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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 2月20日~ジャン=バティスト・リュリ コメディ・バレ『町人貴族』

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月20日のテーマは、
【主題】
とりあげる作品は、
ジャン=バティスト・リュリ /
コメディ・バレ『町人貴族』

です。

いますぐ聴きたくなる! 1日1ページでわかるクラシック音楽の魅力
1週間で7テーマ! 1年で「クラシック音楽」の虜になる!
本書には、いまでも多くの人に愛好されているクラシック音楽の名曲の数々を、より深く楽しむための知識や情報を盛り込みました。366の名曲を、「音楽史」「主題」「ジャンル」「逸話」「作曲・演奏」「周辺」「謎」といった7つの共通テーマで考察・解析・推理・解説します。
ジャン=バティスト・リュリ の名言
"We must have recourse to the rules of music when our genius and our ear seem to deny what we are seeking."
「才能と耳が求めているものを否定しているとき、私たちは音楽のルールに頼らなければなりません。」

ジャン=バティスト・リュリ (Jean-Baptiste [de] Lully)
1632年11月28日 - 1687年3月22日
フランス盛期バロック音楽の作曲家。ルイ14世の宮廷楽長および寵臣。

『町人貴族』は、コメディ・バレという歌とダンスの入ったコメディ(喜劇)で、1670年の初演から大成功を収め、このジャンルでは数少ない成功だそうです。
その成功要因は、当時トルコ趣味というトルコの音楽やファッション、飲み物などがもてはやされていたため、流行りに乗ってヒットしたというもの。
ルイ14世からのオーダーをもらって、ビタッと仕上げてくるのは、まるで「ヒット請負人」とでも形容したくなるような職人仕事です。

上記の名言から察するに、リュリは「人はどのような音楽で気分が変わるのか」をわかっていたのでしょう。
通奏低音、速い楽章の快活さ、悲しげな楽章における情緒性と、幅広い表現でも名高いとあり、人心の機微を察知する能力に長けていたと想像します。
ルイ14世、太陽王という稀代の人物から支援を受けていたというのだから、死ぬほど心を砕いていたことは想像に難くない。
実際リュリは、ルイ14世の病気快癒を祝して『テ・デウム』を指揮した際の事故が原因で亡くなってしまうのだから、心配のし過ぎが災いに転じてしまったというものです。
ただ、それだけ「いかにして寵愛を受けていられるか」ということに特化し、才能を尖らせたともいえます。

明確なターゲットを持ち、刺さるコンテンツを生きるか死ぬかレベルで考える。
ビジネスにも通ずるリュリの仕事術。
学びは意外なところにもあるものです。

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