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【音楽×珈琲 鑑賞録】7月20日~フランツ・リスト ピアノ曲集『ハンガリー狂詩曲』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【165日】
7月20日のテーマは、【周辺】

とりあげる作品は、
フランツ・リスト /
ピアノ曲集『ハンガリー狂詩曲』

です。

フランツ・リスト
Franz Liszt
1811年10月22日 - 1886年7月31日
王政ハンガリー出身、
現在のドイツやオーストリアなどヨーロッパ各地で活動したピアニスト、作曲家

今回とりあげる楽曲はリストのハンガリー狂詩曲です。
ピアノ独奏用に手がけた全19曲。最初の15曲は1853年出版。のこりの4曲は1882年から1885年までに追加されました。
そのうち第1番から第6番まではリスト自身とフランツ・ドップラーによって管弦楽用にも編曲されました。

この作品群のなかでも、第2番は抜群の知名度で、約12分の演奏時間の後半部分は耳馴染みのある疾走感に溢れた音楽が聴けます。
まさしくアメリカのカートゥーンを彷彿させる旋律ですが、リストはこれをハンガリーの民謡をテーマにして作曲しています。
ところが、この音楽性はハンガリーの古来から受け継ぐような民謡というものではなく、その時代のジプシーがよく演奏していた音楽でした。
本来の民謡を勘違いした作品だと揶揄されたようですが、奇しくもそれが狂詩曲、Rhapsodyを定義づけるものになりました。

狂詩曲、ラプソディーとは、
自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲。
異なる曲調をメドレーのようにつなげたり、既成のメロディを引用したりすることが多い。

という、図らずもリストが勘違いで作られた曲が、意味を通すかたちになったわけです。
もちろん、ハンガリーの民謡はそれはそれで筋があり、意味が分岐したということではありますが、人間が思考して意味づけしたことが本当に意味づいた稀有なエピソードです。

たとえ勘違いであっても、
楽曲の有り様と作品にかける想い、そして取り巻く環境がどう受け取るか。
全てはあらゆる要因が重なり成り立ちます。
意味不明なことも、要因が整えば意味を成す。
この世に意味はないけれど、意味はいつでも創り出せることを教えてくれるエピソードでした。

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