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【音楽×珈琲 鑑賞録】8月22日~ジョルジュ・ビゼー 『交響曲』「ハ長調」

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【132日】
8月22日のテーマは、【逸話】

とりあげる作品は、
ジョルジュ・ビゼー /
『交響曲』「ハ長調」

です。

ジョルジュ・ビゼー
Georges Bizet
1838年10月25日 - 1875年6月3日
19世紀フランスの作曲家

今回とりあげる交響曲ハ長調(Symphonie en Ut majeur / Symphony in C Major)は、ビゼーが1855年17歳のときに作曲した4楽章構成の古典派様式の交響曲です。

ビゼーは以前オペラ「カルメン」で記事にしましたが、今度は17歳の頃の作品と、終わりから始まりに引き戻ったような様相。
この作品は、C Majorの調性ということもあり、若々しく爽やか、明るく洋々な音楽性を想起させ、明るい光に満ちているかのような印象を覚えます。
シャルル・グノーの影響を受けた習作という位置付けで、たしかに典型的な形式を踏襲していて、交響曲の直球ドストレートな作品ですが、交響曲とはどういったものかという見本であり、優秀さの塊を聴かせてくれる素晴らしい構成の管弦楽です。特にオーボエが全体を特長づけていて、吹奏楽の趣きとしても優秀な作品に聴こえました。

17歳でこんな大規模交響曲を書くというのだから凄まじい才能を持つビゼー。
それからわずか20年もせず人生の幕を閉じてしまったとは、運命の歯車はどう動くか知る由もないといった感じです。
ビゼーが手がけた交響曲は3曲と伝わっており、2番は草稿が破棄され、3番は現物がなく窺い知れないものだそうで、結局交響曲として遺っているのはこの若かりしときに手がけた第1番のみ。
しかも、世に出たのが1935年。
死去してから60年後、手がけた時から遡れば80年後という、バッハみたいなルネサンスを果たした音楽です。
本来であれば、生前から良いものは良いかたちで評価され、幸福な人生をまっとうできるようにしてほしいと願うものですが、運命はときに不条理を与えてしまうことがあるというもの。

翻せば、わたしたちにとって過去は取り返せませんし、未来がどうなるかも分かったものじゃない。
ただ、現在に生きるわたしたちにとって、包括した意味で「善行」は、報われる可能性もあるということは学びになります。

こうしたエピソードを知って考えていくとどうしても、
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
という言葉が浮かんできてしまいます。
ただ、死んだあとに報われてどーする!?
という正論があるだけに、儚さを思ったりもする。

ともかく、執るべき善行を考えて、真摯に取り組んでいくしかないな。
そんなことを思う本日の音楽でした。

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