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【音楽×珈琲 鑑賞録】10月22日~リヒャルト・シュトラウス オペラ『サロメ』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【71日】
10月21日のテーマは、【主題】

とりあげる作品は、
リヒャルト・シュトラウス /
オペラ『サロメ』

です。

リヒャルト・ゲオルク・シュトラウス
Richard Georg Strauss
1864年6月11日 - 1949年9月8日
ドイツ後期ロマン派を代表する作曲家、指揮者

「サロメ」(Salome)作品54は、1903年から1905年にかけて作曲した1幕のオペラ。台本はオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」をもとに、ヘートヴィヒ・ラハマンがドイツ語訳したものです。

「サロメ」は山田五郎さんの「大人の教養講座」でちょっと知識をかじっていたので、興味深く鑑賞してみましたが、なかなかアヴァンギャルドな作品で驚きました。
とにかく主役のサロメは演奏時間約1時間45分の間、出ずっぱりな上に、歌に踊りにめちゃくちゃ大変な役柄で、著名な第4場の「サロメの踊り(7つのヴェールの踊り)」は、くるくる踊ったりコロコロ転がったり狂気じみた演技をしたあと、生首への接吻シーンで高らかに歌いあげるなど、たしかに難役だわと演者の凄みに圧倒されました。

山田五郎さんのギュスターヴ・モローの「サロメ」解説を経て、このオペラを観ると、同じ題材で近しい設定ではあるものの、時代の変遷が感じられます。
起源になる聖書では、宴で披露したサロメの踊りを喜んだ古代イスラエルのヘロデ王がサロメに褒美をもたらすと約束。そこにサロメの母ヘロディアがつけこみ、自分と王の結婚に対して非難をした洗礼者ヨハネの首をとってくるようサロメに命じたというのが本来の物語です。
そこからモローが「ファム・ファタール(運命の女)」という形で表現を変容させ、さらにオスカー・ワイルドがサロメの狂気的な愛を色濃く表現した戯曲に改編しています。
そして、リヒャルト・シュトラウスの時代には、オペラという形でより視聴性と芸術性を高めて題材を引き立てています。

この流れを受けて考えてみると、西洋の性愛の醸成が少なからず芸術によってもたらされているんだなと改めて思い知らされます。
ひいてはグローバル化した情報の波に乗って極東日本でも、多様な表現に想いを馳せ、醸成するものがあったわけです。

かつてはこうした「サロメ」のような表現が歓迎され、猟奇的なエンタメを発展させ、享楽こそ喜びであった時代がありました。それが今や時代を慮る感じに変遷しています。
今現在に親しまれている物事も、未来には「あの時代の人たち、こんなの楽しんでいたんだね。」と慮られるものばかりなのでしょう。

今は今で楽しんだらいい。
それが未来に何の意味になるかは知らんがな、という気がします。
歴史を学ぶと、正義や正解は時代によって変わるのだから、気にしても仕方ありません。
時代のルールに則り、やりたいことをやったらいい。
そんなことに想いを馳せる時間になりました。

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