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【音楽×珈琲 鑑賞録】3月7日~ロベルト・シューマン 『謝肉祭』 × VACILANDO COFFEE ブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎り

音楽観を鍛える鑑賞録。
それにあう珈琲をそえて。
3月7日のテーマは【逸話】

とりあげる作品は、
ロベルト・シューマン /
『謝肉祭』
 × 
VACILANDO COFFEE /
ブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎り

です。

ロベルト・シューマンの名言
Nothing right can be accomplished in art without enthusiasm.
「情熱なくしてアートは成し遂げられません」

ロベルト・アレクサンダー・シューマン
Robert Alexander Schumann
1810年6月8日 - 1856年7月29日
ドイツ・ロマン派を代表する作曲家。

今回とりあげる楽曲、
『謝肉祭』(Carnaval)作品9は、シューマンが1834年から1835年に作曲したピアノ曲集で、全20曲。
曲のタイトルは、シューマンの評論に出てくる架空の団体「ダヴィッド同盟」の構成員(フロレスタンとオイゼビウス)や、実在の音楽家(ショパン、パガニーニ)、後に妻となるクララなどが登場。
小品が途切れることなく演奏されていくという、この頃においては新しい形式の音楽を導入しています。
なので、この作品は演奏時間約24分、途切れることなくまるっと通しで聴くことができます。まるでポモドーロ・テクニックのようで、ちょうどいいアルバムを聴くといった具合に鑑賞できます。

"366日の西洋音楽"では、
「4つの音符による面白い情景」(Scènes mignonnes sur quatre notes )の副題の逸話をクローズアップしています。
実らなかった恋の相手エルネスティーネ・フォン・フリッケンの出身地アッシュ(Aš)のドイツ語表記「ASCH」を音名で表記した、《 As - C - H 》、《 A - Es - C - H 》(「ラ♭ - ド - シ」 、「ラ - ミ♭ - ド - シ」)、これらの音列のいずれかが使用されています。
以前、ブラームスの『弦楽六重奏曲』第2番で記事にしましたが、近しい人たちで似たようなギミックを曲に挟んでいるものですね。あるあるなんでしょうか。
いずれにせよ、心の機微を掬いあげ、表現するからこそアートになる。
まさに上記の名言にあるとおり、アーティスト自身の心にとことん向き合い、滾らせ、憔悴してでも創りあげたものが人々の心を打つ。
シューマンの人生を思うと、図らずも他者と向き合わざるをえないなかで、「なぜ分かり合うことができないのか」ということに苦悩していただろうと思います。

だからこそ、心をとらえるための解法を目指し、導かれるようにアートとのシナジーが巻き起こった。
初期の作品からも、情熱があるからこそ苦悩し、傑作を生み出すメカニズムが見受けられます。

そんなシューマンの楽曲は、演奏者によって心が解釈されているような表情があります。この謝肉祭も同様で、程よい演奏時間ということもあり、さまざま聴き比べしていきたいものですね。

音楽にあう珈琲を考えてみる

このシューマンの音楽を受けて、淹れる珈琲も思考してみましょう。
昨日は、『問-tou-ブレンドコーヒー』で、ブラジルのナチュラルとウォッシュトのブレンドを愉しみました。
今日は、長野県上田市にあるVACILANDO COFFEEが手がける『ブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎り』で、同じ産地の飲み比べ。

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同じ産地といっても、ブラジルという大国内での括りですが、そういったニッチなところに愉しみを見出すのもよいということで。

コーヒー豆にする生産過程で、『ナチュラル』とは、コーヒーチェリーから生豆を取り出す作業(生産処理)のひとつです。
コーヒーチェリーをそのまま天日干しにして乾かす『ナチュラル』
コーヒーチェリーから果肉を機械で取り除いてから、天日干しして乾かす『パルプトナチュラル』
コーヒーチェリーから果肉を取り除いて、水につけ洗いしてから乾かす『フリーウォッシュト(Fully Washed)』

まぁ、いろいろな精製法があるわけですが、ご想像のとおり「ナチュラル」は特に独特です。ほぼ完全に自然に実を任すわけですから、時と場合により状態が変わることもありうる。それがまた面白いところです。

今回いただいたVACILANDO COFFEEのブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎りは、複雑怪奇な芳香がある、コーヒーの可能性を無限に感じさせる逸品。ブラジルと一括りにはできないもので、でもしっかりと土地の味がある。
まるでシューマンの余白ある楽曲が、演奏者によって表情が変わってくるようなものです。

無理矢理な紐づけですかね?
でも、そういったちょっとの違い、機微をポジティブにとらえることも、
シューマンの生き方から学び受けたものです。
ぜひ、さまざまな比較を、ポジティブに楽しんでみていただければと願っています。

伺ったお店の情報です。
VACILANDO COFFEE
長野県上田市中央2丁目6−5
営業: 9:00~18:00
定休: 水

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