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エレキの魅力とJoe Maphis

Joe Maphisというギタリストをご存知だろうか。
モズライトのダブルネックギターで超速フレーズをマシンガンのように繰り出す1950年代から活躍したギタリストである。エレキギターの他にアコースティックギター、フィドルやバンジョー、エレキベースも演奏するがメインは何といってもエレキギター。

Town Hall Partyというテレビ番組の常連で、同時代から活躍していたCollins Kidsと仲良く並んでダブルネックギターを演奏したりして人気を博していたようだ。Town Hall Partyの映像はYouTubeで観ることができるのでご覧になったことがない方にはぜひ見ていただきたい。やっている音楽はカントリーミュージックの類いなのだけれど、後に流行するロックンロールにも多大な影響を及ぼしただけでなく、エレキギターの奏法にも大きく貢献した人物であることは間違いない。

私はこのJoe Maphisというギタリストのファンで、レコードを見つけるたびに購入しているのだけれど、キャリアは長いもののそれほど多くレコードをリリースしなかったせいか、手元にはまだ10枚も彼のアルバムは無い。キャリアを通して彼のギターサウンドは一貫しており、エレキギターをアンプに直に繋げ、純粋な「エレキギター」のサウンドを堪能させてくれる。

彼の正確なピッキングは速いフレーズでも乱れることがなく、モズライトというサスティンが短い楽器を使っていることも影響し、一音一音が歯切れよく素早く聞こえる。これこそ、速弾きという演奏なのだ。

しかし、ただの速弾きギタリストはカントリーミュージックの世界には星の数ほどいる。Joe Maphisのギターの良いところは、その繰り出すフレーズがどれも明るく陽気で、音楽を聴いているということを楽しませてくれるところだと思う。

実際、彼の演奏する曲はたとえマイナー調の曲であっても、スタイリッシュな中に陽気さがあり、ウキウキ感がある。エレキギターという楽器の魅力を存分に伝えながら、音楽そのものを楽しませるというサービス精神のようなものすら感じさせる。

私は彼のギターを聴くたびに「一生かかっても彼のようにエレキギターを弾けるようにはならないだろうな」という諦めと、「自分もこういうふうに弾けたらどれだけ楽しいだろう」という憧れを感じる。そして、押し入れからエレキギターを取り出し、カントリーリックを練習してみたりするのであるが、なかなかJoe Maphisのようなフレーズを弾くことはできない。まあ、当たり前なのであるが。

そんなふうに、Joe Maphisのレコードを聴いていると、エレキギターの根本的な魅力のようなものを再認識することができる。

もし、まだ聴いたことがないという方は、是非聴いてみていただきたい。そして、感想をお知らせいただければ幸いだ。

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