見出し画像

【音楽×珈琲 鑑賞録】8月23日~マックス・ブルッフ 『ヴァイオリン協奏曲』第1番

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【131日】
8月23日のテーマは、【作曲・演奏】

とりあげる作品は、
マックス・ブルッフ /
『ヴァイオリン協奏曲』第1番

です。

マックス・クリスティアン・フリードリヒ・ブルッフ
Max Christian Friedrich Bruch
1838年1月6日 - 1920年10月2日
ケルンに生まれベルリンで没したドイツの作曲家、指揮者、教育者

今回とりあげるマックス・ブルッフのヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26 (1. Violinkonzert g-moll Opus 26)は、1864年に着想し、1866年に初演。好評を博したものの改訂し、1868年1月5日のブルッフ誕生日前日にヨーゼフ・ヨアヒム演奏したものが現在も広く愛好され演奏されています。

今回の機会に初めて聴きましたが、とても素晴らしい旋律で、3楽章約25分の演奏時間があっという間に過ぎる名曲でした。

ヴァイオリン協奏曲の第1番、二十代後半の作品にして、感動を呼び起こす旋律が見事に昇華されています。
劇場的でシネマティックな音楽、感情的な旋律は、泣きのヴァイオリンと言えそうな歌心を感じます。
それでいて明確な歌モノの弦楽バージョンというわけではなく、しっかりと管弦楽を貫いたうえでのフレーズで、かつ技巧的にも難易度高く、弾き手によって印象が変わる作品構成というのは、作曲家として見事としか言いようのないモノです。
だからこそ現代にも通じて、聴衆だけでなく演奏家にも愛される楽曲という評価も納得できます。

ブルッフが語ったエピソードのなかに、
「ヴァイオリンはピアノより旋律を良く歌うことができるし、旋律は音楽の魂だからだ」
という言葉を見つけました。
たしかに改めて考えてみると、ヴァイオリンのようなフレットがなく音色のグラデーションがきめ細やかに移行できる楽器は、自然な旋律を奏でられます。
その特性を活かしたこの作品は見事なものですが、その他にも有名作はあれど、力を入れていた合唱曲やオペラは現代ではあまり演奏される機会がないそうです。

それはブルッフが得意としていたスタイルが時代遅れとなり、しばしば新しい音楽家を否定していたことが少なからぬ原因といわれています。
よくある話であり、戒めともしたいところですが、一時代を築いたストロング・スタイルを否定されれば、悔しさに喘ぐのもやむなしな気もします。

時代はいつも気まぐれに求めたり、捨て去ったりします。
そのなかで、自分だけでも矜持をもち、誇りをもっていたいところ。
孤独と言われても良いと思える作品づくりに勤しめるように心がけていたいものですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?