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【音楽×珈琲 鑑賞録】7月18日~グスタフ・マーラー 『交響曲』第5番

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【167日】
7月18日のテーマは、【逸話】

とりあげる作品は、
グスタフ・マーラー /
『交響曲』第5番

です。

グスタフ・マーラー
Gustav Mahler
1860年7月7日 - 1911年5月18日
主にオーストリアのウィーンで活躍した作曲家

今回とりあげるマーラーの『交響曲』第5番(Sympony No.5)は、1902年に完成した全5楽章からなる交響曲です。
マーラーのウイーン時代絶頂期にあり、楽曲としても逸話としても最高傑作と呼び声高いものです。マーラーの代表作といえばこの交響曲といってよいかもしれませんし、クラシック音楽全体からしてみても、交響曲といえばこの曲が候補に上がるほど音楽史にとっても重要な作品です。

この作品を手がける前年の1901年にマーラーはウイーンフィルを辞任していて、音楽家人生の岐路に立つ状態でした。そんななかアルマ・シンドラーと出会い、1902年の3月に電撃結婚。
キャリアとして背水の陣を強いたうえで愛する妻を擁したという構図で奮起し作曲した交響曲です。そりゃ血の匂いのする音楽ともいえましょう。

この交響曲第5番、これ以降の交響曲は声楽を排しています。
器楽のみの演奏になり、より一層純粋な器楽の交響曲として表現を追求するという、自身の交響曲をより高次元に押し上げようという意欲作である部分も特筆すべきところでしょう。

I. 葬送行進曲(Traeurmarsch)
正確な速さで。厳粛に。葬列のように(In gemessenem Schritt. Streng. Wie ein Kondukt)
II. 嵐のような荒々しい動きをもって。最大の激烈さをもって
    (Stürmisch bewegt. Mit grösster Vehemenz)
III.  スケルツォ (Scherzo) 
力強く、速すぎずに(Kräftig, Nicht zu schnell)
IV.  アダージェット (Adagietto)
      非常に遅く (Sehr langsam)
V. ロンド-フィナーレ (Rondo-Finale)
      アレグロ・楽しげに (Allegro giocoso)

構成からすると暗から明へ移行する展開になります。
各楽章ごと聴きどころがあり、特に第4楽章のアダージェットは映画「ベニスに死す」でも使用され、現代の映画音楽に影響を与えるものにもなりました。

この第4楽章をアルマに捧げたわけですが、
アルマがこの交響曲に来した想いや評価など、夫を翻弄させるエピソードもまた付加価値を与えています。

総じて、あらゆる側面からエピソードに事欠かない作品であり、
その源泉とも学びともなることは、目に見えてただならぬ意匠が凝らされていることにあります。
1音1音に意味があると言わんばかりに心血注がれた愛憎に溢れた交響曲。
アートワークを手がけるクリエイターを称するならば、この気概から紡ぎ出された音像に奮えるはず。
奮い立ちたいとき、この音響を全身に浴びて挑むべきことに挑みたいものですね。

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