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【音楽×珈琲 鑑賞録】11月6日~ジュゼッペ・ヴェルディ オペラ「ファルスタッフ」

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【56日】
11月6日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
ジュゼッペ・ヴェルディ /
オペラ「ファルスタッフ」

です。

ジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディ
Giuseppe Fortunino Francesco Verdi
1813年10月10日 - 1901年1月27日
19世紀を代表するイタリアのロマン派音楽の作曲家、「オペラ王」

『ファルスタッフ』(Falstaff)は、初演を1893年2月9日にミラノのスカラ座で行われた3幕のオペラ作品。
原作はウィリアム・シェイクスピアの喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』で、アッリーゴ・ボーイトが台本執筆、ジュゼッペ・ヴェルディ最後のオペラ・ブッファです。

オペラ・ブッファの特徴は、市民的でより身近な問題をテーマにしています。
滑稽でドタバタな部分を取り出し、あらゆる問題を笑い飛ばすような喜劇が多いのが特徴です。

このファルスタッフはオペラ王ヴェルディが80歳前にして手がけた最後の作品であると同時に、オペラ・ブッファの完結と目されている作品でもあります。

内容は太った老騎士ファルスタッフが金を目当てに女性たちに手紙を配り誘惑しようと目論むところから始まります。
その魂胆がバレて、懲らしめるというのが筋の展開になりますが、ところどころで表現される老騎士の悲哀であったり、若者たちの恋模様であったりと、ドタバタしているなかで逸してしまったどうしようもないもどかしさが表現され、ヴェルディの音楽と相まって笑えて泣けるというような作品に仕上がっています。

最後は、「世の中全て冗談だ」(Tutto nel mondo è burla)と賛美して幕引きとなりますが、その時代背景の感覚が現代にも通じ、自分自身の人生にも通じるものがあるというのも社会の普遍的な構造を窺い知れるところです。

ヴェルディ自身はオペラ王としての地位を確立しながらも、有名人として束縛されるのを嫌い、社会と距離をおくような姿勢を示しています。
晩年、親しい人たちが亡くなっていくなか、最後のオペラ作品で社会の不条理を笑い飛ばそうとしたのかもしれません。
功績は多大なものがありながら、それゆえの苦しみにもがいていたわけです。

甘い考えかもしれませんが、酸いも甘いも噛み分けて、自分なりに納得いく人生を歩めるように努めていきたいものだなとヴェルディの晩年から考えてしまいました。

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