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書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く #11 ~「強みのシナジーと衝突」とは(第5章_後半)~

こんにちは。紀藤です。本日も強みシリーズ「書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く」をお届けいたします。

さて、今回のお話は第五章の「強みの適用における高度な問題」の後半、「強みのシナジーと衝突」についてお伝えしたいと思います。それでは早速みてまいりましょう!

(前回までのお話はこちら↓↓)


強みのシナジーと衝突

強みの活用において、重要な概念が今回の強みのシナジーのお話です。強みの概念は突然ながらそれ一つだけで働くものではありません。
その組み合わせによって、ポジティブな影響になることもあれば、逆もまた然りです。

さて「強みのシナジー」とは、「それぞれの強みが相乗効果で良い効果を発揮するとき」を意味します。これには”自己内”で強みがシナジーとなるパターンと、”対人間”でシナジーを生み出す場合があります。

一方「強みの衝突」とは、「強みがぶつかりあってネガティブな影響を及ぼしてしまうとき」です。これも同じく、”自己内”で強みがシナジーを生み出すパターンと、”対人間”でシナジーを生み出す場合があります。

シナジーは意図して引き起こせたほうが良いでしょうし、衝突は適切にマネジメントできた方が有効です。では、それぞれのシナジーと衝突を検討し活かすためのポイントがあるとのことでした。

「自己内シナジー」を検討する方法

自己内シナジーは自分の中で、強みが相乗効果を発揮するときです。検討する方法としては、以下の問いが有効です。

「あなたが最も良い状態であったとき」の3つの状況を考え、強みがどのように働いていたかをマッピングする。

例えば、良い状況の例とは、仕事でのエンゲージメントと生産性が高かった時、親しい人間関係において前向きな貢献をしていたとき、所属する組織で助け合っていたときなどを考えます。

その結果、リーダーシップとチームワークが相乗効果となりチームのパフォーマンスを高めた、とか、大局観と忍耐力をかけ合わせて長期のプロジェクトに粘り強く取り組んだ、等が発見できるかもしれません。

「対人間シナジー」を検討する方法

対人シナジーは人間関係の中で、強みが相乗効果を発揮されるときです。
それを検討する方法としては、以下が有効とされます。

「同僚やパートナー、友人とシナジーが起こった状況を考え、その際に、各人の強みがどのように現れていたか、またどのように他の強みを強化していたのかを話し合う。その上で、お互いに強みのダイナミクスを祝福し、感謝する」

捕捉されていたことで、わかるー、と共感した部分が、「身近な関係だと、つい些細なことで口論になってしまったりする。ゆえに、強みの対人シナジーを考えることはとても意義がある」と述べられていたことでしょうか。

身近な人にこそ、シナジーを発揮できているときを話し合って、讃えあうのも大事なのかもしれませんね。

「自己内衝突」を検討する

さて、次は「衝突」です。衝突とは、ある強みの使用が、他の強みを制限、減少、否定的に影響する可能性がある時に発生します。まず、自己内衝突は、「自分の場合、どんな文脈で、どのような衝突が起こるのか?」を内省し、検討することが重要であるとされます。

これは2つの強みがぶつかるというよりも「この状況ではどちらの強みを優先させるか、を検討しましょう」という問いに近いと感じます。
 たとえば、一人の中に「勇敢さ」と「自律心」という強みがあったとして、他者の発言したひっかかるコメントに対して「勇気を持って相手に挑戦するか」「自律心を持って感情や衝動を抑えるか」という選択のようなものです。
 どちらが良い、という絶対正解はないのですが、どの文脈において、自分の中でどちらのほうが、より自分らしく、他者にも自分にもプラスがあるのかを検討することが重要、といえるようです。(いずれにせよ、経験学習的な振り返りが必須と思われます)

「対人間衝突」を検討する

「衝突」のもう一つのパターンは、「対人間衝突」です。現実社会ではよくあるのですが、人間関係において、強みが衝突し合うことがあります。
 「強み」は個人の信念や価値観にも繋がりがあるため、いわば「こだわりのぶつかり合い」のようなものが生まれる、とも言い換えられるかもしれません。

たとえば、「創造性」が強い人と、「判断力」が強い人がいたとしたときに、前者はより多くの着想を共有したい・思考を広げたいと考え、後者は合理的なアイデアや論拠を大事にする傾向があります。
 創造性が高い人が膨らませた着想のようなアイデアに対し、「判断力」が強い人が批判的な視点を投げかけた時に、前者は拒否された、と感じてしまうことがあるかもしれません。

このような衝突の状況をお互いに理解し合うことがポイントです。
ちなみに、「相手と合わない」ではなく、「相手と強みが衝突する」という表現にすることで、対人葛藤について議論がしやすくなると思われます。これは「強みにおける対人衝突」は使える表現だな、と感じました。

「ホットボタン」を知る

もう一つ、興味深いキーワードとして「ホットボタン」が紹介されていました。(日本語で近しい概念でいえば「地雷」みたいなイメージかも?)
 
 ホットボタンとは、”自分が特に敏感な強みの領域で、他者の強みの使用が、強みの使いすぎや使わなさすぎに見えて、不快感やフラストレーションを引き起こすとき”と説明されます。

 ホットボタンは、自分自身の性格的強みの信念や好み、期待から生じており、その強みが侮辱されたり、冒涜されていると感じてしまうことがあるようです。(たとえば、「勇敢さ」を大事にしている人が、自分が思っていることを主張しない人に対してモヤモヤする、など)

このホットボタンが激しく押されると、「ウキー!」「ふざけるなー!」と強い感情が起こることもあります。それを認識して、コントロールするためには、以下のような戦略的ステップが有効であると説明されていました。

<ホットボタンをコントロールするための戦略>
1,マインドフルな聞き方と話し方をする
(判断せずや分析せずに、そのまま聞くこと)
2,最初の3分間を大事にする
(議論の最初の3分間が重要である。そこで対立ではなく穏やかなオープニングとすることが大事)
3,思いやりを重視して再評価する
(あなたを侮辱したと感じる人に対して、その人の中にある複雑性・人間性を考え、思いやりを持って再評価しようとすること)
4,ホットボタンを管理するために強みの使用を調整する

まとめと個人的感想

強みのシナジーは、ストレングス・ファインダーでは「資質のダイナミクス」と呼んだり、強みの活用において重要な概念と感じます。

それを見極めるためには、まずはとにもかくにも「内省」(自分を見つめること)が重要であり、また他者との「話し合い」によって、言語化することができるのだと思いました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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