと思うのですが、岡田先生どうですか?

岡田玲緒奈
ありがとうございます。
これはですね、正直僕は専門知識としては全然持ち合わせていないわけですけれども、1つには変異している間に毒性というか病原性・病毒性といっていいのか、が勝手に落ちていっているという場合もあると思うんですよね。
それこそノーガードでバタバタと人を死なせながらもなんとか乗り越えた感染症などはそういった面もあるのではないかという風に思っています。
それと、普通にそこら辺のテレビのニュースはまだいいとして、ワイドショーのレベルでウイルスの変異の話をきちんとした基礎知識もない状態でやっているということにそもそもの違和感を感じていて、そんな中でこのように変異ウイルスに対してワクチンが効くか効かないか研究されているというケースは初めてなのではないかと認識していますが、いかがでしょうか?
他の方、何かありますか?

木下喬弘
これ、今3つありませんでした?

岡田玲緒奈
3つあった。僕の答え2つだったけど。3つの質問なんでしたっけ。

木下喬弘
ワクチンなしでパンデミックが収束したということがあったか、という問題と…

岡田玲緒奈
集団免疫を獲得したことによって収束した感染症があったか…

木下喬弘
そうですよね、そうすると2つじゃないの? 合わせて1つ?

峰宗太郎
まあ、1.5個ということにしましょう!

木下喬弘
私が答えていいですか?

岡田玲緒奈
どうぞどうぞ!

木下喬弘
それはだって天然痘とかワクチンで集団免疫を獲得して収束しているし、eradication(根絶)までいってますよね。
そういう感染症はたくさんあるし、麻疹・風疹とかもワクチンで集団免疫を獲得したというのはあるんじゃないですか?

峰宗太郎
おっしゃる通りで、天然痘は eradication しちゃったんですよね。
ポリオも地域的 elimination(排除)されているんですけど、パンデミックというものを起こした感染症に対してパンデミック期に集団免疫を獲得して、というような条件をつけるとですね、質問が意地悪くて申し訳ないですけど…
そういうものだと実はワクチンが開発されて以降のパンデミックってなんか自然に収まっているものが多いんですよね。
ワクチンが開発される前のパンデミックも実は自然に収まっているものも多いんです。
実はスペイン風邪ってなぜ収束したか、僕は文献をすごく探して、スペイン風邪のプロと言われるうちの組織のおじいちゃん先生にもお話を聞きに行ったことがあるんです。
「なんで収まったの?」と聞いたら「Hmm… Good Question!」と言われました(笑)

岡田玲緒奈
それ、先生たちふたりがよく言うやつじゃないですが、「いい質問ですねえ」って。

峰宗太郎
そうなんです、これ難しいらしくてですね、スペイン風邪は集団免疫閾値にはおそらく達していなかったと言われているんですね。
3年以内に収束したようだけどこの理由って未だにわからないらしいんですよ、面白いと思いませんか?

木下喬弘
これってインフルエンザの問題ではないんですか?
言い方が正しいかわからないですけど、インフルエンザって新型が出たらそのうち季節性に組み込まれていく、みたいなのがあるじゃないですか。

峰宗太郎
おっしゃる通りでスペイン風邪のラインってずっと残っていて、季節性インフルエンザになったんです。
通年性のパンデミックから季節性になった理由が実はわかっていないんですよね。
どこがどう弱毒化しただとか強毒株がどうなったかということもわかっていなくて、つまりその頃はモデリングもまあ大したものがないですし、しかも sequence(塩基配列の同定)などしていないので症状でしかわからないんですよ。
そうすると今回のコロナも季節性になるのか、とかそういうところの予測ってやっぱり難しいんじゃないかというところがあって、やっぱりそこに僕は興味を持っているんですよね。

木下喬弘
100%とは言いませんが、局所的にはイスラエルはもうワクチンで集団免疫を達成していると言っていいような状況になっているのではないですか?

峰宗太郎
僕もそう思います。
なのでつまりこういうことが言えると思います。
新型コロナウイルス、SARS-CoV-2 が初めて、人類が意図して収束させられるパンデミックになるのではないかということをちょっと思っているんですよね、科学の力で。
もちろん自然収束させるということに於いて、検査と隔離ということをやったのはSARS ですね、2002年から2003年で終わったもので、あれはうまくいったと思うんですよ。
それから2009年の新型インフルエンザはいつの間にか季節性になってしまったとか、いろいろあるんですけれども。意図的に大々的にワクチンを作って世界中で抑え込むという例としては世界で初めてになるわけなので、なかなか過去の類推だけではわからないということもあります。そういうところに興味というか面白味をおぼえているところですね。

岡田玲緒奈
あとは記事の内容と少し絡めると、これだけ国家間の移動が可能な状況で、無症状期にもひとにうつすとかいった性質のウイルスがパンデミックを起こしたというのがまた特殊なのかなと思っていて、つまりは局所的に抑え込んでも結局また出てきちゃうみたいな話をしているのかな、と思ったりしました。
木下先生、その点どうですか?

木下喬弘
明らかに国家間の移動が増えたというのはあって、それは20世紀からもちろん起きていたことではあるんですけど、やはりこの20年くらい国境を感じさせなくなる移動というのが増えて、そういう要素も確かにあると思うんですよね。

峰先生の言おうとしていることもそうだと思いますけど、この記事も含めてニュース全体で、ちょっといくらなんでも変異変異と騒ぎすぎちゃうか!という感じが結構してます。
HIV の変異とかを僕もよく知らないんで、安川先生とかに解説する回を作って欲しいなと思いました。

岡田玲緒奈
いいですねぇ。それはやっていただきましょうよ!

安川康介
あの…聴講者が今500人近くいますけど、多分30人くらいになっちゃうかもしれないですけど…

木下喬弘
いや、絶対知りたいでしょ!
ここまで変異って言っていて、僕らはコロナの変異だけ見ているんで、これもいったら「副反応と有害事象」みたいなもので、コロナしか見ていないから変異が起きるたびに騒いでいるわけですけど、世の中の他のウイルスはしょっちゅう変異しているわけでしょ?

安川康介
そうですね。
ニュースでこういう変異が日常的に報道されるっていうのは不思議なことですよね。今は慣れてしまいましたけれど。

木下喬弘
そうなんですよ。もちろん変異ウイルスに注目して対策を強化するとか、感染拡大しているので伝播性の上がっているウイルスが流行している地域は気を付けましょう、とかはいいと思うんです。しかし、イスラエルでは集団免疫を達成しているようなのに、アメリカは無理、変異が抑えられなくて無理、とかいうのはちょっと根拠薄弱かなという気がします。また、他のウイルスではどうなんだ、みたいな広い視点で変異について語る会みたいなものはすごくみんな興味があるのではないかなと思いました。

峰宗太郎
いやー、おっしゃる通りでですね、さっきの2つ目の質問はみんな無視していただいたんですけど(笑)変異をみんなが気にしているウイルスっていうのはかつてあったかという質問もしたんですが、たとえば麻疹は90%以上効くいいワクチンがあってみんな子どもの時に打ちますよね。
でもこの麻疹って結構コロコロ変異しているんですよ。そういうことに注目して「ワクチンが効かなくなるぞ!うわー!だめじゃー!」って騒いでいる人がどのくらいいるかっていうことを考えて欲しいということなんですよね。
実はインフルエンザもめちゃめちゃ変異しますから。
そういうことを考えると、安川先生、ぜひこれやりましょう!

池田先生、何かありますか?

池田早希
すみません、途中参加で記事も読んでないし話の流れもまったく聞いていなかった…
でも敢えて言うと先ほど言っていたインフルエンザなんかは変異しまくってますよね。
だからどのインフルエンザの型とか種類が流行るかというのを予想しながら毎年ワクチンを打って対応しているので、そんなに怖がらなくて大丈夫ですよ!

安川康介
この記事はアメリカ国内で集団免疫が達成できないのではないかという記事なんですけど、さっき木下先生が言っていたように、かなり成功している国もあります。イスラエルとか感染者が70人くらいで死亡者が1人、中国も全体を見ても感染者が5人なんですよね、毎日数人程度で、かなり成功しているといっていいと思うんです。
この記事はアメリカだけの話なんですけど、今後世界的に見て各国がどれくらい新型コロナウイルスを抑えられるのかというのが重要な課題になってくると思います。

つまりある地域で感染が持続するとそこでまた新しい変異ウイルスが出てきて、それがまた別の国に入って集団免疫を獲得されたと思われていた国でまた感染が拡がって、ということになりますので、いわゆる途上国・低所得国での新型コロナウイルスの感染をいかに抑えていくかということが今後重要だと思います。

岡田玲緒奈
池田先生、これはきっと言いたいことがありますね。

池田早希
Herd Immunity(集団免疫)についてですね。ちなみに完全なる Herd Immunity は全然達成していない状況ですけれども、私のいるヤヴァイ州のテキサス州では都市によって、たとえば Austin という州都では結構夜のナイトバーとかも開いていたりして、みんながマスクをせずにガンガンに音楽がかかっていたりするんですけれども、それでも感染者数が日に日に減っております。やはり完全なる Herd Immunity になっていなくてもワクチン接種が進むことによって、数は抑えられているんだな、というのはとても感じますね。
そしてアメリカに関しては60%が B.1.1.7 の変異ウイルスですので、それに対してもしっかり効果があるんだな、というのは巷を見ても感じるところであります。

木下喬弘
これもまた一言モノ申したいところがあるんですけど、Herd Immunity もゼロイチでしか捉えられない人がいますよね。
実効再生産数を下げるので、もちろん連続的にワクチン接種者数が増えたら、同じ感染対策でも少しずつ感染者数は減っていくわけなので、ある日突然 Herd Immunity を達成して、急に全員マスクを外してフラッシュモブみたいに踊り出すみたいなわけではないじゃないですか。

安川康介
その予定だったんですけど。

木下喬弘
それは失礼しました(笑)
Washington, D.C. ではそういうのを目指しているみたいですけど、多分世界は普通そういう感じではないと思うので(笑)
なんかゼロイチではなくて程度問題として、ワクチン接種者数を増やして感染者の数を見ながら妥当な感染対策を探していくということ自体は全く変わらないので、あまり騒がなくていいんちゃうんかな、と僕は結構思うことがありますね。

岡田玲緒奈
ありがとうございます。おっしゃる通りですね。
このゼロイチというか…
記事の中にもあるんですけど、こうやって言うといわゆる「ワクチン反対」の人たちがまたそれを使って「最初と違うこと言ってる!」とか「集団免疫無理なんだ!」とか言ってこの世の終わりみたいに言うんですけど、そうではなくて、結局概念的な集団免疫というところへ持っていかなくても、感染というのが段々抑えられて行って、というシナリオでいいんじゃないか、という記事だったと理解してます。

変異ウイルスのこともそうで変異ウイルス!変異ウイルス!って報道を見ていると「変異ウイルスにはワクチンは効かないからもうだめだー!」みたいになっている人がいるんですが、そもそもそれは事実としてあっていないですし、「変異ウイルスが怖いなら早くみんなでワクチンを打って収束させるしかないでしょ!」というところに我々としてはなっていくんですが、まぁ、幅を持ったスタンスというのが大事かなと思って読んでおりました。

結局もう9時になってしまいまして…皆さん何かありますか?


【mRNAワクチンの作り方】

峰宗太郎
さあ、ここからメッセンジャーRNA の作り方ですね!

岡田玲緒奈
(笑)これはもう次回ですね。これは古くなることがないんで次回はこれにしましょう。
「メッセンジャーRNAの作り方」というのを次回やろうかなと思うんですが、来週金曜日は僕じゃないんですよね。

木下喬弘
ああ、そうかそうか。
じゃあ岡田先生、来週月曜日「木下枠」でやってもらっていいですよ。

岡田玲緒奈
僕、月曜日仕事なんですよ。金曜日しかこの時間が空いてない。

黑川友哉
来週金曜日やればいいんじゃないですか?

岡田玲緒奈
じゃあ黑ちゃん、月曜日で!

安川康介
岡田先生、その時に特許の話もしてください。
今ホットなので…

岡田玲緒奈
特許の話、僕、ちゃんと読んでないんですよ。
それこそ池田先生とかの守備範囲っぽいなと思ってスルーしてます。

池田早希
私はやっぱりインスタライブの方ですね!
皆さん、Instagram のフォローはしていただいていますでしょうか?

こびナビ Instagram アカウント(インスタライブのアーカイブが保存されています)
https://instagram.com/covnavi?igshid=vaiu0pv2fcw0
在日外国人向けのコロナワクチンYouTubeライブ
https://www.youtube.com/watch?v=i4xA-i9rB1E&t=3045s

木下喬弘
まあ、来週の予定はまた団体で決めましょう。
まず一番大事なのはインスタライブ。
こびナビの Instagram をフォローしていただくということと、僕がこびナビの Instagram のフォロワー数に負けると副代表を辞めなくてはいけなくなるので、皆さん、こびナビをフォローしたら必ず僕の Instagram もフォローするようにしてください、というのが僕からのお願いです。

木下喬弘先生 Instagram アカウント
https://instagram.com/tk_emergency_med?igshid=7pnrupb695mg

岡田玲緒奈
こんなこびナビばっかりやっていると、正直うちの家庭が危なくなってきてるんですけど、まあ、頑張ってやりましょう!

今日の記事の結論としては、結局集団のことを考えるというよりは自分の利益を考えて打て、というようなメッセージかなと思いますので、ぜひ1人でも多くの方が守られた状態になればいいなと思って情報発信を続けていきたいと思います。

それでは今日はこの辺りにしたいと思います。
皆さん、良い1日をお過ごしください!
ありがとうございました。


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