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新型コロナウイルス感染後の後遺症についてまとめます(3月26日こびナビClubhouseまとめ)

図1

♪ドゥーンドゥ ドゥンドゥーン
ドゥンドゥーン ドゥドゥーン
ドゥーン ドゥン
ドゥン
ドゥンドゥン!♪

鼻歌文字起こし・採譜 岡田玲緒奈

峰宗太郎
……あれ?
無言ですかこれ。

他の登壇者
……(堪えきれずミュートを外して爆笑)

黑川友哉
今のは事故だったのか、意図的なものなのか、どっちなの(笑)

峰宗太郎
え? あら?
そうだ、いま僕ミュートしてなかったですね。

黑川友哉
ミュート全っ然してないです。

峰宗太郎
いやすみません、なんていうか…アレなんですよ。
ワイン飲んじゃって。

木下喬弘
あの…僕(笑い過ぎて)開始が…(難しいんですが)。
昨日から文字起こしの関係で30秒前からミュートで入るっていうルールになってたんですよ。

峰宗太郎
あ! ミュート! ミュートで入るんですね。
すみません、全然ミュートしないでワイン飲んでました。

木下喬弘
(笑いが止まらない)
いや別に喋ってもらってもいいですよ今後は。

ということで!

皆さんおはようございます。
今朝も「こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース」を始めます。
これは料理番組/ワクチン解説番組なので、料理の話をしないといけません。
昨日私はビーフシチューを作りまして、「これから毎日3日間ビーフシチューを食べる刑」に処されます。
皆さん「ホットクック」って使ってますか?

安川康介
ホットクックってプレッシャー・クッカーですか?
圧力鍋みたいな。

木下喬弘
圧力鍋ですがシャープのオリジナル商品で、圧力鍋+攪拌する機能とか付いていて独特なんです。(岡田注: ホットクックは加圧調理ではありません
僕も上手く説明できませんが。
安川先生は普通の圧力鍋を使っていますか?

安川康介
そうですね。アメリカでも流行っていて、手早く美味しくできるのでたまに使います。

木下喬弘
ホットクックの一番の売りは「放っとける」ことなんですよ。
「放っとクック」なんです。

安川康介
…なるほど。

木下喬弘
僕がすべってるわけではなくてこれはシャープの問題なんです!
(参照:シャープ公式 Twitter  https://twitter.com/SHARP_JP/status/662463401306648577?s=20)

峰宗太郎
木下先生が放っとかれてますね。

木下喬弘
ノリノリやな今日は(笑)

このままだと峰先生にジャックされそうなのでビーフシチューの話はこの辺にして、コロナの話題に行きましょう。

今日取り上げるニュースです。
「新型コロナ感染者、退院から5カ月後も7割が回復せず 英研究」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9237ff40dd2761b3f2fc0fcbe441a70010e07e8
久しぶりに日本語のニュースを選びました。

-----引用-----
(CNN) 新型コロナウイルスによって入院した人のうち7割が退院後5カ月が経過しても完全には回復していないことがわかった。英国の研究で明らかになった。
今回の研究によれば、新型コロナウイルスを乗り切った人でも心身の健康に対する懸念が継続し、5人に1人が新たな不調を経験するという。健康問題が理由で働けなくなったり仕事を変えなければならなかったりした人も同じような割合で見つかった。
症状が長引く可能性が最も高いのは中年の白人女性や、糖尿病やぜんそく、心臓疾患などリスクの高い症状が少なくとも2つある人。
英レスター大学のレイチェル・エバンズ准教授は声明で、新型コロナウイルス感染からの退院5カ月後も、重たい症状や心身の健康状態の問題、臓器障害の証拠があることが示されたと述べた。
人工呼吸器が必要だったり集中治療室(ICU)に入院したりした人は回復にさらに時間がかかることも明らかになったという。エバンズ氏は、さまざまな長引く問題の多くは重たい症状では説明できず、他の根本的な原因があることを示唆しているとも強調した。
今回の研究では、新型コロナウイルス感染症を発症し、2020年3月から11月に退院した1,077人を調査した。そのうち67%が白人、36%が女性、50%が少なくとも2つのリスクの高い病状を抱えていた。
5カ月後に追跡調査を行ったところ、完全に回復したと感じると答えた人の割合は29%にとどまった。90%以上が少なくとも1つ持続的な症状があったほか、大部分が平均して9つの持続的な症状があった。
最も多かった症状10種は「筋肉痛」「疲労」「肉体の動きの遅れ」「不十分な睡眠の質」「関節の痛みもしくは腫れ」「筋力の低下」「息切れ」「痛み」「短期間の物忘れ」「思考力の低下」だった。今回の研究は査読は行われていない。
-----引用終わり-----


新型コロナウイルス感染症で入院した人のうち7割が、退院後5カ月が経過しても完全には回復していないことがこの研究で明らかになったそうです。
この研究はプレプリント(査読前)の状態で出ています。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.03.22.21254057v1.full.pdf

2020年12月、Lancetに「Facing up to long COVID(ロングコビッドと向き合う)」というタイトルで論文が出て以降、ロングコビッドという呼び方が定着したと思います。
(参照:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS0140-6736(20)32662-3/fulltext)
コロナに感染した後に長引く症状が出るということは NIAID(National Institute of Allergy and Infectious Diseases、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所)や、イギリスの NHS(National Health Service、国民保健サービス)、あるいは WHO も注目していて、色々な報告を出しています。

軽症で終わった患者さんでも長引く症状が続き、その症状も入院を要するものではないので、軽く扱われて悩む人がかなりの割合でいると問題になっています。

今回の研究は入院が必要になった人限定ですが、被験者のうち90%以上が持続的な症状を少なくとも1つ訴えています。
さらに、元々働いていた人の中でも2割程度が働き方を変える必要があり、別の2割は退職を余儀なくされ、実に全体の約4割が仕事に支障をきたしています。
今回は新型コロナウイルスワクチンの話ではありませんが、このロングコビッドについて特に症例数を多く診察している安川先生にコメントをいただきたいです。
どんな感じか少し教えていただけますか?

安川康介
僕はホスピタリストといって、入院している患者さんの担当なので外来の患者さんは診ていません。
アメリカではロングコビッドや *ロングホーラー(Long Hauler)とか呼ばれていますが、これは去年から話題になっていた現象です。
*直訳は「長距離輸送者」。転じて「コロナ感染後に長く症状を引きずる人」の呼称。
これに関する最大の研究は、今年の1月に出たランセット掲載の中国での研究です。
(参照:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)32656-8/fulltext)
その中で、回復後半年経過しても筋力低下や倦怠感が多くの方に見られ、確か26%の方が睡眠障害を、23%が不安や鬱を訴えたことが報告されました。
何故こういうことが起きるか、メカニズムはいくつか想定されています。

・新型コロナウイルスは様々な臓器に影響を与える感染症であり、免疫が狂って炎症が続いている説。
・ウイルスのゴミのような「デブリ」が身体の中に蓄積して、それに対する炎症が起き続けるのではないかという説。

しかしまだはっきりとはわかっていません。
なかなか難しいのは、アンケートで聞く症状が倦怠感、不安症状、睡眠障害など一般でもよく見られるものなので、本当に新型コロナウイルス感染症に罹患した影響でそうなったのか判別がつきにくいことです。
例えば「いま倦怠感ありますか?」って僕が訊かれたら「ある!」と言います。
新型コロナウイルスには感染したことはありませんが、「疲れてます」って答えると思うんです(笑)
結構な割合の方がこういう症状を訴えますが、実際にその中のどれくらいが新型コロナウイルス感染症によって引き起こされたものなのか、個人的に非常に興味があります。

そして、今面白いことが話題になっています。
しっかりした研究はありませんが、ロングコビッド、ロングホーラーを持っている人がワクチンを接種して症状が改善するのではないかという話です。
イェール大学の研究者である岩崎明子先生は、もしかしたらワクチンがロングコビッド、ロングホーラーの症状を改善するのではないかという仮説を立てていらっしゃって、Twitter 上でも議論が行われています。

木下喬弘
ありがとうございます。
まとめます。

・ロングコビッド、ロングホーラーという、新型コロナウイルス感染した後の長引く不調をかなりの人が感じていることがわかった。
・今年の1月に出たランセットの6カ月フォローの中国発の研究で、様々な症状が報告されている。
・原因ははっきりしないが、免疫異常や、ウイルスの残骸のようなものが影響を与えていると言われている。
・長期的な不調を訴える方がかなり多い。

以上がホットトピックだと思います。

元々人は生きていれば身体の不調が起こりますので、疲れ、めまい、不眠といった症状は、何もなくても持っています。
コロナに罹患した人だけの集団の中で、何%の人にそのような症状があるのかが判明しても、直接的なコロナとの因果関係を示すわけではないことをご指摘いただきました。

もう一つの安川先生の興味深いお話を掘り下げていきたいと思います。
新型コロナワクチンを接種したらロングコビッドの症状が少し改善するのではないかという研究がなされているということです。

安川康介
まだ研究という段階ではないと思います。

木下喬弘
なるほど、仮説が立てられているということですね。
ワクチンを打つとどういう理屈でロングコビッドがよくなると考えられているのでしょうか。

安川康介
岩崎先生のスレッドを読むと「自然免疫が惹起されて炎症がいい方向にむかう」ことや、詳細は不明ですが、ワクチンによって起きる免疫によって、免疫反応が整うといったメカニズムが想定されているようです。
ここは多分これから研究される分野だと思います。

木下喬弘
しっかりとした機序が不明なものの、免疫の異常が長く続くことによってロングコビッドの症状が出ているという仮説に対し、ワクチン接種によって免疫に何らかの影響を与えることでロングコビッドが改善するのではないかという仮説が出ているというお話でした。

ロングコビッドに関してご意見のある先生はいらっしゃいますか。

安川康介
先ほどの話に戻りますが、感染者数が多いので、今後何かの症状が出たときに「これは新型コロナウイルスのせいだ」と、長期にわたり結び付けて考えてしまう方が出てくるのではないかと心配しています。
ロングコビッドは存在するとは思いますが、罹患した人がその後に何らかの不調を訴えても、その全てが過去の感染症のせいではありません。

例えば似た問題として、アメリカでは非常にセンシティブな話題なのですが、ライム病という病気があります。
ライム病に一度罹患した人が、その後何年も経って身体の不調を訴えて「これはライム病のせいだ」とずっと言う方がたくさんいらっしゃいます。
そしてそういう方が集まった団体も存在します。
本当にライム病のせいでそれらの症状がおきているのかを立証するのが難しいので、アメリカの感染症学会などはそれを明確には認めていません。
感染症の先生の中には Chronic Lyme disease(慢性ライム病)というものを認めて、そういう方に長期に亘って毎日静脈注射の抗生剤を投与する方もいます。

患者さんはそういう医師のことを、
*Lyme-Literate Doctor (ライムをよくわかっている医者)

それを否定する医師を
Lyme-Illiterate Doctor (ライムをわかっていない医者)と呼び、大きな問題が生じています。
*Lyme (ライム病)と Rhyme (韻)をかけた言葉遊び

もしかしたら今後コロナウイルスに関しても同様の問題が起こってくるかもしれないと懸念しています。

岡田玲緒奈
今の点は非常に重要で、実は日本でも既にそういうことは起こっています。
感染拡大当初にPCR検査が無尽蔵にはできない状況だったのと結びついて
「検査をしてもらえなかったが、あれはコロナだったんだ」
という人に対し「これはロングコビッドだ」と診断してコロナ後遺症外来として一部で行われているという現状があります(岡田注: コロナ感染のしっかりした診断があっての長期的症状に対して行われているコロナ後遺症外来もあることに留意いただきたい)。
そういった方たちの中には、「コロナの PCR をしてもらえなかったことをどう思うんだ」
と僕にSNSでコメントを投げてくる方もいます。
本当は別の病気が隠れているかもしれないのに、安易な決めつけの診断をすることでその方に必要な正しい治療や診断からかえって遠ざかるという構図があって、大きな問題だと考えています。

木下喬弘
非常に重要なご指摘だと思います。
安川先生どうぞ。

安川康介
確かに伝染性単核球症などのウイルス感染症で症状が比較的長い時間続くことがあると言われていますよね。
ここは峰先生にお聞きしたいです。

峰宗太郎
はい。
伝染性単核球症(infectious mononucleosis,、IM)という、EBV(Epstein‐Barr ウイルス、ヘルペスウイルスの一種)が感染したときに起こる病気があります。
急性の風邪のような症状と全身のリンパ節の腫れなどが見られますが、これが半年間から1年間くらい続く方もいます。
ただ、これに関しては実際にウイルスが悪さをし続けているというわけではないとされています。
身体にさまざまな不調が残っていると本人は訴えますが、客観的にこれを判定できないウイルス感染症の後の症状というのはあります。

木下喬弘
なるほど、ありがとうございます。
これは本当に難しいです。
疫学的にも証明がほぼ不可能だと思うんですよね。
これは「病気になったことの効果」、正確には「曝露の consistencyの問題」と言います。
病気によって後遺症が生じたことを証明するには、「病気になった人と病気になっていない人の頻度を比較する」ということを行います。
しかし、病気によって不調をきたしていることを頻度の差で証明できても、「病気になったことの効果」の定義は、実は幅が広いです。
・病態生理学的にウイルスに感染した影響で不調が起きている可能性
・社会問題を引き起こしている病気に感染した精神的影響で不調が起きている可能性
これら2つを切り分けて解析するのは、現実的には不可能です。

疫学的に「コビッドになったからロングコビッドになっている」かに関して、本当にウイルスと症状に因果関係があるかを証明するのは非常に困難です。

それに加え、玲緒奈先生にご指摘いただいたように、自分の不調を認めてくれる医師は良い医師に見えます。
もちろん、「あなたにそんな症状はありません」とは絶対に言ってはならず、否定するドクターが良くないのは事実だと思います。
そこは非常に重要なポイントです。
しかし、だからといって
「それはコロナのせいですね」
と告げ、コロナに感染したことすら証明できていないのに安易に疾患との因果関係を認めてしまうことで、本来提供されるべき治療から遠ざかることが強く懸念されます。

これは皆さんそれぞれにご意見があると思いますがいかがでしょうか。

前田陽平先生
僕も岡田先生が仰ったことが臨床家として一番気になります。
コロナに感染した、あるいは感染した可能性があったという方が「コロナの後遺症じゃないか」と心配されているときに、当然ながら、常にコロナ以外の可能性も考えて原因を調べる姿勢が一番大事だと考えています。
安易にコロナの後遺症だと認める姿勢は批判されるべきだと思います。

木下喬弘
ありがとうございます。
しかし、容易に想像がつくのですが、「コロナのせいではないのでは」と言った瞬間に責められ、日本中の人々から批判される可能性すらある点に関してはいかがでしょうか。

前田陽平先生
その点はかなり難しいところです。

感染後に残った症状がコロナウイルスが原因である可能性も十分あることに関しては、
「もちろんそうだと思います」
と伝えた上で、他の病気の可能性があるときは
「確立された治療がある場合もあるから是非調べてみましょう」
と説明するのが大事だと思います。
これはあくまでも医療者側へのアドバイスですが、患者さん側にも
「コロナ以外が原因の可能性もあります」
と伝えることがデメリットにならないようにコミュニケーションをとることは大事です。

木下喬弘
本当にご指摘の通りで、コミュニケーションをしっかり取ることは、医師の診察技術そのものであり、非常に重要です。

ばりすた先生、何かございますか。

ばりすた先生
ありがとうございます。
ばりすたという名前で Twitter(ID:@bar1star)をやっています。
脳神経内科医をしております。

今回のロングコビッドと呼ばれるもの以前に、我々脳神経内科医はしびれ感や倦怠感を呈している患者さんの診療に当たることが多いのですが、やはり検査上は客観的な異常がはっきりしない方はいらっしゃいます。
ただ実際にその症状をその患者さんは感じておられる、ということを考慮しながら普段から診療をしています。先ほども木下先生が仰ったように、その症状が本当にコロナウイルスによるものなのか、それとも社会的な情勢の中で抱えるストレスによるもなのか、そういうストレス下にあることに加えて感染するという複数の要素が関連することによってのものなのか、色々仮説はあると思います。
大事なのは「決めつけた対応をしない」ということです。

コロナウイルスのパンデミック前は、風邪を引いた後に何か月も
「倦怠感や頭痛が続くんです」
と訴える方がいても、
「ちょっと精神的なものもあるんじゃない?」
と言われることが多かったと思います。
今では、コロナ感染後に何かあると
「これもコロナのせいじゃないの?」
というように、やや逆の方へ向き過ぎていると臨床的な目線では感じています。

確か NIH(National Institutes of Health、アメリカ国立衛生研究所)では、ロングコビッドを PASC(Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 infection)という略称を用いて、長く続く症状が実際はどういうものかをこれから研究していくと声明を出しています。
ウイルス感染後の症状がどのようなメカニズムなのかわかっていない部分も多いので、どちらの方向にも断言するということはなるべく避けつつ、患者さんに寄り添っていく姿勢が医療者に求められると感じています。

木下喬弘
ありがとうございます。
ご指摘の通り、疾患概念の確立がおそらく必要になると思います。
現時点で私はそれに同意する一方で...これって永遠のいたちごっこなんですよね。
疾患概念を確立させて、その疾患概念にのらない人を「違う」と決めてしまうと、そういう方は不満をためて決して納得されません。
患者と医師の関係に大きく関わることだと思います。
究極的には、原因を完全に1つに決めることに固執せずに治療を行うことが必要になってくるのではないかというのが私見です。
そういう病気との向き合い方が必要なのではないかと思いました。

今日のメイントピックとしてこのロングコビッドの話をしようと準備をしていて、色々なディスカッションができて私も勉強になりました。

それ以外に散発的なニュースがあったのでご紹介しようと準備していたので、いくつかピックアップしていきます。

1つめはアストラゼネカの件です。
先日プレスリリースで使用していたデータが古いものだったことで、世界中からかなりの批判を受けました。
再度プレスリリースレベルで、アップデートされたワクチンの有効性についてアメリカで報道されています。
今回の一件は、一度79%の有効性ということでリリースを出していて、それが FDA の承認審査に関わるアストラゼネカとは独立した第三者機関から「データがおかしいのではないか」と指摘されたことから始まりました。
改訂された内容では76%の有効性だったということが報じられています。

ただ、僕はもうこれは論文になるまで信じないでおこうと考えています。
「二度あることは三度ある」じゃないですが、アストラゼネカのワクチンに関してはきれいな第3相試験の結果が論文として発表されるまで様子を見ようと思います。

2つめは、これもそこそこのニュースです。
先日モデルナ社の新型コロナウイルスワクチンについて、生後6カ月から12歳未満の方の臨床試験が始まったとお伝えしましたが、ファイザー社も12歳未満の臨床試験を始めたようです。
9歳の双子の女の子が一番最初にその臨床試験に入ったことがニュースになっています。
各社、11歳以下の方に対するワクチン接種の準備をしている状況です。

「子供がワクチン接種をしないと集団免疫が達成されないのか」について、僕も実はあまり確信が無かったのですが、こびナビに感染症疫学のスペシャリストに入っていただいて、今日ディスカッションしました。
イスラエルの現状のデータで、子供がワクチンを接種していない状態で集団免疫を達成するかどうかは言えませんが、年齢階層別の感染者の推移が今後明らかになるとある程度わかるのではないかと教えていただきました。
子供に接種をしない状況で集団免疫的なものが成立するかどうかは、また新しいデータが出て整理されたところでアップデートしたいと思います。

この2つのニュースに関してコメントがありますでしょうか。
…特別無しですね。
残り1分、黑川先生繋いでください。

黑川友哉
話を戻して申し訳ないのですが、アストラゼネカ社の問題についてコメントします。
私がお伝えしたいのは、臨床試験というものが非常に厳密に行われているということです。
アメリカかどこかの先生が投稿されていましたが、臨床試験の解析計画というのは綿密に練られています。
今回も中間解析がされていますが、いつ、どのくらい、イベント(症状の重症化や死亡)が何例集まったら解析を行うという計画は、事前に綿密に練られているのです。
解析はそれに基づいて行われるので、今回のプレスリリースがどこの時点のものだったのか、その解析計画まで見てみないと何故こういうミスが起こってしまったのかわかりません。
どうしても安易に批判されがちですが、ましてやいい結果の方を出してしまっていたので、なかなか難しい問題だなと感じていました。

木下喬弘
ありがとうございます。
審査プロセスにもよるのでしょうか。
FDA が承認するかどうかも関わってくると思います。
FDA はおそらく今回も YouTube のライブ配信で承認プロセスを見せると予想しています。
きっと色々なツッコミの入った紛糾した議論が全世界的に配信されるのでしょう。

黑川友哉
論文化されたデータは正しいと思われがちですが、承認審査の過程に入り、先日もお話しした実地調査(電子カルテ照合、解析内容の確認)を行った際に
「あれ?これおかしなことやってない?」
と判明することもあります。

私としては審査報告書がデータの正確さまで確認した最終的な報告だと考えています。

木下喬弘
ファイザー社、モデルナ社、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の例を見ていると、おそらく FDA の承認が先で、その後論文が出ると思います。

黑川友哉
その場合は心配なさそうですよね。

木下喬弘
ご指摘の通り、科学的な正確性を全て担保するのはほぼ不可能です。
データ自体が間違っていた場合、解析のスペシャリストをどれだけ集めても間違った結論に至ったことを指摘できません。
様々な手段は総合的に構築されていますが、どのデータをもって本当の意味でその結論が正しいと言えるかについては難しい問題ですね。

黑川友哉
そうですね。
FDA の報告も含め、しっかり注視していきましょう。

木下喬弘
はい、ありがとうございます。
いい感じでまとめていただきました。

ということで、本日の「こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース」は
・ロングコビッド
・アストラゼネカ社、ファイザー社のワクチンが11歳以下で臨床試験を開始
についてご紹介いたしました。

我々「こびナビ」はクラウドファンディングを行っています。

▼クラウドファンディングのページ(READY FOR)
https://readyfor.jp/projects/cov-navi

残り5日で1400万円のご支援をいただいております。
泣いても笑ってもあと5日。
ここまでクラファンを引っ張っていただいた玲緒奈先生には、我々一同心から感謝しています。
毎朝の Clubhouse を聴いてくださっている皆様も、もしよろしければこびナビについて身近な方々にいま一度お知らせ、拡散していただいて、このクラウドファンディングにご協力いただけるとありがたいです。

日本時間で明日3月27日の夜9時、こびナビメンバー一同揃って YouTube ライブを行います。
こびナビの活動についてこれまでのサマリーと、今後我々が行っていきたいことをお話しするとともに、視聴者の皆様からのご質問もお受けしようと考えています。
毎日の Clubhouse ではなかなかご質問をお受けすることができないので、この機会に是非ご参加ください。

それではご登壇の先生方、今日もありがとうございました。

黑川友哉
結局峰先生は、今日は鼻歌参加でしたね。

峰宗太郎
♪フフフフン フフーン♪

木下喬弘
はい、メンタルが強い!

黑川友哉
明日もよろしくお願いします。

木下喬弘
それでは日本の皆さん良い一日をお過ごしください。

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