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【音楽×珈琲 鑑賞録】4月4日~ジュゼッペ・タルティーニ ソナタ『悪魔のトリル』

音楽観を鍛える鑑賞録。
4月4日のテーマは、【逸話】

とりあげる作品は、
ジュゼッペ・タルティーニ /
ソナタ『悪魔のトリル』

です。

ジュゼッペ・タルティーニ
Giuseppe Tartini
1692年4月8日 - 1770年2月26日
イタリアのバロック音楽の作曲家・ヴァイオリニスト。

ヴァイオリン・ソナタで有名な『悪魔のトリル』、
正式名は、『ヴァイオリンソナタ ト短調』
"The Violin Sonata in G minor, B.g5" the Devil's Trill Sonata (Italian: Il trillo del diavolo)

現スロベニア共和国出身のタルティーニが、夢の中に悪魔が出てきてヴァイオリンを弾き、その美しさに目が覚めてからすぐ書き取ったという伝説があります。
悪魔が出てくるなら魂と引き換えになにかを授かるという逸話が多いものですが、タルティーニは77歳まで生きました。

この「悪魔的」な難易度のヴァイオリンソナタは、プロ・ヴァイオリニスト必須のレパートリーだといいます。
『悪魔のトリル』は、全3楽章からなり、なかでも第3楽章にはまさしく「悪魔のトリル」部分がちりばめられてあり、
"高音部がトリルを奏し続けている下でもう一本の旋律が独立して動く"
というもので、音飛びも激しくテンポも速い。
見ていると、薬指と小指の高速トリルが連発していて、なんだかもう言葉にならない。あんな高速のトリル、できる気がしません。
あまりの超絶技巧の連続に、凄いを通り越して怖いくらいになります。

さまざまなヴァイオリニストがやってのけている映像をみてしまうと、中途半端な技術しかない自分としては、落としどころが見えず途方に暮れてしまいます。
まさに悪魔の仕業と思えるような仕打ちを受けながら、プロ演奏家への畏怖の念がより濃いものになりました。

延々と太刀打ちできないものを垣間見たところで、いかなる学びを吐くか。
やはり「昨日よりも今の自分のほうが成長している」という視座をもつしかないと思います。
もちろん、素晴らしいアーティストに敬意をもち、その努力やメソッドに習うものは多分にあります。その圧倒的な力の差を腹落ちさせたところで、ただただ謙虚にさっきまでの自分を超克することだけを目指す。
その先に偉業などというものはないかもしれません。
ただ、自分なりの偉業を目論み、デザインし、ベクトルを生み出し、行動することはできるはずです。
圧倒的高次元にあるものは習うべき存在であり、参考になるものです。

そうして前に進むだけ。
各々、やりたいやるべき行動に努めていきましょう。

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