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【音楽×珈琲 鑑賞録】8月19日~イーゴリ・ストラヴィンスキー バレエ音楽『カルタ遊び』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【135日】
8月19日のテーマは、【音楽史】

とりあげる作品は、
イーゴリ・ストラヴィンスキー /
バレエ音楽『カルタ遊び』

です。

イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー
И́горь Фёдорович Страви́нский
Igor Fyodorovich Stravinsky
1882年6月17日 - 1971年4月6日
ロシアの作曲家

今回とりあげる『カルタ遊び』(Jeu de Cartes / Card Game)は、全3場からなるバレエ音楽です。
「3回勝負のバレエ」(a ballet in three "deals")というサブタイトルが付けられていて、第1ラウンド(Première donne)、第2ラウンド(Deuxième donne)、第3ラウンド(Troisième donne)の仕立てになっています。
トランプのポーカーをしている様子を表し、コミカルな演出があります。
第3ラウンドでは、著名作曲家の名曲を取り入れるパロディもあり、クラシック通がうなる作風になっています。

この作品は、ストラヴィンスキーにとって「新古典主義時代」に属するものだそう。
今回の課題図書のエピソードでは、ストラヴィンスキーの「カメレオン」ぶりにフォーカスして語られています。

ストラヴィンスキーは主に「原始主義」、「新古典主義」、「セリー主義」という様相で音楽性を変化させていきました。その変貌ぶりに「カメレオン」と形容されていたそうです。
・原始主義時代(主な作品に『火の鳥』、『ペトルーシュカ』、『春の祭典』)
異国趣味、複調(異なる調の同時使用)、変拍子、躍動感のあるリズム主題の援用などが特徴。『結婚』を最後にこの傾向は終息。
・新古典主義時代(主な作品に『プルチネルラ』、『カルタ遊び』)
この時期はバロック音楽や古典派のような簡素な作風。
・セリー主義時代(主な作品に『カンタータ』、『七重奏曲』)
十二音技法による作風で、70歳近い時期に取り入れ、世間を驚かせました。

現代では、ストラヴィンスキーのイメージは初期の原始主義時代の3大バレエ音楽になるかも知れませんが、それ以降も自身の作風を模索し変化しながら、年老いても止まらなかったことが凄いことで、学び深いものです。
かつての遺構に固執せず、いま在る最善の行動を執っていく姿勢がストラヴィンスキーの作品群から受け取ることができます。

わたしたちも現状維持に甘んじることなく、いつまでも新しいことに挑戦する気概を持ち続けていたいものですね。

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