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【音楽×珈琲 鑑賞録】3月27日~ジョアキーノ・ロッシーニ オペラ『泥棒かささぎ』

音楽観を鍛える鑑賞録。
3月27日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
ジョアキーノ・ロッシーニ /
オペラ『泥棒かささぎ』

です。

ロッシーニの名言
Give me a laundry list and I'll set it to music.
「洗濯もののリストをくれ。わたしが音楽にしてやろう。」

ジョアキーノ・アントーニオ・ロッシーニ
Gioachino Antonio Rossini
1792年2月29日 - 1868年11月13日
イタリアの作曲家。

でました美食家ロッシーニ。
以前は『老年のいたずら』記事にしましたが、今回は本懐のオペラです。

『泥棒かささぎ』(伊: La gazza ladra)は、ロッシーニが1817年にミラノ・スカラ座向けに彼としては3ヶ月という異例の期間を設けて作曲しました。
すでに人気があったロッシーニのオペラ作品でしたが、より聴衆の注目を引こうと作りあげたのがこのオペラ・セミセリア『泥棒かささぎ』です。
オペラ・セリアのシリアスな正歌劇とオペラ・ブッファの喜劇的な喜歌劇の要素を併せもつというのがオペラ・セミセリア。
この約3時間30分あるオペラ、本腰入れたら3ヶ月で作ってしまうというのがロッシーニの凄さたる所以です。
その後の生い立ちや振る舞いをみると、力の出しどころと抜きどころのコントラストが激しい人ですが、音楽家のスタイルとして、とても合理的な人だったんだろうな、と思います。

相当に自己中心的だったとは思いますが、それでも当時の聴衆を喜ばせる方法をよくわかっていたのでしょう。
このオペラ『泥棒かささぎ」は、「救出オペラ」とも呼ばれ、
"絶体絶命のピンチに陥ったヒロインが、最後は二つの階級を超越した立場の領主や国王などの絶対的な権力者によって救われハッピーエンド"
という聴衆が胸を撫でおろすようなストーリーです。
人生の不条理から逃避できるオペラという娯楽を作りあげたことによって、ロッシーニのオペラを見聞すれば心安らぐ仕組みを作ったわけです。このビジネスモデルを構築するチャンスがみつかったのだから、そりゃ本気で作曲するでしょう。
そして、一度高いところまで登り詰めたら、あとは流用でもオマージュでもいい。
ロッシーニというブランドがあれば、聴衆は楽しんでくれるのですから。

こういった音楽の効用を狙って作りあげる方法論は現代にも通じています。
学ぶべきはラクして曲をつくるという側面ではなく、魅力的な音楽とはなにかをきちんと理解したうえで、力を注ぐべきところにリソースを全力投下することでしょう。
そうすれば、ロッシーニのように美味しいものを食べられる人生が訪れるかもしれません。
とはいえ、過度な贅沢は身を壊すということも学びおくポイントですね。

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