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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 2月23日~アルノルト・シェーンベルク 『ピアノ組曲』作品25

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月23日のテーマは、
【作曲・演奏】
とりあげる作品は、
アルノルト・シェーンベルク /
『ピアノ組曲』作品25

です。

いますぐ聴きたくなる! 1日1ページでわかるクラシック音楽の魅力
1週間で7テーマ! 1年で「クラシック音楽」の虜になる!
本書には、いまでも多くの人に愛好されているクラシック音楽の名曲の数々を、より深く楽しむための知識や情報を盛り込みました。366の名曲を、「音楽史」「主題」「ジャンル」「逸話」「作曲・演奏」「周辺」「謎」といった7つの共通テーマで考察・解析・推理・解説します。
アルノルト・シェーンベルクの名言
"I find above all that the expression, "atonal music," is most unfortunate — it is on a par with calling flying "the art of not falling," or swimming "the art of not drowning.""
「何よりも、『無調の音楽』という表現が最も不幸だと思います。それは飛行を『落ちない芸術』、水泳を『溺れない芸術』と呼ぶのと同じです。」

アルノルト・シェーンベルク
Arnold Schönberg
1874年9月13日 - 1951年7月13日
オーストリアの作曲家・指揮者・教育者。
1934年-アメリカに帰化。

現代音楽の始祖」とも呼ばれているそうです。
この作品のプレリュードは、「十二音技法(12-tone compositions)」という、
オクターブ内にある12個の音を全て平等に扱う作曲法
の先駆けとありますが、それ以前からヨーゼフ・マティアス・ハウアーもこの2年ほど前に「トローぺ」という作曲法で考案されていたそうで、御多分に漏れず両者には軋轢が生まれていたようですね。

音楽を聴けばおわかりのとおり、「なるほど、わからん。」の無調音楽。
とはいえ、シェーンベルクからしてみれば、「無調(atonal)」という表現にビキッときたみたいですね。
上記の名言は一見、「???」となってしまいますが、考えてみるといろいろ面白かった。
シェーンベルクの発言の真意は。なにを否定したかったのか。

ここからはわたし個人の解釈ですが、
まずは、"調性(tonal)"ではないけど"音楽(tone)"はあるだろと。
そして、「括ることをやめて、音楽を自由にせよ。」ということではないか、と。
誰かが決めたルールに則した音楽から、自由への疾走をした音楽。
その方法のひとつが「十二音技法(12-tone compositions)」だと。

シェーンベルクのような音楽理論に通じている人が、音楽の可能性を模索し、無調への挑戦を試みたのも、音楽の進化を図ったものであり、突き詰めた結果、十二音技法を編み出したことは、まさに守破離の体現といえます。
確かに浅はかに無調音楽と閉じてしまうのではなく、開かれた世界と観れば、音楽は本当に自由になれる。いかにして閉塞感を打開するかという観点からもシェーンベルクのアプローチは学び深いものです。

好き嫌いや相反するものごとを超克し、すべてを包括して受け入れ、そこから出てくる想いとはなにかを感じとりたいなと思いました。

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