フロム『愛するということ』
歳のせいか、何人もの同級生や後輩の男子・女子が、結婚生活の問題を嘆いているのを聞きます。
なかには、「もう、心の中では離婚を決めている」という人もいました。
わたしは未婚なので何年も何十年も一緒に生活することについてはよくわからないんですが、何十年か前に恋愛について悩んだことがありまして、その時に読んだ本についてお話しようと思います。
ご参考に。
エインリッヒ・フロムという人が書いた『愛するということ』という本があります。
1959年の発売当時は、各国でベストセラーになったそうです。
ここでフロムが述べているのは、「愛」というのは、生まれて自然に持っているものではなく、言葉のように、パン作りのように、努力して、習うことで獲得する「技術」であり、「能力」なのだ、ということです。
そして、真の意味で他人を愛するには、自らの人格を成熟させ、たゆまぬ努力をしなければならない、と。
「恋」と「愛」は違うのだ、と。
なるほど。
「キレイだなー」「可愛いなー」というだけでは、ダメなんですね。
「これは、まだまだ、俺は人を愛せないぞ」
と、何十年か前のわたしは知りました。
もっと人間として成長し、成熟しなければ。
が、一方、愛が技術や能力であるなら、その技術や能力を持ち合わせない、というか、上達が難しい人ってのも当然いるわけですね。
ピアノを習ってるけど、上手く弾けない人がいるように。
ですから、そーゆー人はあきらめて別の道を目指した方がいいですよね。
フロムも人格を成熟させる条件というか、方向性みたいなを記してるんですが、なーかなか難しい。
わたしは50代なんですが、こーゆー歳になると、だいたいわかってきますね。
「持って生まれた方向性みたいなものは、そー簡単に変わらない」
って。
若いんなら別だけどね。
ですから、結婚生活に悩む同級生や後輩に伝えたいのは、『愛するということ』を読んでみて、
「こりゃ、ダメそうだなぁー」
と思ったら、恐れずに別の道を行こう!ってことです。
身も蓋もないけど(笑)