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コロナワクチンとワクチンパスポート(3月8日こびナビClubhouseまとめ)

木下喬弘

日本のみなさん、おはようございます。
本日も「こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース」始めていきたいと思います。

今、こびナビではクラウドファンディングを実施しております。

▼クラウドファンディングのページ(READY FOR)
https://readyfor.jp/projects/cov-navi

ぜひ皆さんからのご支援をいただけたらと思っています。

さて、本日は2つのニュースを用意しています。
1つ目はUSA TODAYから、

“Fact check: Israel launching 'Green Pass' for citizens vaccinated against COVID-19”
「ファクトチェック:イスラエルではコロナワクチンを打った市民に対して”グリーンパス”を発行している」

ということで、このイスラエルのニュースが「本当かどうか」というのを検証する記事になっています。

これ、結論から言うと「True(本当)」なんですけれど、その詳細を見ていきたいと思います。
まず主張としては

「イスラエルは国内で、新型コロナウイルスのワクチンパスポートを発行しようとしているという話があります。本当でしょうか?」と。

アメリカでのワクチン接種はもうすぐ7700万回になりますが、まだまだイスラエルに遅れをとっています。イスラエルでは50%以上の方がすでに1回目の接種を終えていて、40%の方が2回目の接種まで終えています。

イスラエルがすごいのは、人口920万人の50%がワクチンを打ち終えているということだけではなくて、いくつかの社会的な特典を与えていて、それがSNSでも話題になっていると。
具体的には、イスラエルのビーチに並べられたラウンジチェアの背もたれに「ワクチン接種者に限る」と印字された光景を写した写真がFacebookに出回っていて、「これはほんまかいな」「こんなんめちゃくちゃや」という意見もあり、USA TODAYがファクトチェックを行ったということです。

イスラエル国内におけるワクチンパスポートは本当で、保健省が1月中旬に導入して2月下旬に発表し、国と経済をより広く開放して活性化させようと実際に運用を始めているのだと。
保健省によると「このデジタルないし紙で発行された”グリーンパス(ワクチンパスポート)”は、ワクチンの接種証明書として使える」そうです。

一方で免疫を有しているであろう既感染者であっても、まだワクチンを打っていない場合にはグリーンパスはもらえないとのことです。

お店やモール、博物館などはグリーンパスなしでも入れますが、ホテル、ジム、映画館、コンサート会場、その他娯楽施設の利用にはグリーンパスが必要です。
さらに、レストランやバーでの飲食についても、3月中のどこかでグリーンパスの権利に含まれるのではないかと書かれています。

他にも、グリーンパスを持っている人はコロナ対策のルールに従わなくて良いとなっていて、例えば感染者の濃厚接触者になった場合の自己隔離や、国外旅行後にレッドゾーンに隔離される必要はないようです。
一方で公共の場でのマスクの着用、ソーシャルディスタンスを取る、集まりを避けるといったことはグリーンパスがある人も続ける義務があるとのことです。

その他の注意点として、このパスはワクチンの2回目の接種を終えて1週間後から有効で、6ヶ月で期限が切れるということです。ただその後何回でも更新される可能性も言及されていて、このあたりは長期的な有効性がわかってきたらまたアップデートされるのかもしれません。
また、不正に使用されたり、配布されたりすることを防ぐための予防策として、適切な本人確認書類が添付されていないと無効となります。

最後の段落には、現在人口の60%くらいがグリーンパスの対象になっていて、ワクチンを打ってパスを取得した人は「どんどん自由に活動していいですよ」というインセンティブを得られるというのが、ワクチン接種の希望となると書かれています。
先月ワクチン接種のペースが少し落ちていたようで、それを回復させるのではないかということですね。

一方で、一部の人だけがコロナ前の日常に戻れるということが差別や格差を生むんじゃないか、という指摘もあります。この差別というのは、「ワクチンを打ちたい人」と「打ちたくない人」ではなくて、「打てる人」と「打てない人」の間に起きるものを指しているようです。
またイスラエルは、隣のガザ地区にはワクチンをあんまり配っていないということが批判されていて、先ほど言った「人口920万人」とか「人口の60%」の中にはガザ地区にいる200万人の人のことは含まれていません。それなのに遠方の政治的な同盟地区にはファイザーのワクチンを送っているとか、シリアで拘束されたイスラエル市民と引き換えに多くのワクチンを送っているとかで、中東の社会状況は僕らの想像を超えているな…と思いながらこのニュースを読みました。

WHOは、ガザ地区や、パレスチナ人が住んでいる西岸地区、東エルサレムでの死亡率は1.1%で、イスラエルでは0.7%というデータを出しています。現実にこのような差が出てきてしまっているということですね。

結論として、「イスラエルがワクチンパスポートを発行している」をファクトチェックした結果、本当でしたということで、ファクトチェックソースが最後につけられています。

ここまで全文訳のように読んできましたが、このニュースは色々と考えるところもある内容だなと思っていて、登壇者の先生方からコメントありましたらお願いします。

安川康介
アメリカのワシントンD.C.で内科医として働いている安川康介です。
このワクチンパスポートも含めて、昨年から「1回感染した人はそういったパスポートを持った方がいいか」という議論があったと思います。

これらのパスポートには、科学的な問題点と倫理的な問題点がそれぞれあると思います。
まず科学的な問題点としては、「ワクチンがどれくらい無症状の感染を減らすのか」について、かなり効果が高いだろうということはわかってきていますが、ハッキリとはまだわかっていないことです。
無症状の感染を100%抑えるということはないと思いますので、イスラエルでもパスポートを持っていてもマスクやソーシャルディスタンスはそのまま続けることになっていますが、パスポートがあるから大丈夫だと思ってリスクの高い行動をしてしまう人が現れる可能性はあると思います。
あと、ワクチンを受けた方の免疫がどれくらい続くのかについてもまだハッキリとはわかっていないので、今回イスラエルでは6ヶ月ごとの更新となっていますが、(期間の正当性については)まだわからない部分だと思います。

また倫理的な側面としては、木下先生もおっしゃったように、ワクチンの供給が追いついていない中で、まだ受けられない人に対して差別が生じてしまうということです。
1回目にアナフィラキシーが起こって2回目を受けられない方がいたり、お子さんはまだ受けられなかったりするので、そういう方々はパスポートを得ることができないわけです。

そして、これは次のトピックにも関係してくると思うのですが、日本でこういうことを導入するべきかどうかという議論になってきたときに、ワクチンへの忌避感をお持ちでいらっしゃる方もかなり多いと思いますので、もし十分な議論がなされないまま導入されてしまうと社会で分断が起きる危険性があるのではないでしょうか。
ですので、こういうやり方は日本には馴染まないのかなと思います。それよりも、こびナビをはじめ正確な情報提供をすることで、接種率を上げていく方がいいのではないかなと感じました。

木下喬弘
ありがとうございます。
安川先生のお話を少しまとめると、まず科学的に100%の感染予防効果があるわけではないので、グリーンパスを持った人を介して他の人にうつすケースがあるかもしれないということですね。
イスラエルは、高齢者や重症化リスクの高い人には既にワクチンを接種しているので、グリーンパスを持っている人からの感染があったとしても、重症化リスク・死亡リスクはかなり低いだろうとは考えられます。
ただし若い方でも重症化する場合もありますし、長く熱が続いたり後遺症に悩まされたりする人もいるので、その点はどうかということですね。

また記事の中にも触れられている通り、差別や分断ですよね。
僕がアメリカに来て学んだことの1つだと感じているのは、社会の分断というのはかなり恐いということです。今回のアメリカ大統領選の前後、結構めちゃくちゃだったと思うんですけど、最終的に連邦議会議事堂の襲撃に発展するといった事件があったように、こういった分断はダイレクトに社会の不安定さを呼ぶと感じています。

日本でも、ワクチンを打ちたくない人と打ちたい人の間で分断を生むような報道にはかなり慎重になった方がいいのではないかと思っていて、この点を安川先生にもお話しいただきました。

安川康介
アメリカはバックグラウンドが違う方々が多いので、比較的簡単に分断されてしまうような社会だと思います。

木下喬弘
峰先生、コメントありますでしょうか。

峰宗太郎
はい、安川先生、木下先生の意見に賛成なのですが、議論を盛り上げるために2つの観点から私の意見をお伝えしようと思います。

まず科学的なことなのですが、重症化予防効果と、発症予防効果だけでなく感染予防効果についても結構あることがわかってきていますよね。
となると例えば、集団免疫と同じ考え方で、ワクチンを打った人だけがいる場所ではある程度流行は防がれると考えられます。
そうすると、これはどこで線を引くかという問題になるわけですが、流行を起こさずに、安心感を持って施設を使ってもらうということで、予防策はある程度行うにしても、ワクチンを打っている人から使えるようにするというのは一定の合理性があるということも言えてしまうのではないかと思います。
ですので、科学的な目線での議論としてはどちらにも振れてしまうということで、パスポートを発行していること自体に文句を言うのは難しいのかなと思っています。

それから倫理的な問題についてですが、供給が間に合っていない場合は仕方が無いとして、打たないケースの医学的な理由はアレルギーだけなんですよね。
そうなると個人の選択の問題で、差別というよりは「自ら受けていないだけでしょ」となって終わりということが考えられます。
アメリカの公立学校では、特定のワクチンを打っていなければ入れなくて「私立に行ってください」となることがあります。それと同じではないでしょうか。

差別なのか、区別なのか、選択なのかという話になってくるわけですが、日本の場合は他国がやり出した場合にどうするかにかなり依拠してくると思います。
特にEUとイスラエルはワクチンパスポートに前のめりですので、今後もしビジネスや旅行で渡航したいとなったときに、「ワクチンパスポートも発行していないような国からは来てくれるな」と言われたとしたら、それを日本が国としてはねつけられるかといった話にもなってくるんじゃないかと思っています。

なので、他人事と考えずにしっかり議論を始めるといいのではないかというのが今考えていることです。

安川康介
峰先生のおっしゃる通り、アメリカの小学校はワクチンが必須になっていますし、僕たち医療者も基本的にB型肝炎などを含めいろいろなワクチンを受けていなければなりません。
このトピックから少し外れますが、患者さんから見て「ワクチンを打った医者に診てもらいたいかどうか」というような問題も生じてくるのかなと思います。

木下喬弘
ありがとうございます。
そうですね、医師を介して移るということもありますね。

おると先生、どうぞ。

おると先生
よろしくお願いいたします。普段、ツイッターで医療情報の発信を行っております。

イスラエル人の友達がいて、今チャットで話を聞いていたのですが、イスラエルは基本的に政府がぐいぐい押していく雰囲気みたいです。
ワクチン接種は任意なので、打たなくてもいいということにはなっていますが、「君たち(接種しないことを選択する人たち)はスーパーとドラッグストア以外の場所に外出できないよ」というようなアナウンスをしたらしくて、ワクチンパスポートをみんなに発行して、色々なところに出られるようにしましょうという姿勢の政策を取っているようです。

タイとかサウジアラビアでもワクチンパスポートに積極的に動いていて、まだ接種できていない地域も多いとは思いますが、今後先進国を中心にワクチンパスポートがないと渡航できないというのは大いにあり得る話なのかなぁと思います。

木下喬弘
ありがとうございます。
ワクチンには必ず「有害事象」というのが起こるので、それが副反応なのかどうかという因果関係を証明するプロセスはあるにせよ、最終的には「副反応ではない」と否定しきるのが難しい症例は確実に出てきます。
政府が市民をワクチン接種に追い込んだ後に起きた有害事象や副反応疑いに対して、国と社会がどういう対応を取るのかというのは、極めてセンシティブな問題かなと思っております。

このトピックについては今後も何回か振り返ってお話しできればと考えています。
さて、ではもう1つのニュースにいきます。

2つめは、どんなソースからニュース取ってきてんねん!と思うかもしれませんが、週刊プレイボーイのニュースからです。
モーリー・ロバートソンさんが日本のワクチン嫌いについて語る内容になっています。

-----引用ここから-----
日本でも新型コロナのワクチン接種が始まりました。開発から臨床実験、承認までの異例の速さや、散発的に出てくる副反応に関する報道などに"なんとなくの不安"を覚え、「できれば接種せずに済ませたい」と考えている方もいるかもしれません。
―中略―
昨年9月、医学誌『ランセット』電子版に掲載された情報によれば、世界149ヵ国を対象にワクチンに対する信頼度を調査した結果、「ワクチンが安全」と答えた人の割合が少なかった3ヵ国はモンゴル、フランス、そして日本でした。
しかも日本は、ワクチンの有効性を疑う人の割合も非常に多い。欧米のように過激な反ワクチン運動は目立っていませんが、「潜在的ワクチン忌避層」とでも呼ぶべき人々が多いのではないかという推測も成り立ちます。
もうひとつ気になるのが、基本的に海外で流行する陰謀論を冷ややかに見る人が多い印象がある日本で、なぜか昨年の米大統領選挙の際に「Qアノン」が一部の人々に相当深く染み込んだことです。Qアノンの"感染経路"が明らかでないなか、ワクチン接種に関する誤情報や、副反応の話題へのアツい反応を見るにつけ、個人的には危機感を覚えています。
現在、欧米で展開されている反ワクチン運動は、ソーシャルメディア上でQアノンの巨大な陰謀論と結びつき、より問題が複雑になりつつあるのですから(例えばアメリカでは、ナチュラリストだった人が反ワクチン陰謀論に染まり、そこからQアノンにまで転げ落ちるといった事例があります)。
―中略―
日本では同調圧力がコロナ感染拡大を抑えてきたとの見方もありますが、そんな空気でも飲み歩かない、会食を控えるといった"世間のルール"から逸脱する人が一定数いることの背景には、「そんなもの守ったところで自分にはメリットがない」「社会からなんの分け前ももらえない」といった意識の広がりもあるでしょう。
そうした"暗黙の社会契約"が今後ますますもろくなっていくなら、「ワクチンで集団免疫を」という考えに積極的になれない層が増えてきてもおかしくありません。
自身の感情、それも賛否が分かれるような事象に関する感情を肯定してくれるような情報には、「何かおかしいかも」とうっすら感じていても飛びつきたくなる。デマや偏見や差別は、そうやって社会に浸透していきます。
「潜在的ワクチン忌避層」もまた、接種はなんとなくイヤだという感情を後押ししてくれる情報なら、真偽が不確かでも同意(いいね)をしてしまうかもしれません。
政府や科学者が正しい数字や確率を論理的に導き、安全性や有効性を説いたところで、ワクチンを忌避しているすべての人を納得させることは難しい。説得のためには、科学的な厳密さとは別の"温かみのあるコミュニケーション"が不可欠ではないかと思います。
しかし、科学リテラシーの高い人ほど、そういうコミュニケーションが苦手なことが多いのもまた事実。こうした懸念が杞憂(きゆう)に終わることを祈っています。
-----引用ここまで-----

実は私としてはこれは耳の痛い指摘なので、あえてこれを拾ってみたいと思います。
今までも僕がツイッター上で、こういった意見で叱っていただいた歴史そのものなんですけれども、僕たちの話を聞きたいと思っていない人とコミュニケーションするって本当に難しいんですね。
伸びるツイートというのは、そもそも自分の意見を支持してくれる人がいいね・リツイートしてくださっていて、全く違うところに対しては逆に反感を買っているというか、反感を買う要素のあるツイートの方が伸びやすいという説もあります。
常にどうしたらいいのかという答えがない中で考えているんですけど、この話題にコメントのある先生いらっしゃいますでしょうか。

黑川友哉
こびナビで事務局をやっている黑川と申します。
今のお話はすごく重要だと思っていて、我々こびナビも「正義の鉄槌を振りかざす」といった気持ちでやっているわけでは決してなく、他の先生方もそうだと思うんですね。
一方で我々の活動は科学的な根拠に基づいてお話をしているので、そういうのに慣れていない方が見ると、やっぱり正義の鉄槌を振りかざしているように見えがちなんだと思います。

私自身がこういう情報を出すときに気をつけているのは、やはり正義の鉄槌だと見られる可能性があって、その先には例え悪意がないとしても、情報格差によって仕方なく、科学的根拠のない不安や迷信のような情報に考えを持っていかれている方がいるのだと。その存在に注意しなきゃいけないのかなと思いながら聞いていました。
今後もそこを注意しながら情報発信していきたいと思います。

木下喬弘
ありがとうございます。他の先生、いかがでしょう?

峰宗太郎
「温かみのある」って本当に大事ですよね。血の通ったというか、相手の心もよく考えて、言葉も丁寧にというのは非常に重要なことです。

ただ「正しいか正しくないか」が科学的にハッキリしていてエビデンスがあるものについては、しっかり出さなきゃいけなくて、そういう情報を出すときに「エビデンスで殴る」と言われるようなことをしてはいけないってことだと思うんですよね。
皆さんすごく注意されている方ばかりですし、こびナビでも丁寧にやっていると思うのですが、それでも反感を持たれる方へのアプローチというのはもうエビデンスだけじゃないんじゃないかと最近思っています。
さっきの記事でも「科学リテラシーの高い人ほど冷たい」みたいなことをモーリーさんがおっしゃっていましたけれど、コミュニケーションが得意な方にも一緒に活動してもらい、どちらかというと属人的な要素も使いながらやっていくのが大事なのかなと個人的に思っています。

安川康介
この話題はものすごく重要で、僕もどういう風にコミュニケーションを取っていけばいいか常に悩んでいます。
「温かみのあるコミュニケーション」が重要とありましたが、「ファイザーのワクチンが95%有効で、副反応が何%で…」といった数字でお話ししても伝わりにくい方はたくさんいて、HPVワクチンのこともありましたが、今回の新型コロナのワクチンは社会や我々医療者にとって(医療コミュニケーションについて考える)すごく良い機会なのではないかなと思います。

ただ、コミュニケーションの仕方だけではなくて、危険や不安に訴える情報の方がはるかに拡散されやすい(クリックされやすい、読まれやすい)、すなわち稼ぎやすいという問題もありますし、正確な医療情報というのは歯切れが悪かったりします。「こうかもしれないし、こうかもしれない。ここまではわかっているけれど、ここはわかっていない」といった表現になるのですが、それよりも「ワクチンは危険だ!」「不妊を起こす!」といった歯切れのいい言葉の方が、力が強く納得されやすいということがあって、我々医療従事者は色々なことを考えなければならないのだと思います。

木下喬弘
実は僕も色々考える中で、最近は「僕らでは限界があるんじゃないか」といったことも考えていて、サイエンティストとしてのコミュニケーションで届く範囲って本当に限られていますよね。ツイッターの中で医療従事者をフォローしている人はごく一部だと思うので、そこの枠を出て情報を届けるというのはなかなか難しい。
そもそも興味が無い方たちには、「温かみのあるコミュニケーション」以前にそもそも声が届かないという問題が切実にあると思っています。
なので、もっと違うアプローチをしていかないといけないんじゃないかというのは考えていて、インフルエンサーマーケティングとか、アメリカでは常識になりつつあるヘルスプロモーションキャンペーンとか…わかりやすく言うと、例えばヒカキンさんに「ワクチン打った方がいいよ」と言ってもらうとか、そういうものではないと届きにくいところがあるんじゃないかと思っています。
そういうところにアプローチをすることも、もしクラウドファンディングで実現可能であれば、僕はやりたいなぁと思っています。

このあたりはこびナビのメンバーの中でも色々意見があると思うので、今後練っていきたい緒ところです。

吉村健祐
今の議論って非常に重要だと思っていて、1つだけコメントさせていただきます。

こびナビはまさにワクチン接種体験記という形で、個人のナラティブな経験を共有しています。
「自分はこういう判断をした」という声を出すことが、ワクチン接種の科学的な部分だけでない、共感的、または先ほど峰先生が「属人的」とおっしゃったような部分であり、パーソナルなところから発する意思決定やメッセージが同時に大切なのかなと思っています。

「温かみのあるコミュニケーション」というのは、何かその人の天賦の才能で発生するものではなくて、精神科医として思うのはトレーニングだと思うんですよね。
相手のペースに合わせながら情報を伝えていくということだと思うので、それは練習をしたり、考えていったりすれば作っていけるのではないかなと思います。

木下喬弘
ありがとうございました。
答えのない問いかけではありましたが、代表から締めのお言葉をいただいたというところで、本日はこのあたりとさせていただこうかと思います。

我々「こびナビ」は日米30名以上の専門家で運営している、コロナワクチン・コロナ感染症の啓発プロジェクトです。
Twitter、Instagram、Facebookで「こびナビ」と検索していただくとアカウントが出てきます。こちらでも最新の情報を提供しておりますので、ぜひフォローしていただけたらと思います。

また吉村先生からもあったように、こびナビのサイトではワクチンの接種体験とか、科学だけでない情報も含めて、非医療従事者のみなさんに読んでいただけるような情報をできるだけ出していきたいと思っています。
そういったところもぜひチェックしていただけたらと思います。

それでは、本日はここまでといたします。
日本の皆さん、良い一日をお過ごしください!

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