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アストラゼネカ社製ワクチンの再開、子どもに対するコロナワクチン接種の研究について(3月19日こびナビClubhouseまとめ)

【手を洗う救急医Taka🔥の料理バラエティー!?】

木下喬弘
昨日はブレンダーの話をしましたが、今日の僕の晩ごはんはステーキです。
アメリカに来ると皆さん1回くらいはステーキの焼き方にはまるのですが、僕もご多分に漏れず、パンデミック前から工夫に工夫を重ねています。

アメリカの分厚いステーキをフライパンで焼き、ミディアムレアを実現するためには、「表面は焼けているが中は真っ赤な状態のまま」になるのを避けることが非常に重要です。
この方法には諸説あります。

僕の今のところの結論は、まずオーブンで200°F(93℃程度)で1時間くらい転がして中までしっかり火を通し、フライパンで一気に両面に焦げをつけ、それをアルミホイルで包んで、さらにタオルで包み、20分くらい寝かせることで、パーフェクトなミディアムレアを実現できるようになってきました。
そういうご報告でした。

【本題】

木下喬弘
今日もこびナビメンバーによる医療科学情報/料理バラエティーを進めていきたいと思います。

このClubhouse配信は沢山の方々のご協力により成り立っております。
先日の配信で文字起こしについても人手が足りないということでご協力をお願いしたところ、10名以上の方からご連絡をいただきました。
本当にありがとうございます。
この文字起こしは最初に柴田さん、続いて、るこらさんにご協力いただいており、今回さらにkassyさん、Shimiさん、かおりさん、うみのいりさん、ユリアさん、perroさんにご参加いただきまして、すでに4月までのシフトが組めたと聞いております。

【文字起こしメンバーより: この度はこのような意義のある企画に参加させていただけて大変光栄です。関係者の皆様、ご覧いただいている皆様、どうぞ宜しくお願い致します。】

また、MESという医療製薬系動画制作会社からもご連絡をいただきまして、片山さん、後藤さん、聞いていらっしゃるかもしれませんが、僕たちこびナビのYoutubeチャンネルで流す動画を一緒に制作するという企画が進められております。

こびナビはご協力いただいている皆様のお陰で成り立っております。
本当にありがとうございます。

なお本日、安川先生は北原先生にくら寿司をごちそうしているとのことでお休みです。
北原先生、クラウドファンディングへのご支援本当にありがとうございます。

【本日のニュース1】

木下喬弘
さて本日最初の話題は、BBCニュースから。
Covid-19: EU states to resume AstraZeneca vaccine rollout
EU各国、アストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチン接種を再開へ

https://www.bbc.com/news/world-europe-56440139

EU各国でアストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチン接種が相次いで中止されたことに対し、3月18日木曜日にEMA(European Medicines Agency、欧州医薬品庁)より見解が出されましたのでご紹介します。

EMAはEU内13カ国のワクチン接種が中止されたことを受けて血栓症とワクチン接種の因果関係を調べ、結論として「ワクチン接種は血栓症を増やすわけではない」、つまり、ワクチン接種によって血栓症が引き起こされているとは考えにくいと発表しました。
それに基づき、ドイツ、フランス、イタリア、スペインはこのアストラゼネカ社のワクチン接種を再開すると決めたとのことです。

この騒ぎはいったいなんだったのか......という感じですね。
接種後の副反応の疑い→専門家による精査→接種再開という、よいサイクルが回っているとも見てとれますし、政治的なドタバタという感じもしなくもないです。

WHO(World Health Organization、世界保健機関)も同日、各国に対しアストラゼネカ社のワクチンを使用するように進言しており、3月19日金曜日にコメントを出すようです。

EMAの文章によりますと、主に調べられたことは、1000-2000人に1人の割合で起こるといわれている深部静脈血栓症、いわゆる「エコノミークラス症候群」についての話ではありません。
むしろ、ドイツで報告された脳静脈洞血栓症が比較的若い人に起きたという症例が問題となりました。
当たり前ですが脳にも動脈や静脈があり、今回問題になったのは脳の大きな静脈である「静脈洞」というところに血栓ができる病気だということです。

ワクチン接種については常につきまとう仕方のないことなんですが、非常に稀な副反応に関しては因果関係がよくわからないということもあります。
ただ今のところ、ワクチン接種によってこのような症例が明らかに増えているということではなさそうで、絶対に違うとは言い切れないものの、ワクチン接種を中断すべき理由はないことです。

奇しくもという表現が適切かどうかはわかりませんが、COVID-19は全身の血栓症を引き起こす病気であり、新型コロナウイルスに感染し血栓症になるリスクのほうが高いこともあり、"Benefits outweigh the risks." (ワクチン接種のベネフィットはリスクを遥かに上回る)と言われています。

こういったことも含めてEMA、WHOはワクチン接種をともに再開せよと言っております。
実際にドイツ、フランス、イタリア、スペインは再開するとのことですし、スウェーデンは様子を見ると言っていますが、おそらく周辺国に合わせてくるので、僕は大きな問題にはならないのではないかと思っています。

日本時間の水、木、金と議論してまいりましたけれども、登壇者の先生方、追加コメントなどありますでしょうか。
(沈黙)
いいですかね、この問題は決着ということで。

黑川友哉
こびナビ事務局長の黑川です。
木下先生、解説ありがとうございました。
EMAというのは薬事の規制当局なんですが、厚生労働省やPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構、Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)とは違い、ここで勧告されたことを欧州全ての国が必ず従わなければならないということではなく、勧告を受けて各国が判断するということが特徴的です。
とはいえ非常に大きな強いメッセージになりますので、このような冷静なものが出されて私も安心し、そりゃそうだよねという印象を持ちました。
EMAというもののイメージが湧きにくいと思いますので補足させていただきました。

木下喬弘
黑川先生ありがとうございます。
実は僕もそこが気になっていまして、アストラゼネカ社のことでいろいろと調べました。
この記事を読んでいる限りでは、EU内でワクチンの承認システムのようなものがあると思うんですね。
そこで揉めていたことは、イギリスがアストラゼネカ社のワクチンを最初に承認した基準がイギリス独自のものなのか、実はEUと同じなのかであり、僕も混乱していてよくわかっていないんです。
2020年1月からのEU離脱も影響しているのかもしれませんが、このあたりはいかがでしょうか。

黑川友哉
私も正確に理解しているわけではないのですが。
イギリスも、もともとEMA加盟国の1つとしてずっと同じように審査されてきたので同じ基準が頭の中にありますし、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use、医薬品規制調和国際会議)という国際的な医薬品規制を議論している組織をとおして、医薬品規制の在り方について「協調して、ドラッグラグなくしていこうぜ」という方向に動いていますので、基本的な考え方は大きくは変わらないんですよね。
EMAの中でずっと一緒にやってきたイギリスが同じような考え方をするのは当然で、EU離脱により独立し組織として少し離れたという特徴はあるのかなと思いますが、基本的な考え方が違う人たちというわけでは勿論ないんです。

木下喬弘
ありがとうございます。
ちなみにWHOの必須医薬品を決めているのはどの組織なんでしょうか。

黑川友哉
WHOの必須医薬品を決めているのはWHO Expert on Selection and Use of Essential Medicinesという会議体で、薬事規制(流通に関するルール)を行っているEMAやFDAとは独立した組織です。

木下喬弘
アメリカではFDA(Food and Drug Administration、アメリカ食品医薬品局)が、日本では厚生労働省やPMDAがそれぞれ承認して使用する等のステップがクリアだと思うんですが、欧州はけっこう難しいですね。

黑川友哉
そうですね、欧州はみんなで一度しっかり審査して欧州としての決定を出した上で、各国がそれに迅速に従っていくというシステムなんですよね。
WHOはガイドラインや指針を出すかもしれないのですが、規制という意味ではあまり力を持っていないのではないかと私は認識していました。

WHOは保健政策に関連するガイダンス、指針等を発信しており、薬事(特に医薬品等の安全性に関するもの)に関連する指針を作成する際には、ICH、EMA、FDAなどの関連規制当局と協議しているようです。
WHO, ICHが出した指針・ガイダンスをEMA、FDA、PMDAなどの各国規制当局がそれぞれの国々の規制に落とし込んで実行していく、というイメージでよろしいかと思います!

木下喬弘
ありがとうございます。
黑川先生、すごくわかりやすい解説ありがとうございました。


【本日のニュース2】
次はボストン25ニュースという聞いたことのないニュースサイトからです。ハーバードのメールから拾ってきました。

Kid COVID-19 vaccine trial begins for Moderna
モデルナ社製新型コロナウイルスワクチン、子どもに対する臨床試験開始
https://www.boston25news.com/news/health/kid-covid-19-vaccine-trial-begins-moderna/5HU7YFXUQNEFRO4LJUL67FQU5Q/

”Some are in diapers, some are toddlers, others are knocking on the door of adolescence. ”
「おむつをつけているお子さん、よちよち歩きの3歳くらいまでのお子さん、思春期青年期のドアをノックしているお子さん」という面白い一文から始まる、モデルナ社が子どもに対する新型コロナウイルスワクチンの安全性と有効性を調べる臨床試験を始めた、というニュースです。

この”KidCOVE”と名付けられた臨床研究は、6,750人のアメリカとカナダの子どもたち、生後6ヶ月から12歳未満を対象とした臨床試験であり、
モデルナ社のプレスリリース
https://investors.modernatx.com/news-releases/news-release-details/moderna-announces-first-participants-dosed-phase-23-study-0
によりますと2つのパートにわかれています。

パート1
投与量を決める試験
2歳から12歳までは50、100μg投与で比較
2歳未満は25、50、100μg投与で比較
オープンラベル

パート2
パート1で決められた容量で、
プラセボ/ワクチン接種をした人を比較し効果と安全性を調べる試験
ブラインドテスト(盲検試験)


「オープンラベル」、「ブラインドテスト」と聞きなれない言葉が続きましたので、解説させていただきます。
通常行われる大規模なランダム化比較試験は、薬を投与する人とプラセボ(偽薬)を投与する人がいて、その2つの集団の間で起きたことを追跡することで薬の効果を調べることができるというものです。

シングルブラインドというのは、投与された人がどちらを投与されたかわからない状況、ダブルブラインドというのは、その人たちを診察している医師もどちらかわからない状況であり、通常はダブルブラインドで行われます

例えばワクチン注射されたというだけで気分が悪くなった気がするとか、プラセボを投与されても薬だと言われたら症状がよくなった気がするとか、いろんなことが起こるので、どちらかわからないようにブラインドにしておくのは重要なことです。
今回のモデルナ社の子どもに対する臨床試験パート1は、そのようなブラインドのないオープンラベルという状況で行われています。

なぜなら、パート1では子どもの体格に最も合う投与量はどの程度かを調べることが目的だからです。

この試験の枠組みや子ども特有の問題について、専門の池田先生、岡田先生、内田先生に入っていただいていますので、コメントや解説があればお願いします。

池田早希
テキサス小児病院の小児感染症科に勤務している池田です。
まずお子さんというのは、ただ単に大人を小さくしたような、体格が小さいだけではなく、免疫原性やワクチン接種後の発熱、腕の痛み、腫れなどの副反応も違う可能性があります。
ですのでパート1で適切な投与量を確認し、パート2でより多くの人たちに対してブラインド化して試験を行うということです。

私の病院もパート2として選ばれておりまして、お子さんの希望者を募っています。
正式な臨床試験への参加に関しては今月末頃から開始する予定です。

木下喬弘
ありがとうございます。
最初に投与量を確認する時に安全性だけではなく抗体量なども観察し、どのくらいの抗体量ならいけそうかということを確認してからパート2に入るということでしょうか。

池田早希
仰る通りです。抗体量の確認と、適切な投与量はどの程度かを調べます。
例えば、インフルエンザワクチンでも、小さなお子さんですと投与量が違います。

木下喬弘
ありがとうございます。

池田早希
確かに子どもは無症状や軽症例が多いです。
しかし、たとえばどの程度の子どもがCOVID-19に感染したことがあるかを調べるために、ミシシッピ州で昨年秋頃までの残存血清や他の血液検査で余った血液などの抗体を検査したところ、大人と同じくらいの割合で感染していたということがわかっています。
また、稀ではあるものの、子どもでも重症化する可能性もあります。
アメリカは18歳未満のお子さんは人口の20%程度を占めていますので、集団免疫を目指すには80%かそれ以上の人に接種しなければならず、やっぱりその20%を無視できないわけです。
ですので、しっかりと臨床試験を行い、子どもにワクチン接種をすることはすごく大切なのです。


木下喬弘
ありがとうございます。

仰る通りで、論点をまとめていただいてありがとうございます。
最近、ファウチ博士(アメリカ国立アレルギー感染症研究所NIAID所長)が、集団免疫を達成するためのワクチン接種率は75%から85%ということをけっこう推していますし、ほとんどのインタビューで彼はそこを目指すと答えています。
そうなるとアメリカの中で20%が子どもであれば、子どもに接種せずに85%に到達することはできないので、彼らに対する臨床試験も非常に重要ですね。

岡田先生どうぞ。

岡田玲緒奈
ひとつ技術的なことです。
投与量について、100μgが大人と同じ量で、その半分量、4分の1量を調べるという試験だと把握しています。
内田先生にお聞きしたいのですが、アメリカでは子どもたちに対するワクチン接種の受け入れられ方はどのような感じでしょうか。
さきほども仰っていましたが、アメリカでは新型コロナウイルス感染によって体中に炎症が起こる合併症の頻度が日本よりも非常に多いので、受け入れられ易いのかなと思いますが、どうでしょうか。

内田舞
こんにちは。ボストンのマサチューセッツ総合病院(MGH)の小児うつ病センター長、ハーバード大学助教授(Assistant Professor)の内田舞です。

私の周りでも今回のモデルナ社、ファイザー社は4月から、子ども対象の臨床試験が始まる予定なんですが、その試験に子どもを参加させる家庭をいくつか知っています。
その方たちが何を求めて参加しているかというと、「家庭内に重症化リスクの高い人がいる家庭」、たとえばお父さんががん患者さんだったり、おじいちゃんおばあちゃんと暮らしていてその方たちに肺疾患や血栓症があるなど、そういった方たちの家庭内感染予防なんですね。
ハイリスクな本人はすでにワクチンを接種しているんですけれども、子どもがどこかで感染してしまって家に持ち込んだ場合、ハイリスクな人に感染させてしまうことが大いにありうるんですよね。
それが怖いという点で、家庭内に重症化リスクの高い方がいらっしゃる場合には、子どもに早くワクチンを打たせたいと思っていらっしゃる親御さんが多いかなと思います。

それと同時に、アメリカにおいて子どものワクチン接種を進めたい大きな理由は学校の再開なんですね。
アメリカの公立学校はこの1年間まるまる物理的に閉校しているところがほとんど、それか週のうち2日間だけ半日だけ行けるという感じで、週5日などの頻度で学校に行けるという状態の子どもはほとんどいないんですね。
その影響でたとえば学習障害のあるお子さんはすごく苦しんでいたり、ADHDのあるお子さんでもオンラインで授業を受けなければいけないということで、家の中でずっとパソコンの前に座っていなければならなくて集中できず学べないとか、不安障害のある子たちも含めて、子どもたちにとってはものすごく大変な1年間だったんですね。
なので学校をオープンするために子どもたちも先生たちも、早くワクチンを接種したい、させたいというモチベーションがある人が多い印象を受けております。

木下喬弘
内田先生ありがとうございます。
まとめますとポイントとしては2点、
1つは子どもは感染しても無症状だったり軽症だったりすることも多いけれども、他の人にうつすことも懸念されるので、一緒に暮らしている方に高齢者がいたり重症化リスクのある場合に、子どもにワクチンを接種し感染の連鎖を断ち切ることで同居の大人を守る必要があるということです。
2つめは、アメリカでは公立学校が再開していないところも多く、子どもに対して沢山の影響を与えていると思いますので、そういったところをクリアし学校を再開するというのは社会として非常に大事であろうということです。

池田先生どうぞ。

池田早希
スピード感をもって臨床研究のプロセスが行われており、12歳以上のモデルナワクチンの臨床研究であるTeenCoveはすでに試験が終わり、いま分析をしているところです。
その結果がしっかりわかってから承認されることになりますが、おそらく今年の夏くらいには10代もワクチンを接種できるようになり、秋からの学校再開に向けて接種を進めていくというプロセスになるのではないかと予想されています。

木下喬弘
ありがとうございます。
これも整理しますと、

ファイザー社製ワクチン
現在のところ16歳以上で承認
12歳以上15歳までの臨床試験を実施、研究結果を分析中

モデルナ社製ワクチン
現在のところ18歳以上で承認
12歳以上17歳までの臨床試験(TeenCove)を実施、研究結果を分析中
生後6ヶ月以上11歳までの臨床試験(kidCove)開始 →イマココ

ということで、12歳以上はおそらくもうすぐ接種できるようになると思いますが、それ未満の、生後6ヶ月から11歳までに関してはモデルナ社が臨床試験を行っているということです。

このニュースには他にも書かれていることがいくつかあります。
おもなポイントは池田先生にカバーしていただきましたが、もうひとつ、ボストンにあるBrigham and Women’s Hospitalの医師がコメントされています。
大人の臨床試験でわからなかったこととして、感染をどれだけ予防できるかという課題があります。
すなわち発症予防効果と重症化予防効果はかなり高いということはわかっているんですが、感染予防効果についてはまだ十分なデータがありません。
臨床試験で症状が出た人に対してPCR検査をしていても、無症状の感染がどれだけ抑えられるかということはわからないからです。
しかし子どもの場合は無症状の感染者がかなり多く、たとえば週に1回PCR検査をすることになれば、ワクチン接種により無症状の感染をどれだけ抑えられるかということについて、データとして確からしいものが出てくるので、そこが興味深いとこの医師は言っています。僕もなるほどなと思ってこの記事を読んでいましたので、ひとこと付け加えさせていただきました。

他の先生方、どうでしょうか。

岡田玲緒奈
小児科のことになり急に元気になっているんですけれども。
いま最後に仰ったところは重要です。
感染予防効果がどのくらいかということについて、日本の一般市民の間ではネガティブな意味で扱われることもあり「感染を予防する効果はわかってないんだ」「わかっていないなら打つ意味もないよね」という解釈をするワクチン忌避の人たちもいるわけです。
しかしさきほど内田先生が仰ったように、子どもに関しては感染予防効果に期待してワクチンを接種するような考え方もあると思うんですが、アメリカの一般市民の方々にはどのように捉えられているでしょうか。

内田舞
おそらく感染予防効果はあるだろうとみんなが思っているという印象です。
また実際に、感染予防効果についての調査もされ始めています。
私の勤務するMGHでは、私を含む医療スタッフでワクチンを受けた人たちはほとんどが週1回PCR検査を受けて、感染予防効果があるかどうかを確認する追跡研究に参加しております。
ボストン周辺での子どもの臨床試験に関しては、ファイザー社製ワクチンはボストンメディカルセンター、モデルナ社製ワクチンはマサチューセッツ大学で実施されており、私の子どもたちもファイザーのほうに登録しようかなと思い、同意説明文書を見ていました。
結局参加しないことにしたんですが、説明文章を見る限りワクチンを接種してから2週間おきにPCR検査をし、感染を予防しているかどうかを調べるようです。
このような状況ですので、近々、大人も子どもも結果が出てくるのではないかと思います。

岡田玲緒奈
結果が楽しみですね。
PCR検査は唾液ですか?

内田舞
鼻の粘液です。

岡田玲緒奈
それは大変ですね。
皆さんそれに協力される状況なのは羨ましいというか。

内田舞
私の勤務しているMGHでは、職員は自分で鼻の粘液を採取しています。
検査場にいくと試験管と綿棒のようなものを渡され、右の鼻を3回くるくるして、左の鼻を3回くるくるして、試験管に入れて名前のシールを貼って、ここに置いて出ていってくださいね、と自分で行うんですね。
臨床試験の中で子どものPCR検査をどうするかはわからないんですが、市中の検査場ですと、たとえば私たちが子どもを連れていったところでは親が綿棒でくるくるとしましたね。自分で採取してもいいかなと思えるくらいのやり易さにしてくれている感じです。

木下喬弘
内田先生、岡田先生ありがとうございました。
現状が非常によくわかりました。
池田先生どうぞ。

池田早希
日本では感染者は比較的少ないんですよね、それでも日本でも、お子さんにもワクチンを接種することが大切だと思います。
彼らはこの1年以上かなり我慢を強いられストレスを感じていると思いますし、給食中に自由にお話できなかったり、お友達と自由に触れ合えなかったり、幼稚園でもマスクを常にしていてお友達の表情を見れなかったりしますので、安心して学校や幼稚園に通えるようになるためにも、家庭に持ち込まずおじいちゃんおばあちゃんと自由に会えるようになるためにも、お子さんのワクチン接種は大切だと思います。
ですので今のうちに日本でお子さんにどのようにワクチン接種していくか、検討し準備したほうがよいと思います。

木下喬弘
ありがとうございます。
非常に重要なポイントを提示していただいたと思います。
まとめますと、子どもに対するワクチン接種もやはり重要で、子どもでも重症化することもありますし、子どもを介して高齢者に感染し重症化することもありますし、社会として集団免疫を達成し社会全体が守られるためには子どもの参画も必須であるということでもあります。
アメリカが先にやってくれているわけですから、そういったデータも参考にしつつ、日本でも子どもに対してワクチンを接種していくことになるのだろうと思います。

ということで本日もよい時間になってまいりましたので、このあたりにさせていただきます。

冒頭でも紹介させていただいたんですけれども、文字起こしも沢山の方にご協力いただいており、動画制作にもご参加ご協力いただいております。また本日アンナ(Anna)さんにも入っていただいております。
池田先生を中心としてやっていただいているインスタグラムで、こびナビのQ&Aを画像に落とし込んでわかりやすく解説するインフォグラフィックスのようなことも進めております。

こびナビ インスタグラム
https://www.instagram.com/covnavi/

池田早希
Annaさーん!聞いてますかー!
大ファンでーす!!

木下喬弘
池田先生ありがとうございます(笑)

こびナビの活動はClubhouseを聞いていただいている多くの方々のご協力により成り立っております。
本当にありがとうございます。こびナビのメンバー一同、心よりお礼申し上げます。

毎度のことで恐縮なんですが、こびナビでクラウドファンディングも行っております。
オンラインの情報提供に触れることのできない沢山の人にも正確な情報を届けたいということで、3月31日まで3000万円を目標として活動資金を集めているところです。こちらもぜひご覧いただければなと思っております。

こびナビ クラウドファンディング
https://readyfor.jp/projects/cov-navi

毎朝聞いていただいている皆さん、ありがとうございます。
今日は日本は金曜日ですよね、アメリカなら「よい週末を」と必ず言われるところなので、皆さん土日を楽しんでいただければと思います。

ご登壇いただいた先生方ありがとうございました。
日本の皆さん、よい一日をお過ごしください。

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