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Pedal Steel Guitar、嗚呼!ペダルスティールギター! って何?

最近時々ペダルスティールギターについて書きましたが、よく考えたらペダルスティールギターという楽器そのものについてご存知ない方や、ご興味は持ってらっしゃっても、現物を触ったことがない方も多いかと思い、ペダルスティールギターとはどういうものかについて書きたいと思います。

そうは言ったものの、私自身もペダルスティールについて知らないことも多く、むしろ教えて欲しいぐらいなのですが、何せこの楽器は競技人口が少ないので教えてくれる人もほとんどいないのが現状です。私の周りには、幸いにしてほんの数名ペダルスティールを演奏される方がおりますが、その方々も結構ご高齢になってきてしまっているので、私が頑張ってペダルスティールの文化を日本から絶やさないようにしなければならないと勝手ながら考えている次第です。

近年では、高田漣さん(高田渡さんの息子さん)がペダルスティールを一躍有名にしたので(とはいっても、まだまだマイナー楽器ですが)噂によるとペダルスティールギターがテレビにまで紹介されたそうです。私はテレビを持っておりませんので、その放送を見たわけではありませんので俄かには信じられませんが、私の周りの人が「ああ、高田漣さんね、最近テレビで見たよ」と言っていたので、本当のことなのでしょう。

この楽器をテレビでお茶の間に紹介したというのは、凄い快挙です。

まず、ペダル?スティール?というところから説明しなければなりませんね。

ギターという楽器はご存知かと思いますが、その兄弟のような楽器でスティールギターというものがあります。これは、ギターから派生した楽器なのですが、ハワイかどこかでギターの一般的なチューニングが普及していなかった時に、これを独自のチューニングにし、楽器を寝かせてナイフの柄の部分で弦を押さえスライドさせて演奏したのが始まりだと言われてます。これも、モノの本で読んだのか、レコード屋のオヤジから聞いたのかよく覚えていない知識なので、間違っていたらすみません。

フレットがついている指板を押さえて演奏する楽器であるギターのフレットを使わずに、ナイフ(スライドバーという)でスライドさせて演奏するわけですから、滑らかなグリッサンドが可能になります。
一般的に、スティールギターと言われると、このラップスティールギターを指すことが多いです。

ラップスティールギター(エレキ)

上記の写真がラップスティールギターです、膝の上に寝かせて弾くので、ラップ・スティール・ギターです。

スティールギターには、この他にラップ(膝の上)ではなく、楽器本体に脚がついたコンソールタイプと呼ばれるものがあります。先日私のnoteの記事で紹介させていただいたDon Helmsが盛んに演奏していたのがこのコンソールタイプのスティールギターです。


コンソールタイプ

このように本体に脚がついているので、両足が自由になり右足でボリュームペダルを操作することが可能になりました。

実は、スティールギターの発展(特にエレキのスティールギター)において画期的だったのが、このボリュームペダルを操作できるようになったことなのです。ボリュームを自由に操作することにより、ギターの弦を弾いた時に突然音が大きく出て、すぐに減衰するというサウンドだけでなく、まるで管楽器やヴァイオリンのように、スムーズに伸びる音を表現できるようになったのです。
やり方としては、ボリュームペダルを少し絞った状態で弦を弾き、その直後に徐にボリュームを上げるということを行います。エレキギターでも似たような奏法がありますが、あれと一緒ですが、スティールギターの場合あれを常に行います。
これが、なかなか難しい。上手い人がやると、一音弾いただけでなんだか心がゾクゾクするぐらい美しい音が出るのですが、スティールギターの奏法は「パームミュート(右手の掌の縁でのミュート)10年、ボリュームペダル30年」と言われるように(言われてないか)、このボリュームペダルを用いた奏法がとても難しいのです。

それで、コンソールタイプで両脚が自由になったから右足でボリューム調節をしようとなったのが、1940年代ぐらいでしょうか。そうしているうちに、自由になった左足でもまだまだ色々なことができるのではないか、ということになり開発されたのが、ペダル・スティール・ギターです。

文字通りペダルがついているスティールギターです。
それらのペダルを、主に左足で操作(踏む)します。
ペダルを踏むと何が起こるかというと、特定の弦のチューニングがかわります。音程が上がったり下がったりします。
これにより、バーを固定させたままでも様々な和音を弾くことが可能になります。ペダルスティールギターが開発されるまでは、みんなスライドバーを斜めに寝かせたりして(スラントさせて)複雑な重音を奏でたりしてましたが、ペダルをつけることにより、そういうことをしなくても複雑な和音を出すことが可能になりました。

ペダルスティールギター

もちろん、ペダルがついていても、スライドバーを斜めにして弾いてもいいのですが、それは結構上級テクニックの部類に入ります。

ペダルスティールギターの標準的な楽器は2種類あり、E9チューニングのものと、C6チューニングのものがあります。

E9チューニングは、所謂3コードの曲が弾きやすい、トニック、サブドミナント、ドミナントのポジションが覚えやすいチューニングですが、その反面複雑なテンションコードは弾きづらいチューニングです(やってできないことはありませんが)。E9チューニングの楽器は大抵10弦です(10本弦が貼ってある)。

C6チューニングの楽器は、オープンでC6のコードが鳴らせるので(ドミソラ)特別なことをしなくても、メジャーコードとマイナーセブンスコードが一つのポジション(CメジャーコードとAm7コード)で出すことができます。そのおかげで、各弦を半音ずつ上下すれば、#9thやb9thのようなテンションを鳴らすことができるようになります。習得は難しそうなので、私は半ば諦めておりますが、ペダルスティールの名人の多くはこのC6チューニングの楽器の名人でもあります。

多くのペダルスティールギタープレーヤーは、E9とC6の楽器を2台持ち歩くわけではなく、二本のネックにE9とC6のチューニングが割当てられたダブルネックの楽器を使います。

ダブルネックの楽器

そもそもペダルスティールギターはかなり重量がある楽器ですので(ダブルネックのものはケースに入れると30Kgを超えるものもあります)2本も持ち歩くわけにはいかないのでダブルネックの楽器を使います。

それでも重いという方のために、開発されたシングルネックでE9もC6チューニングも兼ねてしおうという楽器もあります。ユニバーサルチューニングと呼ばれております。U12(ユニバーサルの12弦)なんて呼び方をされ、先ほどの高田漣さんもU12を使っていたような気がします。

ユニバーサルチューニングの楽器

ユニバーサルチューニングの楽器は、ダブルネックの楽器と違い、色々と辻褄合わせが発生しておりますので、ダブルネックの楽器から持ち替えると色々なところに違和感を感じます。
ただ、全体のチューニングは一つのチューニングなので、直感的にE6もC6(正確にはB6だけれど)も一緒に覚えてしまうことができ、そうです。
できそうです、と書いたのは、よくわからないからです。

私が普段使っている楽器はU12(ユニバーサルチューニング)の楽器なのですが、普段は単なるE9の楽器として使っております。

「いつでも複雑なテンションコードだって弾けるんだぞ、」という安心感から自分の楽器をU12の楽器にしましたが、これだったらE9の楽器でもよかったのではないかと時々思います。

でも、なんか、12弦の楽器って、カッコいいじゃないですか。ギターだってなんだって、弦の数が多いとそれだけでカッコいいじゃないですか。だから、U12の楽器にしたと言っても過言ではありません。

ペダルスティールギターについては、語り出すとキリがなくなるので、続きは今度。

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