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【音楽×珈琲 鑑賞録】5月29日~リヒャルト・ワーグナー オペラ『ローエングリン』

音楽観を鍛える鑑賞録。
5月29日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
リヒャルト・ワーグナー /
オペラ『ローエングリン』

です。

ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー
Wilhelm Richard Wagner
1813年5月22日 - 1883年2月13日
歌劇の作で知られる19世紀のドイツの作曲家、指揮者、思想家

今回とりあげる楽曲は、『ローエングリン』(Lohengrin)
リヒャルト・ワーグナーの作品のなかでも随一の人気オペラです。
この作品以降作曲された楽劇(Musikdrama)以前の、ロマンティック・オペラと呼ばれる最後の作品です。

3時間30分もある長丁場のオペラがなぜこんなにも人気なのか。
後世の人間にしてみたら、『婚礼の合唱』(Treulich geführt)が、誰しも知る楽曲なので、それ故な気がしていましたが、今回学んでみて、ワーグナー思想の世界観のなかでも随一の作意が込められていることを理解することができました。

飯守泰次郎先生の解説でより解像度あがったので、掲載しておきます。

1音1音、シーンごとに意味を込め、全編を通して世界観を構成する。
ミクロからマクロまで、きめ細やかに意志を通底させる意匠を凝らすというのは、圧倒的な知識と、気の遠くなるような作業時間の集積を要します。

ワーグナーの人生を含め、初演の指揮を務めたフランツ・リストやヨハン・シュトラウス2世など、数多の偉人の人生をも巻き込み、19世紀の音楽を混沌とさせる現象を引き起こしたこと。
バイエルン王ルートヴィヒ2世が愛好していたことで有名だといいますが、アドルフ・ヒトラーもこの音楽を愛好し、政治利用さえしています。
そして、わたしたち大衆も、結婚行進曲の音楽を聴けば、晴れやかでエレガントな祝祭日を思い浮かべるはずです。
時代も人種も優劣も超越した、音楽の効用を人類レベルで突き詰めた結果がある。
そして、それが人為的に作られていることがとてつもない脅威としか言いようありません。

言葉では美辞麗句でこの作品をまとめることができるかも知れません。
ただ、ここまで音や世界観にこだわりぬき、歴史に作用したオペラは他にないであろうことを考えると、五感で感じておくべく、観ておかないとマズい気がしてきます。

いつか、この作品も公演されることがあるはずです。
そのときになったら、観に行こうと思える気概をしっかり持てるよう、あらゆる点で学び深めておこうと思いました。

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