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【音楽×珈琲 鑑賞録】8月24日~エクトル・ベルリオーズ ファウストの劫罰

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【130日】
8月24日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
エクトル・ベルリオーズ /
ファウストの劫罰
です。

ルイ・エクトル・ベルリオーズ
Louis Hector Berlioz
1803年12月11日 - 1869年3月8日
フランスのロマン派音楽の作曲家

今回とりあげるベルリオーズの『ファウストの劫罰』(légende dramatique "La damnation de Faust")は、オーケストラの大編成と、混声6部合唱、児童合唱ソプラノ2部編成で、4楽部構成、約2時間23分の演奏時間になる大作です。

着想は1824年。
ベルリオーズがゲーテの長編戯曲『ファウスト』のフランス語版を読んだところ、どハマりしてしまい、『ファウストからの八つの情景』として自費出版して、ゲーテ自身に楽譜を贈るくらい夢中になってしまいました。

ゲーテ側からは送り返されてしまい、そのまま20年近く放置されたものの、1845年に再びベルリオーズのファウストへの想いが再燃し、改めて『劇的物語』(légende dramatique)として1846年にこの作品を仕上げました。
ところが、パリ・オペラ=コミック座で初演された際にはまったく観客が入らず、わずか2回の上演で打ち止め。ベルリオーズは多額の負債で破産の危機に。
これを機にしてベルリオーズはロシアに逃れることになります。
この『ファウストの劫罰』が受け入れられたのは、ベルリオーズが亡くなってからというのは、なんとも悲劇的な印象を覚えます。

長編物語なので、冗長な作品に聴こえてしまいますが、
『ハンガリー行進曲』や『鬼火のメヌエット』、混声合唱が勢いのある『三重唱と合唱』など、楽団を楽しむ趣きとしては聴きどころが多いものでした。

それにしても、ゲーテの作品はほんとうに多くの作曲家にインスピレーションをもたらしたのだな、と驚嘆しました。
シューベルト、シャルル・グノー、ワーグナー、フランツ・リスト、シューマン、マーラーなど錚々たるメンツが「ファウスト」を題材に何かしらのかたちで作品を残しています。
文学からインスピレーションを受けることはよく聞く話ですが、ベルリオーズクラスの情熱をもって作品に昇華しようという気概はなかなか持てないものです。
それでも世界には過去から現在において無限とも思しき文学があるわけで、きっとベルリオーズと同じように、本気で作品に昇華したいと思えるものがあるはずです。
いつか出会う運命の文学。
それを手繰り寄せるためにも読書は死ぬまで続けていきたい行動のひとつですね。

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