なぜコミュニティにこだわるのか
僕はいま、コミュニティに夢中になっている。
コミュニティを一から立ち上げたり、立ち上がったコミュニティを運営したり、コミュニティに関わる活動に注力している。
この2年間で10以上の新しいコミュニティに所属し、その中のいくつかのコミュニティでは運営も経験してきた。これから新たに運営に携わるコミュニティもある。
このタイミングで一度初心に帰るべく、僕がコミュニティにのめりこむようになった背景を改めて振り返っておこうと思った。なぜ僕がコミュニティにこだわっているのかについて。
空気感をつくることへの執着
僕は場の緊張を緩めたり、盛り上げたりすることに異常に執着している。
いわゆる空気(感)をつくるということに。
とはいえ、小さい頃の僕はそんなキャラではなかった。
幼少期からスポーツにたしなんでいた影響もあって、とにかく負けず嫌い。自分が1番にならないと気がすまない、自分の主張はゆずらない、ある種自己中心的な存在。
今振り返ると、その性格もあってか周りから孤立していた時期もあった。
そんな僕に転機が訪れたのは中学校に入ったとき。
同じクラスになった友人にものすごい影響を受けることになる。
彼はクラスのムードメーカーだった。彼の一言でクラスが沸き、彼の一挙手一投足にクラス中が注目していた。その姿は当時の僕にとって衝撃だった。
「なんでこんなに教室の空気を変えることができるんだろう…?」
幸いなことに、彼とは性格も合い次第に親友となっていった。
そして、憧れから彼の立ち振る舞いを真似るようになっていった。
どのようなことをすればみんなが笑ってくれるか。
どのようにふるまえばみんなが盛り上がってくれるか。
その頃から良くも悪くも周りの目を意識するようになった。
彼と同じクラスだったのは1年間だけだったが、1年間彼の原液をたっぷり吸収した僕はその後も「空気感を作る」ことをし続け、今に至る。空気感を作ることに必要不可欠な「全体を俯瞰する」クセも自然と身についていた。
人を笑わせたり、場を盛り上げることで自分の存在意義を感じることができる、そんな気質の人間ができあがった。
居場所を失った経験
人がコミュニティを求める理由の一つに、居場所がある。
「自分はそこにいていいんだ。」「自分はそこで役に立っている。」というような感覚を得られる場所こそが居場所だ。
僕はその居場所というものを完全に失ってしまった経験がある。
それは前職時代。東京から関西へと転勤になったときだった。
東京のときは上司にも同僚にも恵まれ、仕事ばかりの生活だったが充実した日々を送っていた。それなりに結果も出て、仕事の楽しさを知ったのもこの時期だった。そんな折、突然の関西への異動。新天地に心を踊らせながら新しい生活がスタートした。
しかしながら、期待とは裏腹にそこで待っていたのは絶望だった。
ヒエラルキーがしっかりした組織。上司の言うことは絶対。恫喝のような叱責は日常茶飯事。まるで軍隊に放り込まれたような環境。
そのうえ、上司とまったくそりが合わない。目を付けられ、一挙手一投足を否定され続ける毎日。
「お前との会話、本当に無駄な時間だからもう話しかけないでくれる?」
発破をかけるつもりの発言だったのかもしれないが、その一言一言が僕の精神を殺すのに十分な威力を持っていた。
周りを見ても、同僚は自分の身を守ることに必死。誰も味方はいない。
次第に会社に行くことに嫌悪感を抱くようになっていった。
生活に占める仕事の割合が99%のような状態にも関わらず、その仕事によって精神をすり減らされる毎日。この頃の僕は、死んだように生きていた。
気づけば、生活から自分の居場所はなくなっていた。
ただならぬ危機感を感じ、僕はそんな環境から逃げ出した。
東京のときの僕と関西のときの僕。
取り巻く人が変わるだけで、人はこんなにも変わってしまうものなのだ。
オンラインサロンでの組織づくり
前職を逃げるように辞め、次の仕事に就き、なんとか落ち着いた生活を取り戻した。
しかしながら、困ったことがひとつあった。
仕事人間だった僕はエネルギーを持て余してしまっていたのだ。
そんな時に出会ったのが昨今流行りのオンラインサロンだった。
会社とは違い自分のやりたいことだけに取り組める環境。
持て余していたエネルギーをすべてそこにつぎ込んだ。
オンラインサロンでプロジェクトを次々にこなしていくうちに、サロン内の新しいチームの立ち上げをリーダーとして一任されることになった。
仕事では管理職など経験したことがない自分が、数百人もいるチームのリーダーを任せてもらえた。こんなに刺激的なことはない。
リーダーとして、チームの空気感を丁寧に作りながら新しいプロジェクトやイベントを次々に生み出し続けていった。スケジュールが立て込む毎日だったが、社会人になってこんなにも充実した日々を過ごしたのは初めてだった。
ふと周りを見ると、一から作り上げたチームに帰属意識や愛着を持ってくれている仲間がたくさんいた。「このチームがあるから、このオンラインサロンにいるんです。」という言葉をくれた仲間も。
そこにこれまで感じたことのない達成感があった。
人の居場所をつくることがこんなにも嬉しいことなのか、と心に深く刻まれた。
そしてこの時、僕の過去における点がつながり、ひとつの線になったことに気づいた。この達成感を感じることができたのも、空気感をつくることへの執着という土台と、自分自身の居場所を失った経験があったからに他ならない。
オンラインサロンでの組織づくりという経験がこれまでの人生を再編集し、そこに新たな意味づけをした。行動し続けた先に新しい自分を発見したのだった。空気づくりへの執着はコミュニティの空気感を生み出すことに寄与し、居場所を失った経験は居場所の価値を痛感できたきっかけへと昇華したのだ。
そんな歩みをしてきた僕だからこそ、コミュニティで役に立てることがあると信じている。それが僕がコミュニティにこだわっている理由。
「居場所になるコミュニティをデザインする」という想いを胸に、僕は今日もコミュティを堪能する。
いつもありがとうございます!