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【音楽×珈琲 鑑賞録】5月19日~アレッサンドロ・マルチェッロ 『マルチェッロのアダージョ』

音楽観を鍛える鑑賞録。
5月19日のテーマは、【謎】

とりあげる作品は、
アレッサンドロ・マルチェッロ /
『マルチェッロのアダージョ』

です。

アレッサンドロ・イグナツィオ・マルチェッロ
Alessandro Ignazio Marcello
1669年8月24日 - 1747年6月19日
数学者・哲学者・音楽家として、多分野にわたって活躍したイタリア人貴族

今回とりあげられている『マルチェッロのアダージョ』は、アレッサンドロ・マルチェッロの『オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調』(Oboe Concerto in D minor)の楽章のひとつで、単体でも演奏される有名なもの。
第一楽章: アンダンテ・スピアナート
第二楽章: アダージョ
第三楽章: プレスト
という構成になっています。

1715年より前の作品で、バロック期の宮廷貴族にふさわしい優雅な調べが特徴です。
ヨハン・セバスチャン・バッハがチェンバロ曲に編曲したことも有名で、
エンリコ・ マリア・サレルノ(Enrico Maria Salerno)の映画、「ベニスの愛」(Anonimo Veneziano)にもとりあげられていて、現在もさまざまに演奏されています。

「366日の西洋音楽」では今回の曲で、
アダージョといえば的に紹介されていました。
アダージョ(イタリア語: adagio)は、音楽用語の一つですが、
原義は「くつろぐ」や「ゆったりと」といった意味で、速さというより状態を表しています。
このアダージョの代表といえば、
「アルビノーニのアダージョ」や「弦楽のためのアダージョ(サミュエル・バーバー)」などが有名です。
アダージョという銘はなく、その雰囲気を表すものも含め、多くの音楽家がアダージョを手がけては、後世に名を残しています。

そして、アダージョとは速度ではなく、状態である。
ということになっていますので、その日その時、指揮者や演奏家によってアダージョの雰囲気は変わります。
深堀りすればするほど、人や時代によって千差万別なアダージョが浮かびあがるので、その違いを聴きとることができるようになれば、同じ楽曲でいつまでも楽しめます。

ピッチ(音程)はその楽曲を楽曲たらしめるために、ある程度固定化しないといけませんが、速度に関しては、緩急の幅が広がっても楽曲としては同じに認識されます。
速度が変わることで生じる、ジャンルの超越が音楽の妙味ともいえます。
遅ければ穏やかなクラシック音楽だとして、速ければオイパンクにだって成りうるものというのが面白い。

この速度変化を楽しむことができるためには、対象の音楽の理解度が重要です。
今回初めてマルチェッロのアダージョを聴きましたが、違いを楽しめる旅が始まったのだと思うと、感慨深いものがあります。
この世界は、まるっきり新しいものでなくても楽しめるものがたくさんあるのだと思えただけで、素晴らしい学びの時間になりました。

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