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【音楽×珈琲 鑑賞録】4月28日~イーゴリ・ストラヴィンスキー バレエ音楽『ペトルーシュカ』

音楽観を鍛える鑑賞録。 
4月28日のテーマは、【謎】

とりあげる作品は、 
イーゴリ・ストラヴィンスキー /
バレエ音楽『ペトルーシュカ』

です。

イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー
ロシア語: И́горь Фёдорович Страви́нский
1882年6月17日 - 1971年4月6日
ロシアの作曲家。

今回とりあげる『ペトルーシュカ』(ロシア語: Петрушка, フランス語: Pétrouchka)は、ストラヴィンスキーが、1911年にバレエ・リュスのために作曲したバレエ音楽です。
おがくずの体を持つわら人形の物語で、主人公のパペットは命を吹き込まれて恋を知る物語。ペトルーシュカは、いわばロシア版ピノキオです。
『春の祭典』『火の鳥』と合わせて、「ストラヴィンスキーの三大バレエ」のひとつとして有名な作品。

この楽曲は1911年6月26日にパリのシャトレ座で初演されました。
4管編成と大きい編成ながら、ティンパニが単純に書かれ、トランペットも少し活躍が少なく、地味な印象があるという評があります。
初演当時も成功を収めていますが、内容の不気味さも相まって、聴衆も演者も、「こわっ」となったようです。

それから紆余曲折あり、1947年に改訂版が出され、オーケストラを3管編成に縮小し、1911年版に比べてドライな印象を与えるものの、ピアノ演奏が目立ち、カラフルに聞こえるようになったとの評があります。
今日では、1947年版で演奏される機会が多いようですが、初版も演奏されることがあるようです。

ストラヴィンスキーが経た紆余曲折の最中には、1917年の「ロシア革命」があり、母国を離れ、ヨーロッパやアメリカに転々とした経緯があります。
その際に、ロシアにあった著作権を含む全財産を失ってしまったそうです。

お金もなく、祖国も危うく戻れないなか、残っていたものは自作の記憶と記録だったのでしょう。
自らの作品を改訂して出版していったのは、こうした経緯があるようです。

このエピソードを受け、今回学んだことは、
「命を吹き込む作業を経験しておこう」ということです。

いつ何時人生に災厄が訪れてもおかしくはありません。
万が一の対策を講じておくことは大切ですが、身一つになったとしても生き抜き、起死回生するために、身に刻みつけておいたものを依代にできるようにしておきたいものです。
ストラヴィンスキーからの学びを踏まえれば、たとえ著作権が失われようと、作り出した経験とノウハウがあったのだから、再起する道筋は見えていたはずです。
1ができた経験があれば、そこからの発展はリアリティをもって再現が可能でしょう。
なにより大変なのは、0→1の発明です。
ペトルーシュカのように、わら人形に命を吹き込むこと、物語のスタートを切ることが大切です。
わたしたちの人生が創世された奇跡を思い返し、今がその惰性でいいのだろうか?と問わねばなりません。
この音楽のように、いつからでも生命は吹き込めます。
その尊さに気づいたからには、今というかけがえのない時間にしっかり向き合っていきましょう。

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