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サウジアラビア

(8番)  2000年 4月
サウジアラビアへ行ってきました。
とは言え、観光旅行は未だに許可が下りないので視察団という名目です。
これまで男性は行くことは可能でしたが、女性は配偶者と一緒か、もしくは父親か兄か弟と一緒でなければ行けませんでした。
何故、最近旅行ができるようになったのか、と言うと石油の埋蔵量が減ってきて海外からの旅行客を受け入れようではないかと判断したためらしいです。
ところが、この後又しても外国人の入国をシャットアウトするようになり、10年以上も行けなくなってしまいました。

出発前に旅行会社から「アバヤ」と髪を隠すためのスカーフが送られてきました。500円でした。男性の服装に関しては特に規制はありません。
今回の参加者は全員で25名でした。

4月27日
9:55発で成田よりJALにて乗り換えのマニラへ。
そこで、サウジアラビア航空にて首都であるリヤドへ向かいます。
スチュワーデス(CAとは当時呼ばなかった)さん達は全員がフィリピン人です。
我々以外の客も中近東の人達かフィリピン人であちらでメイドさんとして働きに行くのだそうです。日本からはもう一つの旅行会社が参加をしていました。
マニラを飛び立った直後に機内アナウンスでアバヤを着用するようにと言われました。
周囲の男性客からはゲラゲラと笑いがおこり、似合ってないのかな?
いつ見てもメッカの方向が分かるように天井やモニターにも矢印が表示されています。

20:00頃リヤドに到着して入国審査だけでも1時間以上かかり、やっとホテルへ。
ホテルの中はアバヤを着用しなくてもいいそうで、知っていればもうちょっといい服を持ってきたのにと皆で言い合いました。アバヤの下は何も着ていてもいいので、ボロしか持って行かなかったのです。

4月28日
ホテルに駐車してあった乗用車はほとんどが大型車で、これでまず裕福な国だという印象を受けました。
外は「ひえ~、暑~ッ!」出発前の案内では毎日30度から40度くらいと聞いていましたが、想像以上でした。
ガイドはアブドゥーラさんで24歳です。ナイジェリア人だそうです。
9:00発でリヤドの北30キロにある土造りの家々が立ち並ぶサウード家の旧都ディライーヤの遺跡と国立博物館の見学へ出発。
サウード家はサウジアラビアの王家で国名になりました。
午後はディプロマティック・スクエア・スーク(市場)、大使館通り、キング・ファハド・スタジアム、キャメル・マーケット、マスマク城(初代国王が最初に占領した城)などを見学。

日本以外からも旅行客らしき人達は来ていました。ほとんどの人はアバヤは着用していてもスカーフはしていないし、中にはアバヤを着ていない人さえいます。
イタリア人はアバヤを着用しないので入国禁止措置が取られているとか。
現地の男性はトウフという民族衣装で、女性はアバヤの着用を厳密に守っています。スカーフも真っ黒なので、恐らく目の部分は生地が薄いのではないかと。
目を出している人もメッシュタイプの物を被っているのでとても神秘的でした。

4月29日
航空機にて南西部にある山岳地帯の町アブハへ。
空港で待っている間にグループの中で相部屋を取っていた女性二人が大げんかを始めました。
お互いに「あの人とは絶対に同じ部屋は嫌!」と言い合い、埒があきません。空港だし公衆の面前だしで日本人として大変恥ずかしいです。
添乗員さんから、我々も相部屋を取っていたので、「今晩からあの人と組んでもらえませんか」ときた。
相棒のチェンジで、とんだ迷惑を被りました。
我々よりもずっと年上の人達で、本当に情けない話です。
添乗員さんも「それはできない」とはっきり言わないし、我々の迷惑を考えないのが不思議です。客は皆平等に扱うべきです!
ああいう人たちこそ旅行会社もブラックリストに載せるべきです。
因みにこの旅行会社は何度か利用したことがあるが、喧嘩をする人のなんと多い事か。客層がよいとか悪いとかという表現をするけど、この件は論外です。
旅行終了後、アンケートを提出するが、相部屋を取った人のお互いの評価をするコーナーがあれば、とんでもない人に会う確率が減るような気がします。例えば、「同室の方と次回も同じ部屋になりたいと思いますか?」などシンプルな質問でいいと思います。もし、旅行会社の方がこれを読んでおられたらご一考頂ければと思います。

9:35発のフライトが2時間半も遅れて、広くて近代的なキング・ファハド空港で待ち続けました。やっと到着したと思ったら、到着したのはジェッダでした。
アブハは天候不良で急遽ここに不時着?したというのです。確かに飛行機は揺れに揺れました。外を見ると砂埃がいっぱい舞っていて視界も悪かったです。
一端、飛行機から降りて待合室で更に2時間半も待ち、やっと乗り込んだら、自分の席に他人が座っていました。チケットを見せて「私の席だが」と言っても動こうとしません。
出発前に聞いていた「自分が法律だ」と言い張る人が多いというのはこういう事かと。
スチュワーデスさんを呼んできましたが、いくら言ってもダメでした。スチュワーデスさんも申し訳なさそうに空いている席に座るようにと。
アブハへ到着したら、すっかり日は暮れていました。
ここはサウジアラビアの代表的な避暑地だそうです。
セーターがあるとよいと聞いていたが、全く必要がありませんでした。
アブハのホテルは食事も美味しいし、施設も素晴らしくて快適でした。

4月30日
午前中は本来自由行動の予定でしたが、昨日のハプニングのため、7:30発でサウジアラビア最高峰であるアル・サウダ山頂(3000m)へ。
スイス製のかっこいいケーブルカーで、1500m地点まで下がります。


リジャル・アルマ博物館を見学。
その後、聖都であるメディナへ向かうために空港へ。
待合室にいる間にお祈りが始まりました。これまでも中東各国のモスクで人々が熱心にお祈りをしている姿を後ろから見たことがありましたが、前から見たのは初めてだったので、とても感激しました。途中で我々があまりにも凝視をするので、席を移動しろと言われました。神聖なるお祈りの邪魔をして申し訳なかったです。
聞くところによると人々の中で一番の長老と思われる人がアザーンを唱えるのだそうです。
我々が待合室に入っていった時には既に一人の老人がコーランを読んでいて、その人がアザーンを始めました。

中近東諸国ではご存じのように一日5回お祈りをします。熱心なイスラム教徒の場合、お祈り用のカーペットは持参して時間になると始めます。
観光の途中であってもガイドさんやドライバーさん達がお祈りを始めると我々も終わるのを待ちます。その姿はとても神聖です。

また、フライトが遅れて経由地のジェッダでは3時間も待たされました。

夕刻、ホテルへ到着。
外国人用のホテルは窓がない部屋が多いです。窓があってもメッカの方向は目隠しをされて板が張り付けてあったりします。
それと特にメディナでは外を出歩いてはいけないと言われました。理由は聖都だから。しかし、好奇心の強い私と元相部屋の人は従う訳もなく、散歩に出かけたところ、車からはクラクションを鳴らして早くホテルへ帰るように促されました。ブーブーと何台もの車が鳴らすものだから、うるさいのなんのって。とは言え、騒がせてしまい申し訳ありませんでした。
ホテルの部屋でTVをつけるとカーバ神殿で人々がグルグルと回っている様子が映っていて「ほ~」と興味津々で見入ってしまいました。
机の上にはメッカの方向を示すシールが必ず貼ってあります。

5月1日
6:30発で400キロ離れたアル・ウラへ。
ヒジャーズ鉄道跡に沿って土獏の一本道をマダイン・サリへ向かいます。
ヒジャーズ鉄道とはオスマン帝国によって建設されたダマスカスからメディナまでの総延長1308キロの鉄道です。
到着後、博物館でマダイン・サリ関係の展示品を見学後、今回のハイライトで北西部の砂漠に位置する紀元前1世紀ごろの古代遺跡であるマダイン・サリの見学へ。
まずはアル・フーリマットという墳墓がズラリと並ぶ場所へ。
2番目はナバティア人の井戸で、
3番目はヒジャーズ鉄道駅跡

蒸気機関車の模型


4番目はディワンというナバティア人が神に祈りをささげた神聖な場所、
5番目はカスール・アル・ビント(乙女の墓),
6番目はカスール・アル・ファリドという一つ岩で掘られた最大級の墳墓(高さ17m、幅11m)を見学しました。
マダイン・サリは想像していたよりも綺麗に残ってはいましたが、風化によって岩が崩れてきている場所もあって、今後どの位保護できるかは微妙です。


右上の階段を上って死者は天国へ行くことができる


ここで、機内で会ったもう一つの日本の旅行会社のグループと遭遇。実は私はこちらをキャンセルしていたのです。毎日3時起きだそうです。

5月2日
9:00出発でメディナに戻ります。
アル・ウラの旧市街を見学後、エレファント・ロックを見て再び400キロ走ります。

エレファント ロック


砂漠で育っていた植物

5月3日
8:35発の航空機で紅海の港町ジェッダへ向かいます。
機内アナウンスでは本日39度と言っていました。
降り立ってみると湿気があるので余計に暑く感じました。
到着後、フィッシュ・マーケットを見学し、紅海の海上に立つ洋上レストランで昼食。

フィッシュマーケット


午後はサウジ初代国王が宮殿として利用したナシーフの家を見学、次にアラウィー・スークで買い物、最後に博物館を見学して終了。

5月4日
出発まで自由行動。
マクドナルドに入ってみました。男性と女性の入口は別々です。
独身の男性が1Fで、家族と独身の女性は「Family Section」と書いてある2Fへ行きます。


ホテルの中にあるInternet Caféでも利用時間が女性は13:00から15:00のみと表示されていました。
アメリカのJC Pennyで、気に入ったものがあったので店員さんに試着をしたいと言うと困ったような顔をされました。女性の試着は法律で禁止されているので、一度精算をしてトイレで試着をしてみて、合わなければ返金をするようなシステムになっているのだとか。
女性がつける職業は看護師さんか女学校(共学はない)の教師くらい。ホテルやレストランで働いている人も外国人労働者がほとんどでした。

16:55発のサウジアラビア航空にてマニラへ。ここで、のん兵衛の人達はアルコール解禁。

5月5日
14:30発のJALにて成田へ。
19:40 成田着


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