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変異ウイルスは結局のところ何が問題なのか(4月16日こびナビClubhouseまとめ)

4月16日(金)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:岡田玲緒奈


【オープニング】

木下喬弘
Mornin’ ♪

岡田玲緒奈
おはようございます。(落ち着いたバリトン)

木下喬弘
テンション低っ!
夜7時台のテンションですよそれ。

岡田玲緒奈
おはようございます!(高めのキーで)

木下喬弘
そういうことですよ先生!
そういうことです(笑)

岡田玲緒奈
先日、黑ちゃんと木下先生とひまみみ先生でめっちゃテンション高い回の録音を聞きました。
僕、たまにあの回の録音のイントロだけ聞いて元気出してるんですよね。

木下喬弘
……なんかちょっと変なアイコン入ってきましたよ。

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図1 変異ヤスカワ 峰宗太郎版

一同
(爆笑)

黑川友哉
変異体が!

安川康介
変異してしまいました。

木下喬弘
「してしまいました」じゃないし(笑)

黑川友哉
峰先生のせいでこんな姿になってしまって……。

木下喬弘
これずるいと思うんですよ。
絵になっていないじゃないですか。

黑川友哉
それね、私も思いました。

木下喬弘
いったらブロッコリーの横幅と頭の横幅を揃えたら誰でもできるわけですよ。
あれはクリエイティビティが足りないと思うんですよね。

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図2 クリエイティビティあふれる木下版

岡田玲緒奈
他の人の絵は一応「ヒト」だと思うんですけど、峰先生はあれを想像しながら「変異種じゃない」とよく言えたなと(笑)

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図3 安川先生への愛あふれる岡田版

木下喬弘
同じコミュニティの中で生活するのキツそうな感じですもんね。

岡田玲緒奈
(爆笑)
……ということでですね、皆さんおはようございます。

「こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース」
金曜日は今週もこびナビ幹事の私、岡田がモデレーターを務めさせていただきます。

今朝起きていつも通り Slack と Twitter をチェックしていたら、今日やろうと思っていた2つ目のネタの、詳細な部分を峰先生が午前4時台にめちゃくちゃツイートで解説していて少し悲しくなりました。

木下喬弘
変えましょう変えましょう、話題(笑)

岡田玲緒奈
本題に入る前にもう1つ。
Twitter のタイムラインをずっと追いかけていたら、新垣結衣さんのトピックをフォローしろと Twitter から非常に強力におすすめされました。
何故なのか全く理由がわかりません。
絶対人違いだと思います。
Twitter の方は、峰先生と新垣結衣さんを是非繋いでいただきたいです。

本日の内容としては2つ準備しています。
木下先生の Clubhouse 告知ツイートにぶら下げている2つで、

・ワクチン接種で変異ウイルスに対しては接種していない人より8倍感染しやすくなる?! 新たな都市伝説
・変異ウイルスは結局のところ何が問題なのか、高伝播性? 強毒性?

後者を峰先生にやられてしまったのですが、それぞれにつながる記事を紹介していきます。
昨日に引き続き、変異ウイルスシリーズです。


【ニュース1】「ワクチン接種で変異ウイルスに対しては8倍感染しやすくなる?!」 新たな都市伝説

さて、1つめの
「ワクチン接種で変異ウイルスに対しては8倍感染しやすくなる?!」という新たな都市伝説についてですが、この数日で Twitter で見かけるんですよね。
見た方いらっしゃいますか?

木下喬弘
ハッハッハッハッ。

岡田玲緒奈
あるんですよ!

木下喬弘
僕、結構 Twitter のタイムラインの治安が悪いほうだと思いますが、こちらにもまだ入ってきていないレベルです。

岡田玲緒奈
私は複数見ています(笑)
記事が出た時点で「絶対こういう人が現れるな」と予測していました。

これはこびナビ に触れてくださっている皆さんならばおなじみの考え方の1つかもしれませんが、
「母数を考えろ」
がキーワードになると思います。
英語の記事でも良いのですが、昨夜探したらロイター通信の日本語版がありましたのでご紹介します。

南ア変異株、ファイザー製ワクチンの免疫すり抜ける恐れも=調査
参照:https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-israel-study-idJPKBN2BY0V2
出典:ロイター 2021年4月12日

文中の「相互評価を受けていない」というのは査読がまだという意味ですね。

これ、母数が示されているように見えますよね。
ワクチン1回か2回接種後14日以上経った人で PCR 陽性になった人400人と、接種していない人で陽性になった人400人ということで、
「400って母数があるじゃないか」
と思われるかもしれません。
その400人の中で B.1.351 変異ウイルス(いわゆる南アフリカ型)がどのような割合でいるかを調べています。

ワクチンを接種していない人 → 400人中0.7%
ワクチンを2回接種した人    → 400人中5.4%

ということで、8倍と計算しています。
さて、これにもう1個分母があるのがわかるでしょうか。
そう、ワクチン接種群と、非接種群それぞれで感染した人全体の数がさらにデカい分母としてあるわけです。

話を単純化するために、95%のワクチン効果の数字をそのまま使ってみましょう。
そうすると、400人のワクチン接種群での発症がある場合、単純に計算すると非接種群では20倍の8,000人が発症していることになります。これは理解しやすくするために簡略化した計算ではありますので、そこにはご注意ください。
その中で、ワクチン接種群では B.1.351 の人が8人いました。
ワクチン非接種群で1人いたという話です。

これはあくまで、ワクチン接種群の免疫を B.1.351 がすり抜けていると思われるというだけの話なんですね。
ワクチン接種群で8倍も感染者が出ているとかいうむちゃくちゃな話ではありません。
これ、伝わりますかね、みなさんコメントをお願いします。
若干乱暴な計算をしている部分もあると自覚していますので、どんどんつっこんでください。
これはじゃあ安川先生ですね。

安川康介
岡田先生が仰った通りだと思います。
ワクチン接種群の陽性者で B.1.351 の数が多かったというだけの報告です。
この1つの研究だけで何かが言えるわけではなく、もっと情報が欲しいですね。
先日ファイザー社が臨床研究の有効性について400人と400人を比較した研究で、変異ウイルスを100%発症予防したのではないかという報告があったばかりなのですが、あれもものすごく人数が少なくて、しかもシークエンシング数(註: シークエンシングとは、「ウイルスの遺伝情報(塩基配列)」を1文字ずつ「読む」こと。これにより、もちろん変異も検出できる。これを行った症例数)が非常に少なかったんです。
9検体とって6件ぐらいが変異ウイルスだったそうなので 、あれだけで結論づけることはできません。
実験室のデータではなく、実際のヒトにおいてファイザー社やモデルナ社のメッセンジャーRNAワクチンにどれくらい発症予防効果や重症予防効果があるのかは、まだはっきりとは分かっていません。

岡田玲緒奈
他の先生方何かありますか。

木下喬弘
(記事中の)「接種」が「摂取」になっています。

岡田玲緒奈
そうなんですよ、嫌になっちゃうんですけど。
「チェックは無いのか」と思ってしまいます。
まあ僕らも間違えますが、僕らはプロじゃないので。

木下喬弘
これは私も今までの人生で2回間違えたことがあります。

岡田玲緒奈
少ないですね!
絶対ウソやな(笑)

木下喬弘
ウソですね(笑)
でもこれロイターなんですよね。
英語の記事を日本語にしたんでしょうか。

岡田玲緒奈
そうですね。
英語の記事とあまり内容が変わらなかったので、日本語の記事をそのまま読みました。

木下喬弘
このデータで「8倍」と定量化するのはどうかと思います。

岡田玲緒奈
そうなんですよ。
そこで「8倍」って計算する?! と思ってしまいます。

木下喬弘
普通に読んでも、岡田先生に解説してもらっても、どう計算したのかイマイチよくわからないので、この記事を読んで8倍になった結果しか印象に残らない気がするんですよね。
計算過程が脳内で再現できないのに定量的な数字を出されて、すごく嫌な感じがしました。

岡田玲緒奈
実際にはもっと複雑なことをやっていて、400人 vs 400人ではなく、
1回目接種の2週間後から2回目接種の1週間後までの群が partially vaccinated で、
2回目接種後から2週間後以降の人は fully vaccinated という群で、
それぞれに対してマッチさせた非接種群との比較なので、400 対 400ですらなく、このパーセントの数字を出すのは元論文を読まないと絶対ムリという、かなり無茶な感じです。ごめんなさい、この説明じゃさっぱりわかりませんよね(笑)

というわけで、この話はみんなコメント無いという感じなので……

木下喬弘
コメント無いっちゅーか、複雑怪奇過ぎて「どういうこと?」ってなってます。
僕の頭の上にはブロッコリーの代わりに「?」が飛んでいます。

岡田玲緒奈
これ、小児科医からすると実はかなり身近な話題に繋がっていきます。

肺炎球菌ワクチンというのが、10年くらい前から日本で定期接種になっていて、これのお陰で小児で困る侵襲性肺炎球菌感染症が激減しています。
はじめは7価、今13価といって、要はそれぞれ7タイプの肺炎球菌、13タイプの肺炎球菌に効くワクチンです。
侵襲性肺炎球菌感染症を起こす症例は以前と比べると非常に少なくなりましたが、それでもゼロではなくて、起こした症例を調べてみるとこの13タイプから漏れたタイプによるものだと定期的に学会などでも報告があります。
「そんなん当たり前やろ」という話なわけですけれども、今回のも「まあそりゃそうやろな」というだけの結果だと認識しています。


【ニュース2】変異ウイルスは結局のところ何が問題なのか 高伝播性? 強毒性?

次も変異絡みの話です。
まずはこの記事を選んだ背景です。
日本で、いま来ていると思われる第4波は、なんだか様相が違うという印象を持っている医師が、Twitter などを見ていても多いようです。
感染者に若い人が多い、さらに若くて基礎疾患もないのに重症の人が多いと。
これは本当だろうか、より大規模なデータがあるだろうかと探しました。

それで行き着いたのが2つの CNN の記事です。
理由があって2つを同時に出します。
1つ目は、

B.1.1.7 variant more transmissible but does not increase disease severity, two new studies suggest
(B.1.1.7 変異ウイルスは伝播性が高いが、重症度を上げるわけではないらしいという2つの研究について)

参照:https://edition.cnn.com/2021/04/12/health/b117-variant-covid-19-lancet-studies/index.html
出典:CNN 2021年4月13日

もう1つが、

More young people are getting hospitalized as a 'stickier,' more infectious coronavirus strain becomes dominant
(よりくっつきやすい、つまりより感染しやすい変異ウイルスが台頭して、若い人の入院が増えている)
参照:https://edition.cnn.com/2021/04/12/health/b117-covid-variant-young-patients/index.html
出典:CNN 2021年4月18日

という2つです。

実をいうと僕は最初にこれらを見て少し混乱しました。
若者で重症が多いという現場の印象に引っ張られたのだと思います。
この2つは同じ日に、同じ CNN で公開されました。
前者は重症度を上げるわけではないという論文の報告の説明で、後者は若い人がやはり具合が悪くなるのか? どっちなんだ? と思いながらよく読むと矛盾はありませんでした。
両方を読んだ結論をまとめます。

・B.1.1.7 変異ウイルスは確かにヒトの細胞(正確には受容体)にくっつきやすく、どうやら感染者のもつウイルス量も多い。
・この2つの合わせ技で、伝播性が高いという性質になっているようだ。
・若い人の感染が増えているのは、アメリカでは既にかなりの高齢者が罹患して、そのために今度は若者に拡がってきたのでないか、また、高齢者のワクチン接種が進んできたからではないか。
・ワクチン頼みで行動制限を緩和したことが関わっているのではないか。

僕は基本的にはこのワクチンがらみの後半部分に同意で、アメリカでは65歳以上の78%以上が1回は接種、60%は2回接種しているということなので、割合として感染者に若い人が増えたのはそういうことだろうと思います。
ウイルスは別に高齢者、若年者、の順番で感染すると決まっているわけではありませんので。
だからといって、高齢者に感染し尽くしたという状況でもありませんから、ワクチンの行き渡り方と変異ウイルスの広がり方のタイミングが合ったのかなと考えています。

・65歳以上が半分、それ以下が半分だったのが、3月末には3分の1が18〜49歳、3分の1が50〜64歳、3分の1が65歳以上という割合に変わってきている。
・全体に調査できているわけではないが、調べられたものの中では40%くらいが B.1.1.7 変異になっている。
・若い人の感染者数全体が増えたことによって、重症化する人が当然絶対数として増える。

以上から、特に B.1.1.7 が高病原性になっていなくても現象を十分説明できるという記事だと理解しました。

基礎疾患のない若い人たちの中でどういう人が重症化するかはわかっていません。
しかし、何らかの要因が関連して重症化する人は一定の割合で存在します。
大事なことは、伝播性のみが高まったウイルスであっても、若い人の間でも大きな流行になれば重症化する人の数は無視できないほど大きなものになることだと受け止めています。

みなさんご意見はございますか。

木下喬弘
割合の話であるにも関わらず分母と分子が複雑…アゲイン。

岡田玲緒奈
すみません!(笑)

木下喬弘
難しいですねえ。

岡田玲緒奈
記事を読んでも「結局どういう理屈なんだ」という感じです。
要はウイルスにとっては、伝播性を高めるだけでも、感染者を単純に増やすことによって、重症化する人も数として単純に増やせるという話だと思いました。
峰先生いかがですか。

峰宗太郎
これは非常に難しく、アメリカの感染者数は下げ止まっていてやや上昇傾向にありますが、全体数は落ち込んでいます。
そういう中で若い人の割合が増えているのと、変異ウイルスの割合も増えているのは一見相関していますが、これを単純に説明するのは難しいと思います。
例えば日本で第2波が来たときに「重症化する人が減っている」と一部の臨床家が騒いでいましたよね。
その後第3波が来たらその話はどこかに消えちゃって、やはり重症化するという話になりました。

これは別に変異ウイルスが増えたのではなく、フラクチュエーション(fluctuation)、つまり揺れとかゆらぎの範囲なのかなと感じています。
はっきり言ってそういう現象に関してはモデリングの人も僕はあまり信用していないので、うまく説明する人は出てこないのではないかと思いながら少し引いて見ています。
前半の N501Y がある B.1.1.7 の変異によって伝播性が上がっているという説明には少し違和感があります。
N501Y によって伝播性が上がっているかどうかはわからないと思うんですよね。
というのは、B.1.1.7 の変異箇所は20以上あるわけです。
N501Y は B.1.351 にも P.1 にも入っています。
B.1.351 の伝播性が著しく上がっているかはまだわかっていません。
P.1 に至ってはあまり上がっていないという意見があります。

もし伝播性が上がっていることが確実であれば、N501Y があるからといって必ずしも伝播性がバンと上がるのではなく、他の変異も効いているのではないかと思います。
メカニズムもよくわかっていなくて、フィットネス、つまり細胞とウイルスの親和性が上がるというのは確かに一見説明がついているように思えます。
しかし、フィットネスが上がったから伝播性が上がるかどうかは、実はメカニズムとしてあまり証明されていません。

そう考えると、排出しているウイルス量がただ単に増えただけとか、ウイルスを排出している期間が長くなったということがあると、そちらの方が効いているかもしれなくて、実はスパイクタンパク質は全然関係ない可能性もあるわけです。
変異ウイルスについては言うほど生物学的に、ウイルス学的にわかっていることは無くて、D614G のときも動物実験までしたのですが、ウイルス学者は結局メカニズムへの言及をしていません。

以上をふまえると、さも「これが原因だ」と語っていることは全部ウソじゃないかなと思っているので、私はあまりメカニズムについては触れないことにしているんですよね。

岡田玲緒奈
峰先生がおっしゃった点は非常に面白くて、タンパク質の構造がどう変化し、どの程度元と同じ機能があったり、逆に落ちたりしているかを確認するのは、実はかなり難しいことです。
僕たちは遺伝の病気なども扱います。
疑っている病気で原因とされている遺伝子のところに変化はあるのだけれど、そのピンポイントの点変異に関して過去に報告が無いとなると、それが本当に原因だとは言えないのです。この辺りは医師でも十分理解していない人も少なくない難しい話なのですが…こうした場合はめちゃくちゃ大変な解析をしてやっと雑誌に掲載されるというのを、なんとなく今思い出しておりました。

この記事の中で、どうしても取り上げたかったフレーズがあります。
ジョージワシントン大学のジョナサン・レイナー教授が、嗅覚や味覚障害が長く続く、あるいは意欲の低下(これは原文では brain fog、脳にかかる霧と表現していますが)、といういわゆるロング・コビッド(註: 日本ではコロナ後遺症といわれているようなもの)の状態は重症化の有無に関わらず起こるものだと説明した上で、若者に対してこう伝えたいと言っています。

「Covid-19 doesn't have to kill you to wreck your life」
(COVID-19 は、何もあなた方若者を殺すまでしなくても人生をむちゃくちゃにすることができるのだよ)

エモいですねえ。
とか言ったら怒られるのかも知れませんが、こういう感情に訴えかけるようなコミュニケーションというのも重要だと改めて思ったわけです。

長くなりましたがみなさんいかがでしょうか。

安川康介
いま岡田先生が言ったことはとても重要で、若い方は、特に20代などでは死亡数を見てもほぼゼロだったりするので「かかっても重症化しないからワクチン受けなくていいんじゃないか」と思っている方が結構多いんですね。

日本の重症の定義とアメリカの重症の定義とは異なるということも重要です。
日本の重症の定義は、呼吸管理をしているとか ECMO に繋がれているとかそういうレベルで、アメリカよりもかなり重症度が高い定義になっています。
僕はふだん新型コロナウイルスの患者さんをよく診ますが、若い人は少なくありませんし、重症には入らないけれども、すごくつらそうな人がたくさんいます。
「重症化しない」とか「無症状」とか「軽症」の方はもちろんたくさんいますが、重症者や死亡者だけでは見えてこない新型コロナウイルスの悲惨さを病院で目の当たりにしています。
若い人から他のリスクの高い人に感染してその方が亡くなるということももちろんありますが、若い人でも「これは本当にかかりたくないな」と思ってしまうような酷い状況を昨年の3月くらいからずっと見てきました。
「若いからかかっても大丈夫とは思えない病気」だということは皆さんに知っていただきたいです。

岡田玲緒奈
ありがとうございます。
軽症でも後々の症状があることについて、何かまとまった報告はあるでしょうか。
自分では探しきれなかったので、もしあったら教えてください。

安川康介
そんなに症状は重くなかったけれど後遺症が出た人がいるという報告は出ていると思います。
(参考文献:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2778528

岡田玲緒奈
ではそれも後で教えていただいて、読んでみます。
他の方いかがでしょうか。

言葉を丁寧に扱うことの大切さ リスクについて伝える難しさ

……盛り上がりませんね。
ネタが微妙すぎましたか。

木下喬弘
いや、そんなことないですよ。
エモにいが選んだネタで成立していたと思うんですけど、いかんせんフィットネスとか言われるとイマイチよくわからんかったという。

岡田玲緒奈
じゃあ峰先生に最後ちょっとコメントいただきましょうか。

峰宗太郎
フィットネス…わかんないですよね。

木下喬弘
フィットネスってジムのことなんじゃないの。

峰宗太郎
そうなんですよ。
僕も専門用語って難しいなと常に思っていますが、専門家の間でも正しく使わない人がいるのでぐちゃぐちゃになるんですわ。

木下喬弘
「なるんですわ」ですか(笑)

峰宗太郎
どのくらいぐちゃぐちゃかというと、ウイルス学者の間でも変な言葉を使う人がいっぱいおるんですわね。
それがちょっと同心円状にウイルス学者から外れた「ウイルス学をちょっと知ってるお医者さん」とかになると、もう言葉なんてはっきり言って使えていないんですよ。
それがさらに外の人、さらにメディアの人と伝わっていくと、言葉と概念も全部ぐちゃぐちゃになってリンクしなくなるので……難しいんですよね、伝えるのって。
どこの分野でもそうですが、疫学の分野だって、小児科の分野だって、言葉を丁寧に扱う必要がありますよね。

岡田玲緒奈
ありますねえ。

木下喬弘
僕はあまりうるさく言わないタイプなのでスルーしていますが、うるさい人は色々言いますよね。

峰宗太郎
僕はうるさくないタイプなんで言わないですよ。

木下喬弘
いやいやいや(笑)

岡田玲緒奈
Twitter で言うんでしょ(笑)

峰宗太郎
めちゃめちゃうるさいタイプです、すいません(笑)
ただ、この変異ウイルスについては色々な概念が錯綜しているので、こうしてたまに整理するのは大事です。
昨日私は基本的なことだけお話しましたが、岡田先生が今日触れてくださって、皆さんも良かったのではないかと思います。

何度でも強調したいのは、変異ウイルスについてです。
これは木下先生が例えに使っていて気に入っているのですが「100m先までうつるようにはならない」んですよね。
標準的な予防策で防げなくなるような大きな性質変化は無いので、まずはとにかく予防をしていただきたいです。
若い人だからといって何らかの形で伝播性が上昇していたら、そういう人がハブになってもっと広げる可能性が出ているというくらいに一層構えた方がいいんですね。

これは先程木下先生が僕のツイートをリツイートして言ってくれていたのですが、より気を引き締める必要はあるわけですよ。
若い人にも是非予防を徹底していただきたいです。
「自分たちは重症化しないからワクチンは要らないんだ」
という少しひねくれた態度をとるのではなく、
「自分が広げてしまう可能性もあるからちゃんと打ってみようかな」
と考えてくれるといいなと思っております。

岡田玲緒奈
ありがとうございます、狙った通りのところを補足していただいて!
木下先生いかがですか。

木下喬弘
変異の話はコミュニケーションが難しいですよね。
変異というだけで「すごくヤバい!」と騒ぐ人に
「別に100m先に感染するわけではないですよ」
「僕たちが Clubhouse で喋っていてもうつらないですよ」
と、しょうもないことを僕はいつも言っています。
しかし伝播性自体は上がっていそうだというのは、世界の感染症疫学をやっている人の大方の見立てだと思います。
実際に大阪などは凄い勢いで感染が増えているわけじゃないですか。
だから「今までと変わらないですよ」と伝えるだけでいいのかという悩みがあります。
私はリスクコミュニケーションの専門家ではないのでこの言葉を使うのがためらわれるのですが、
「やること変わんないけどしっかりやらないといけないよ」
というメッセージを強めに出していく必要があると今日思ったので、そんな感じのツイートをしてみました。

峰宗太郎
それは僕も非常に正しいと思っています。
リスクコミュニケーション上正しいことって、僕はあると思うんですよ。
それは完全に同意します。
結果オーライですが、ジョンソン首相はそれをうまくやったなと思います。

(響く金属音)

あれ、木下先生、料理してます?

木下喬弘
バレましたか(笑)
今ウェイパーを鍋に足していまして、落としてしまって申し訳ない。

峰宗太郎
台所の音だろうなと環境音でわかってはいましたが、安川先生を鍋に入れちゃってください(笑)

安川康介

画像4

5分くらい茹でてください。

峰宗太郎
ジョンソン首相はうまくやったところがあると思います。
変異ウイルスが出たときにまだ B.1.1.7 という名前がついていなくて VUI という名前だったときに、これを使って国民を煽ったんですよね。
「70%伝播性が上昇したことを我々の科学者が確認した」
と言い切り、これは国の危機だと煽ってロックダウンの厳格化に協力させました。
これは科学的に正しいかと今振り返ると、おそらくミスリードなところが多いとは思いますが、しっかり危機感を伝えるのにうまく使ったなという印象です。
これは1つのリスクコミュニケーションのあり方だと思います。
後に検証されると痛いとは思いますが、今となっては、国の危機を救ったという意味ではまあアリかなという感じです。

岡田玲緒奈
本当に煽っていましたねあれは。
僕も「ちょっと断定的に言うのが早くないか」という気がしていましたが。

木下喬弘
煽っていたどころか、
「感染者数が増えたのは俺のせいじゃなくて変異のせい」
みたいなことも言ってましたよね(笑)

岡田玲緒奈
言ってましたね(笑)

ということで、他の先生方、よろしいでしょうか。
ではもう9時も過ぎておりますので、今日はここまでにしたいと思います。
週末はお休みにして、月曜日は誰でしたっけ。
まだ決まっていないんですね。

木下喬弘
調整中でございます。
最悪、代打木下になります。

岡田玲緒奈
「最悪ではない」説がありますけれども(笑)
これで、今週の…何でしたっけこの…アレは…「こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース」を以上にしたいと思います。
それでは皆さん、良い1日をお過ごしください。

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