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【音楽×珈琲 鑑賞録】9月28日~アルテュール・オネゲル オラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【95日】
9月28日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
アルテュール・オネゲル /
オラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』

です。

アルテュール・オネゲル
Arthur Honegger
1892年3月10日 - 1955年11月27日
スイスとフランスの二重国籍を持ち、主にフランスで活躍した作曲家

今回とりあげるアルテュール・オネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」 (Jeanne d'Arc au bûcher)は、1935年に作曲され、1938年に演奏会形式で初演、のちにプロローグをつけ1942年にスイスのチューリヒ市立劇場で舞台初演された作品です。

アルテュール・オネゲルは、「フランス6人組」の一人で、オネゲル、ミヨー、タイユフェールがパリ音楽院の同期生だったことを機にしています。
グループ的に活動していませんでしたが、同志というようなかたちで括られています。

オネゲルの作風は、交響曲や室内楽、映画音楽と幅広く手がけるなか、聖書や歴史上の人物を主題とした劇場作品や声楽入り作品である「ダヴィデ王」、そしてこの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」と、大作も仕上げています。

ポール・クローデルが手がけた台本も秀逸で、ジャンヌが火刑に晒される前日譚から、異端審問、回想を経て悲劇の刑に処されるまでを描いています。

今回はスコアを見ながらストーリーを追ってみましたが、どうやったらこんな曲を書けるのかと作曲家の凄みに打ち震えました。
サクソフォーンやオンド・マルトノまで使用する意欲は当時のフランス・オーケストラ編成でなら考えられるところではありますが、
そういった背景や知識、手法の巧拙云々もさることながら、オラトリオ形式のスコアを手がけるには計り知れない作曲センスが必要なことが窺い知れます。
あらゆるジャンルを包含して複雑に絡まりあうことで、どのジャンルにも通じるセンスが磨かれていく。
オネゲルの作品からはそうした多岐にわたる音楽経験、膨大な知識によるエスプリが効いた音楽性が聴こえてくるようです。

その道の天才集団を統べる音楽がいかに偉業なことなのかというのを具体的に語りたいけど語れない稚拙さに情けなくなります。
もはや、スコアをみてくれ!としか言いようがない。

テクノロジーの発達でいまや作曲においてもツールやAIが補助してくれますが、そういったものを駆使する作曲家の教養というのか、エスプリというのか、そういった人生においての感覚的重層さが窺えなければ音楽としての深みはありません。
人生を賭して学び深め、体験価値を複雑化して、その人ならではの音楽性と社会のニーズがマッチしたとき、その音楽は華開くやもしれないと考えた一日でした。

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