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【音楽×珈琲 鑑賞録】9月7日~ジョゼフ・カントルーブ 歌曲集『オーヴェルニュの歌』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【116日】
9月7日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
ジョゼフ・カントルーブ /
歌曲集『オーヴェルニュの歌』

です。

ジョゼフ・カントルーブ
Joseph Canteloube
本名:マリー=ジョゼフ・カントルーブ・ド・マラレー
Marie-Joseph Canteloube de Malaret
1879年10月21日 – 1957年11月4日
フランスの作曲家・音楽学者

今回とりあげるカントルーブの歌曲集『オーヴェルニュの歌』(Chants d'Auvergne)は、1923年から1930年にかけて第1集から第4集を発表し、晩年の1955年に第5集を発表した全27曲構成の作品です。

故郷であるオーヴェルニュ地方の民謡を管弦楽を伴奏に編曲したもので、歌唱はソプラノ独唱で歌詞はオック語というロマンス諸語のひとつで歌われています。

この作品で特筆すべきは、管弦楽のアレンジです。
伸びやかでハイトーンなソプラノ独唱が民謡らしい牧歌的な単旋律で歌われますが、それをオーケストラが煌びやかさを携えた、複雑な風景描写で包みこんでいます。
どことなくドビュッシーのような印象派的オーケストレーションで、聴いていると、行ったことはないけれど、オーヴェルニュ地方とはこういう場所なのかなーと想像の幻想世界が浮かびあがってくるようでした。

自然の美しさを生涯かけて音楽で表現しようとしたカントルーブ。
ボルヴィックの販売終了があって久しい昨今、大切にしたい環境が失われていることは世界中の人々が周知していると思います。
不特定多数の利便性追求のために汚染されていく世界を目の当たりにしながら、どのような思考をして行動をとっていけばよいのか。
難しい課題を前にわたしたちは思考を止めてはいけません。

カントルーブが表現した音楽から想起される世界観は当時のものとはわけが違うことでしょう。
それでも、今現在聴いている音楽とかつての世界観がリンクして、大切にすべき真善美を考えること。
ひいてはその思考から導かれた行動の結果が現実に映し出されるはずです。

わたしたちの眼前に広がる光景は、すべて自身の過去からのパースペクティブ(展望)です。
だからこそ、ありたい世界観を観るために、やるべき行動を為していきましょう。
カントルーブの音楽に美しさを感じ入れる心があれば、きっとその展望は見えると信じています。

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