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「失われた時を求めて」と「プルーストを読む生活」を読む 117

失われた時を求めて

13巻、127ページまで。主人公はゴンクール兄弟の日記を読んでいる。ゴンクール兄弟とは実在の人物で、フランスの芥川賞的扱いの賞にゴンクール賞というものがある。プルーストは「失われた時を求めて」の4巻で受賞している。ゴンクール賞の作品は、毎年受賞者が発表されるとフランスでたくさん読まれるらしい。そういう意味では芥川賞よりもよほど注目されている。フランスは読書人口が多いのだろうか。H.A.Bノ冊子vol.9 山口文子「パリと本屋さん」にそんな話が載っていた。

主人公が読んでいるゴンクール兄弟の日記は、未発表原稿という扱いの架空の日記であり、ヴェルデュラン夫妻が主催する「水曜の会」にゴンクールが招かれていたことになっている。まだスワンが参加していた頃の話。主人公が取るに足らないと思っていた水曜の会の参加者について、ゴンクールは一定の評価を示している。人をしっかり見るという点で主人公とは異なり、主人公がいかに他人に興味なく、人を軽く見ているかが伺える。それにしてもゴンクール兄弟の日記長すぎ。20ページぐらい続く。

主人公が入院したり退院したりして、いつの間にか戦争が始まっている。1914年、第一次世界大戦。戦争に伴ってか、時間が経ったからか、ドレフュス事件がすっかり風化したことが語られる。年号で見ると、一番最初に事件が起こったのは1894年、最終的にドレフュスが無罪判決を受けたのが1906年ということで、「失われた時を求めて」ではまだドレフュス派、反ドレフュス派と争っていた時期から描かれており、作中時間では15年ぐらい経過しているということか。

この小説は何巻の時点が何年頃で、という時系列が非常にたどりにくい。いつも主人公が今何歳なのか、全くわからないまま物語が進行している。第一次世界大戦が始まった時点で主人公はいくつなのだろう?そういうことばかりが気になる。友人サン=ルーも初恋の相手のジルベルトも結婚しており、アルベルチーヌの友人アンドレも、いつの間にかオクターヴと結婚していた。みんなそこそこ年齢を重ねているはずなのだ。

注釈によると、第一次世界大戦が始まってからフランスでは「戦前」という言葉が生まれたらしい。世の中が一変する前、という意味で、2022年の今で言う「アフターコロナ」みたいな新語だろう。作中で戦争はまだ終わっていないから「戦後」はまだ出てこない。第一次大戦と第二次大戦は続けて歴史で習うため、歴史上続けて起こった戦争のように錯覚する。実際に第二次大戦が起こったのは1939年で、第一次大戦から20年も間が空いている。歴史上の20年は短くとも、人間の人生で20年はけっこう長い。日本人の感覚で「戦後」は太平洋戦争後を指すけれど、フランスで第一次大戦後の「戦後」があってもおかしくない。

プルーストを読む生活

629ページまで。著者は新書をたくさん読んでるっぽい。大学生の頃はよく新書を読んでいた。それ以降はあまり読まなくなった。ときどき読む。最近読んだ「思考の整理学」は文庫だけど新書っぽい内容で、薄ぼんやりしていた。片手間で書いたんだろうか。

著者は台風が来ると屁理屈が出るらしい。ちょうど先週こちらにも台風が来ていた。僕は体調的に、あまり台風の影響を受けない。僕の住んでいる地域もあまり台風の影響を受けたことがなく、台風が怖いという体感を持ったことがない。情報としては知っている。

「プルーストを読む生活」における「失われた時を求めて」は終りが見えてきたそうだ。いったい今どこを読んでいるんだ。版が違うとこれほど追うのが難しいのか。ただ僕は、翻訳はなるべく新しいものをおすすめします。どれがいい翻訳なのかは判断できないけれど。

著者はブレスオブザワイルドをあっさり終えていた。僕もあっさり終えていた。クリア後の要素が、追加パックを買わないとあまりなかった。来年2が出るらしいので、それを待つ。

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