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【音楽×珈琲 鑑賞録】3月8日~コダーイ・ゾルターン 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 × VACILANDO COFFEE ブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎り

音楽観を鍛える鑑賞録。
それにあう珈琲をそえて。
3月8日のテーマは【作曲・演奏】

とりあげる作品は、
コダーイ・ゾルターン /
組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
×
VACILANDO COFFEE /
ブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎り

です。

コダーイ・ゾルターンの名言
"Music is a manifestation of the human spirit, similar to language. Its greatest practitioners have conveyed to mankind things not possible to say in any other language. If we do not want these things to remain dead treasures, we must do our utmost to make the greatest possible number of people understand their idiom."
「音楽は言語に似た人間の精神の表れです。最高の音楽家は、言語では語り尽くせないことを人類に伝えてきました。これらを埋もれたままにしたくないのであれば、可能な限り多くの人々に彼らのイディオムを理解してもらえるよう、私たちはできる限りのことをしなければなりません。」

コダーイ・ゾルターン
Kodály Zoltán
1882年12月16日 - 1967年3月6日
ハンガリーの作曲家、民俗音楽学者、教育家、言語学者、哲学者。

『ハーリ・ヤーノシュ』(Háry János)作品15は、ハンガリーの詩人ガライ・ヤーノシュ(Garay János)の、"Az obsitos"に登場する、ハンガリー版「ほら吹き男爵」とも言うべき人物名です。
この物語をもとに、コダーイが音楽を担当し、プロローグとエピローグを持つ4幕のジングシュピール(オペラの一種)『五つの冒険』が1926年秋にブダペスト王立歌劇場で上演されました。
1927年、この劇音楽から6曲を抜粋して演奏会用の組曲『ハーリ・ヤーノシュ』として編曲されました。

この組曲で特筆するべきは、贅沢なオーケストレーションです。
6曲ごとに使用する楽器が全く異なり、ハンガリーの民族楽器ツィンバロム(ツィンバロン)が使用されていることも特徴です。
弦楽器を全く使わない曲が2曲、3本のコルネット、銅鑼、シロフォン、チェレスタなどは出番が1曲のみと、「その間演奏者はなにをしているんだ!?」という気がします。

ハンガリーの民族楽器、ツィンバロムの音色とはどんなものか?
と聴き耳をたててみましたが、なんとなく東洋的な雰囲気のある音です。
よくよくみると弦が張られ、木管と金管の中間のような琴の音色。ちょっとピアノの音にも近しい気がする不思議な楽器音です。

コダーイが自国の伝統楽器を用いて伝えたかったことはなんなのかを考えてみるに、上記の名言が導かれてきました。
「音楽は言語では語り尽くせないことを表現する。」
言葉で説明するのは野暮なことだとよく語られますが、ある側面では言葉を見つけていないだけのこともあるし、ほんとうに言葉では表せない異次元的な複雑性もあったりします。
波動を扱う音楽というアートにおいて、その複雑性は量子力学を超えて算出しないと解けない機微がある。音楽は数学でありながら、その解法は人間には手に負えなません。だからこそ、尊く探求のしがいがあります。

コダーイの音楽を聴きながら、出番はわずかしかない楽器の音色から、宇宙の無限大数的複雑性のなかで導き出された理が浮かびあがってくるようです。
つまり、なにが言いたいかというと、「ロマンがある」ということですね。

音楽にあう珈琲を考えてみる

このコダーイの音楽を受けて、淹れる珈琲も思考してみましょう。
昨日に引き続き、VACILANDO COFFEE ブラジル・アルタ・ヴィスタ・イエローブルボン・ナチュラル 中煎りをいただきます。

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このコーヒーは"イエローブルボン"と表記されています。
このブルボンとはコーヒーの品種の一種。英語では"Bourbon"。
コーヒー豆は、「アラビカ」「カネフォラ(ロブスタ)」の2つに分類されますが、ブルボンはその「アラビカ」種に属しています。「ティピカ」と並ぶ有名なアラビカの2大優良品種です。

そして、コーヒーの多くは熟すと真紅に色を変化させます。ですが完熟すると黄色くなるブルボン種が「イエローブルボン」です。
色が違えば特別味が変わるとも言い切れません。モノによります。
ただ、特別な色味をもつ品種となれば貴重なものであり、そこに手間をかけて価値を寄与することがあります。
因果は複雑ですが、結果として導き出された「イエローブルボン」は、高品質かつ傑出した香気を放つ場合が多い。
ここにも数理的な法則がはたらいている気がしています。
味わうほど、コーヒーの概念に複雑性が増される逸品です。

伺ったお店の情報です。

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VACILANDO COFFEE
長野県上田市中央2丁目6−5
営業: 9:00~18:00
定休: 水

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