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【音楽×珈琲 鑑賞録】9月18日~ウジェーヌ・イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【105日】
9月18日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
ウジェーヌ・イザイ /
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

です。

ウジェーヌ=オーギュスト・イザイ
Eugène-Auguste Ysaÿe
1858年7月16日 - 1931年5月12日
ベルギーのヴァイオリニスト、作曲家、指揮者

今回とりあげるウジェーヌ・イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」(Six Sonates pour Violon Seul)作品27は、ヴァイオリン独奏のための作品で、全6曲。
1923年から1924年頃に、一晩でスケッチを書き上げたという逸話が残る作品です。

全6曲のどれを聴いても、一晩で書き上げられるようには思えない難易度で、「話盛ってるだろうなー」とは思ったものの、その真偽はさておき、ヴァイオリニストにとってこの作品は無視できない、恐るべき存在でしょう。
現代のギタリストでいえばガスリー・ゴーヴァンみたいなものでしょうか。
上手すぎてつらい、みたいな。

ウジェーヌ・イザイは、ベンヤミン・ビルゼの楽団、のちのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の前身団体において、コンサートマスターを務めていたというだけでもその力量は推して知るべしです。
『ヴァイオリンの騎士』『最後の大ヴィルトゥオーゾ』という賛辞を得て、没後に「イザイ国際コンクール」が開催、のちにエリザベート王妃国際音楽コンクールに発展していきます。
それだけ、ベルギーの音楽界にとって偉大な存在ということですね。

ウジェーヌ・イザイの作品数は多いとはいえず、逆にこの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」に真髄が詰まっているといえるのでしょう。
スコアをみれば次元が違うことは一目瞭然なので、言葉もないとしか筆舌できませんが、果敢に挑戦する演奏家の姿をみると凄いなと思うとともに、人間のあくなき成長意欲というのは止められないのだな、ということも考えてしまいます。
上には上がいる(下には下がいる)という世界で苦悶しながら、どうにか折り合いをつけて自分なりに人生を進める。
主観はひとつ、なのに比較してしまう対象が見えて惑う。

偉大な存在について学べば学ぶほど、ありのままの自分で在ることの難しさを知ります。
そして、学び進めていくと有象無象の人々がいて、考えは多様なことも窺い知ることができます。価値は多様であるということを知れば、その一部なんだと自分の存在をはめこむこともできます。
ヴァイオリニストとして、ウジェーヌ・イザイの作品を聴いても、
ギタリストとして、ガスリー・ゴーヴァンの演奏をみても、
自分なりにやっていけばいいんだと思えばいいのです。

この人生において、広大な社会が拡がっていって良かったと思います。
そうでなければ、固定した価値観に押しつぶされていたかもしれませんから。

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