書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く #9 ~「強みにおける8つの誤解」~
こんにちは。紀藤です。本日も強みシリーズ「書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く」をお届けいたします。
さて、今回のお話は第四章の「強みにおける落とし穴、誤解」というタイトルの章の後半です。前回の前半は「強みにおける落とし穴」というテーマでしたが、今回の後半では「強みにおける『8つの誤解』」です。
この部分は、言葉にされてみて「確かにそうかも…!」と、うっすら感じていたことが明確になる感覚があった内容でした。
ということで、早速参りましょう。(前回までのお話はこちら↓↓)
強みに関する「8つの誤解」
”落とし穴”は「行動パターン」において気をつけるポイントでしたが、””誤解”は「思考パターン」において気をつけることをまとめたものとなります。
誤解1: 強みに焦点を当てることはポリアンナ的である
ポリアンナ(Pollyannna)とは、「ポリアンナ症候群」のことで、意味は”直面した問題に含まれる微細な良い面だけを見て負の側面から目そそらすことにより、現実逃避的な自己満足に陥る心的症状のこと”とされています。別の言い方でいえば、楽天主義の負の側面を表す現実逃避の一種とする、そんな言葉です。(Wikipediaより)
そして、「強みに焦点を当てること」はしばし、そのような「ポリアンナ的」ではないかという誤解となることがあるようです。
現実は、性格的強みは、問題に対処し、管理し、克服することに役立つ事がわかっています。強みに焦点を当てることは、弱みを無視することではありません。
誤解2: 強みを使うのは簡単である
強みについて質問して「じゃあその強みを使ってね」というのは簡単です。しかし、強みは多様正があり、多次元的な性質があります。その人がどういった文脈で(家庭や仕事など)、どのような強みが現れて、強み同士がどのように相互作用するのかを理解すること。
そうしたことで、深さと複雑さを含めて「強み」を理解するできると、使い方もより効果的なものに近づくでしょう。
誤解3: すべての強みは平等である
どの強みも、等しく同じような機能があるのか?といえば、そういうことはありません。たとえばVIAの強みも、「感謝・好奇心・希望・愛情・熱意」などは幸福度と関連があるなど。それぞれの強みの独自の貢献を理解する事が重要です。
そのためには、強みを表す言葉の概念の違いを理解することが必要です。(例:親切心と愛情の違い、好奇心と学習の違いなど)
誤解4: 性格的強みは固定されている
性格的な強みは、変わるのか?それとも変わらないのか?という質問があります。結論としては、強みは動的で、多元的で、発展するものである、つまり「変わるもの」です(一方、その人の本質的なところは変わらない、という側面もあります)。
人格特性に関する数十年の研究によると、時間の経過とともに、人生の役割の変化(結婚や転職)、非典型的な出来事(トラウマ経験)、個人の意思による介入(目標を立てて行動する)などは、私達の人格特性に様々な影響を与えます。 Roberts and colleagues(2017)でも、臨床・非臨床的介入から人格特性に変化が発生し、長期的に持続することが示されています。
誤解5: 自分の強みを知っているだけで十分である
「強みの知識」は必要です。しかし、それだけでは「自分の強み」からすべての利益を享受するには至りません。当然、「強みを認識する(自分の強みを認める)」こと、そしてその上で「強みを活用する」ことによって、個人的にも職業的にも幸福かつ、効果的な結果を得ることができます。
誤解6: ほとんどの人はすでに自分の性格的強みをよく知っている
自分の強みを知らないこと。これは強みの研究が広がるにつれて、少しずつ社会の中で改善はされているようです。
しかし、たとえば初めて会った人に「あなたの性格的な強みはなんですか?」と聞いたとき、どれくらい迅速に反応できるか、共通の言葉が浸透しているかを考えると、まだ伸びしろがあるといえるのかもしれません。
誤解7: 「性格」は一握りの特性を指す
これまでのキャラクター(性格)の科学は、人々の性格が一部の属性(たとえば誠実さや正直さ、親切心や公正さ、責任感など)に還元できると主張してきました。
しかし、新しいキャラクターの科学は「人の持つ性格はもっと特別で、様々な組み合わせがあり、多くの表現を持つもの」と述べます。性格は多様なものです。特定の性格に自分を定義させ、自分を閉じ込めるものではありません。
誤解8: 性格的強みについて話すことは自慢であり、利己的である
強みについて話をすることは、時に自慢のように感じられることがあるかもしれません。しかし、性格的強みについて話すことは、自己開示の方法の一つです。そして親密な関係性を促進することができます。
研究によると、自分の良いことについて話すことは、話し手と聞き手の両方にとって有益であることを示しています。また、強みについて話をすることで、自分自身を説明することと、周りの人が自分自身をより理解することに役立ちます。
まとめと個人的感想
第四章の「落とし穴」と「誤解」についても、言葉で分類をすること明確担った感覚がします。本書では、いくつか関連する論文も紹介されていますので、より説得力を感じます。
(余談)ChatGPT-4oになったことで、論文の翻訳(画面キャプチャでの翻訳)が尋常じゃなく早くなって、楽になりました。もはやDeepLよりも便利なのでは・・・と思いつつあるこの頃。技術の進化の速さに舌を巻いております。便利な時代になったものです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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