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【音楽×珈琲 鑑賞録】11月25日~アルベール・ルーセル バレエ音楽『蜘蛛の饗宴』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【37日】
11月25日のテーマは、【音楽史】

とりあげる作品は、
アルベール・ルーセル /
バレエ音楽『蜘蛛の饗宴』

です。

アルベール・ルーセル
Albert Charles Paul Marie Roussel
1869年4月5日 - 1937年8月23日
フランスの作曲家

『くもの饗宴』(フランス語: Le Festin de l'araignée, 英語: The Spider's Feast)作品17 L. 19 は、1912年作曲のバレエ音楽です。

この作品は、芸術劇場からバレエ音楽を依託され、アンリ・ファーブルの『昆虫記』からインスピレーションを受けて創作されたものです。女郎蜘蛛の巣にかかって喰われてしまう昆虫たちを表現した象徴的バレエ作品に仕上がっています。
2部構成で切れ目なく演奏され、約30分の演奏時間ですが、のちにルーセル自身の編曲で「交響的断章」(Fragments symphoniques)を創作。7つの楽章で構成され、約15分の演奏時間です。

アルベール・ルセールは初期においては印象主義的な作品を手がけ、この作品もそのひとつ。現在でも交響的断章が演奏されるルセールの代表作品ですが、どこかロシア的音響も漏れ聞こえるようなバレエ音楽のスペクタクル感ある作品です。

ルセールはのちに古典主義へ傾倒するなど、当時の新古典主義を牽引する一人になります。
もともとルセール自身、海軍への道を志すなど国家を想う気概のある人であったため、第一次世界大戦中の傷痍兵輸送車の運転手を務めた戦後、ノルマンディーに移ったところで作曲活動に励んでいます。
時代の風潮やジャズの流行など、当時のモメンタムを取り入れた音楽性に変遷していくのはむしろ自然なことだったのかもしれません。

この作品がもつ印象主義的な描写がだんだんと克明に現れてくるような、表現したいものの解像度が上がる展開は、ものづくりの変遷としても学び深いものですね。

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