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【音楽×珈琲 鑑賞録】7月31日~エドゥアール・ラロ スペイン交響曲

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【154日】
7月31日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
エドゥアール・ラロ /
スペイン交響曲

です。

ヴィクトール・アントワーヌ・エドゥアール・ラロ
Victor Antoine Édouard Lalo
1823年1月27日 - 1892年4月22日
フランスの作曲家、ヴァイオリンおよびヴィオラ奏者

今回とりあげる「スペイン交響曲」(Symphonie espagnole)作品21
1874年に作曲、1875年にパリで初演した作品です。
「ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ短調」が正式タイトルであり、交響曲(Symphony)というより協奏曲(Concerto)となる、ヴァイオリン独奏と管弦楽で構成された交響的協奏曲です。

ラロはヴァイオリンの名手であるパブロ・デ・サラサーテのために1872年にヴァイオリン協奏曲第1番ヘ長調作品20を手がけ、成功を収めました。
それを経てさらなる発展を目論み、本作のヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調作品21を手がけました。
サラサーテの出身地であり、ラロ自身の心のふるさと、スペインの音楽性をモチーフにしたところ、見事な出来栄えだったために「協奏曲の域に収まるものではない。交響曲レベルだ!」と思ったのではないでしょうか。

そんな協奏曲と交響曲にどんな違いがあるのか。
ある程度、定義を知っておきます。
交響曲「4つ程度の楽章によって構成され、そのうちの少なくとも1つの楽章がソナタ形式であること」
協奏曲「一つまたは複数の独奏楽器(群)と管弦楽によって演奏される多楽章からなる楽曲」
時代によって微妙に違う部分もあるようですが、独奏楽器があれば交響曲から外れるということにはなりそうです。

ラロの「スペイン交響曲」は、5楽章からなり、第1楽章はソナタ形式ですが、ヴァイオリン・ソリストがいる以上、交響曲の定義から外れます。
それを知っていながらにして交響曲と名付けたのだから、ラロの並々ならぬ意気込みが感じられる音楽であり、なによりこの楽曲を交響曲と受け入れた聴衆がいたわけです。それだけでこの楽曲の素晴らしさを証明しています。

第一楽章の冒頭から主題がかっこよく、情熱に溢れた演奏と哀愁漂うメロディがドラマチック。
聴いているだけでソリストの演奏力が伝わるうえに、ヴァイオリン楽器の特性を魅せ、表現力の豊かさが垣間見えてきます。

作曲家として、なかなか目が出なかったというラロですが、サラサーテという稀代のヴァイオリニストと出会い、お互いに親和性の高い音楽を手がけ、成功を収めることができました。
交響の本懐とも言えそうなシナジーはどのような背景から生じたのかを研究するにもよい楽曲ですね。

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