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【音楽×珈琲 鑑賞録】8月29日~ルイジ・ボッケリーニ 『チェロ協奏曲』第9番

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【125日】
8月29日のテーマは、【逸話】

とりあげる作品は、
ルイジ・ボッケリーニ /
『チェロ協奏曲』第9番

です。

ルイジ・ボッケリーニ
Ridolfo Luigi Boccherini
1743年2月19日 - 1805年5月28日
イタリア・ルッカ生まれの作曲家、チェロ奏者

今回とりあげるボッケリーニのチェロ協奏曲第9番 変ロ長調 G.482(Cello concert  No.9 Bb-Major G.482)は、1770年頃か1785頃に書かれたのではないかと言われています。
この時代の作曲家はハイドンやモーツァルトが活躍した時期、判然としない情報が多いものの、ボッケリーニは比較的出どころが比較的しっかり残っている作曲家です。
弦楽四重奏や五重奏を約100曲、室内楽曲を100曲以上、交響曲や協奏曲なども多く手がけ、同時期において多作で有名なハイドンにも劣らない作品群があります。

チェロの名手であったため、作風にも特色あるのが興味深いところです。
この時代、チェロは通奏低音で用いられるような楽器だったので、メインの主旋律を形式的に奏でるというより、その場の即興性を生かした作風にしたとのこと。
そのため、思いがけないメロディ構成になり、バロック音楽のようにも斬新なロマン派音楽のようにも聞こえることがあると言います。
既知の主題を愉しむとは別に、その時その場の即興性を愉しむことも音楽の楽しみ方。この時代の風を感じる音楽というのも趣深いものです。

今回とりあげているチェロ協奏曲第9番 変ロ長調は、後年の1895年にドイツのチェリストフリードリヒ・W・グリュッツマッハーが校訂・編曲し、校訂版が出てから広く知られるようになりました。
この編曲版は協奏曲第7番の第2楽章を転用しているため、原譜が発見された現代においては、元の版で演奏されることが多いようです。

弦楽器のなかでも太く深い音が聴けるチェロの特性が十分味わえる音楽で、音色の多様さを楽しめるとともに、時代の空気感も味わいながら、歴史に思いを馳せられる素晴らしい作品でした。

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