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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 2月6日~アレクサンドル・ボロディン オペラ『イーゴリ公』より「ダッタン人の踊り」

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月6日 本日のテーマは、
【主題】
とりあげる作品は、
アレクサンドル・ボロディン /
オペラ『イーゴリ公』より「ダッタン人の踊り」

です。

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アレクサンドル・ポルフィーリエヴィチ・ボロディン
(Alexander Porfiryevich Borodin, Алекса́ндр Порфи́рьевич Бороди́н)
帝政ロシアの作曲家、化学者、医師。
オペラ『イーゴリ公』はボロディンの代表曲であり、なかでも「ダッタン人の踊り(ポロヴェツ人の踊り(Половецкая пляска с хором))」が有名。
1869年から『イーゴリ公』の作曲を始めるが、全4幕あるうち、第2幕まで完成させ1887年に急死。死因は動脈瘤の破裂。享年53歳。

経歴をみると、化学者としての功績もすごい。
アルドール反応を発見したという人で、有機化学の分野でも名を刻んでいるそう。
化学的な側面はよく分かりませんが、今回を機に二日酔いになったら、アセトアルデヒドの代謝から「ボロディンー!」と思い浮かべてしまうことでしょう。

さてそんな学匠でありながら楽匠でもあるボロディン。
「日曜日の作曲家」と称しておきながら、作曲の手法は凝っていて、サブドミナントの展開が連なる楽曲においても、見事な構成に収めています。
天は一人に才覚を「ひとつもふたつも同じだ、もってけ全部」なこともあるというものです。

表題の「イーゴリ公」は、1869年から作曲をスタートし、1887年の急死に至るまで、まさにライフワークとして作り続け、築き続けていました。
第2幕まではボロディンが書き上げ、残りはリムスキー=コルサコフとグラズノフが引き継ぎ完成させたという構造は、まるでサクラダファミリアのような歴史的建造物を彷彿とさせます。
この楽曲は、アジア大陸の大草原を喚起する雄大な幕あけから、勇壮に駆け抜ける遊牧民をイメージさせ、そこはかとなくロシアの屈強さも加味している気がします。
オリジンを感じさせながら、ボロディンの個性が表現されている、類をみない作品です。

今回の学びとしては、「健康には気をつけよう!」ということが大いにありますが、ボロディンは「日曜作曲家」と自称しながらも、ロシア音楽の発展に寄与しようと謙虚に学びを深めていった姿勢がありました。
化学者であり医師としても辣腕を発揮しながら、医科大学の教授まで務め、おそらく多忙を極めたであろうなか、音楽にも努めるというのは、落合陽一さんですか?と思うくらいストイックな姿勢です。
誰しも同じような行動ができるわけではありませんが、なにか大切なものを築こうとする使命感、それを駆動させる好奇心、学びを昇華する行動力。ひと握りでも掴み取ろうという姿勢を学び得たいものです。

あとは、健康第一!ですね。

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