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同じタイトルの詩

 先日ヒロイヨミ社さんの展示『fumbling』で購入した『ある日3』
その中に菅原克己の詩が引用されていた。『島』というタイトルの詩なのだけれど、自分の知っている(覚えている)詩と違っていた。気になり久しぶりに菅原克己全詩集を取り出し目次を見てみると、島というタイトルは一つしか見つからず、その頁の詩は自分が覚えていたものではなく『ある日3』で引用されているものだった。
 何回見返しても一つしか見当たらない。もしかしたら自分が覚えていた詩のタイトルは島ではなく別のタイトルなのかもしれない。しかしその詩は同人誌サイコロの6号で取り上げているので間違いはないはずなのだけれど、思い違いだったらサイコロに掲載した作品はタイトルを間違えたことになる。今更誰かが怒ることもないだろうけど、でもな…と少し焦りだした頃に、そのもう一つの詩が見つかった。

 そして読んで少しほっとした。

『島』 菅原克己
島、といっただけで
ふいにうかんできて
ビルのまどがかげるような
ひとつの島がありました。

島、といっただけで
このよのどこかに
ひっそりなにかがあるような
ひとつの島がありました。

島、といっただけで
それはもう
島でもかげでもなく
それでもなにかがあるような
ひとつの島がありました。

 <このオフィスのかたすみで
  タイプのおともひとごえも
  みんなとおくにきえちゃって>

島、といっただけで
ふいにうかんできて
ビルのまどがかげるような
ひとつの島がありました。


サイコロ006に掲載した版画(リノカット)


2023年5月15日(月曜日)

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