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【音楽×珈琲 鑑賞録】9月16日~アルベルト・ヒナステラ パンペアーナ

音楽観を鍛える鑑賞録。 
エンディングまであと【107日】
9月16日のテーマは、【音楽史】

とりあげる作品は、 
アルベルト・ヒナステラ /
パンペアーナ

です。

アルベルト・エバリスト・ヒナステラ
Alberto Evaristo Ginastera
1916年4月11日 - 1983年6月25日
アルゼンチンのクラシック作曲家

今回とりあげるヒナステラのパンペアーナ(Pampeana)は、
第1番(ヴァイオリンとピアノ)作品16を1947年、
第2番(チェロとピアノ)作品21を1950年に、
第3番「交響的パストラール」作品24を1954年に手がけた、
アルゼンチンのパンパ(草原)をガウチョ(パンパ草原に住むカウボーイ)が駆け抜けていくイメージを表したコンセプト的作品群です。

ヒナステラを今回の機会に初めて知りましたが、ラテンアメリカを代表する作曲家のひとりで、アルゼンチン音楽家の至宝ともなる人。
自分の守備範囲の狭さを思い知らされます。

ヒナステラはバレエ音楽「エスタンシア」が代表作で、アルゼンチンの民族音楽を取り入れ、ガウチョの生活や農村風景を彷彿させるような作品を手がけました。
そういったナショナリズムの直接的な表現を経て、前衛的な作風に移行していくなか、生まれてきたのが「パンペアーナ」です。
原風景ともいうべきモチーフを核に、世界各地に飛び回ったヒナステラの体験を通したオリジナルの表現。
ヴァイオリンとピアノ、チェロとピアノ、そしてオーケストレーションと、楽器の編成をさまざまにしながら、そのときどきの表現で聴衆に想像を膨らませます。

違う楽器編成で違う時代でも、
聴いていると近しい風景が思い浮かんでくるかのよう。
こうした仕掛けは、コンテクスト(文脈)の大切さとともに、説得力のある音楽でポジティブな想像を引き出している牽引力が窺い知れます。
長大な時間をかけ、質と量の積み重ねで守破離を発動させている。

名曲を生み出すことはもちろん容易いものではありませんが、
その方法論とも思しき作法とは、ヒナステラの創作過程に一種の解があるのだと思います。
あとは、その実践をやるかやらないか、だけ。
数多の名曲を真似び、その域へゆくために、にじり寄っていくようにでも前進を止めないようにすればいいだけ、なんですよね。

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