ニコラス・ブラザースというart
芸術というのは、いわゆる「高尚」なものだけの話ではなく、本来もっと幅広いものを指します。
「芸術」っていう言葉も「art」っていう言葉も、つまり東洋でも西洋でも、その語源は「種をまいて実を育てる」みたいな意味だそうです。
近代に入って芸術やartを特別なものとして切り離す考え方が強くなりましたが、一方で切り離さない考え方もあります。わたしは切り離しません。
というわけで、ニコラス・ブラザース。
わたしはダンスにあんまり興味がないんですが、たまーにニコラス・ブラザースを見て感動してます。
彼らのダンスはartです。
彼らは、第二次大戦前、子どもの頃から活躍を始めました。つまり、ずいぶん前の人なわけですが、すごいっす。ほんと、すごいっす↓
なお、最初に出てきて歌ってんのはキャブ・キャロウェイです。わたしなんかは、映画「ブルース・ブラザース」に出てた昔大人気だったミュージシャンていうことしか知らなかったんですが、最盛期の彼も良いですね。
ダンスだけじゃなく、歌も歌います↓さすがに子どもの頃から活躍したエンターテナー。
しかし、まぁ、それにしてもダンスがスゴくて、後ろに写ってるエキストラの皆さんがほんとに見入ってるような感じですね。
さらに1987年の舞台の映像があります↓サミー・デイヴィスJr.がケネディ・センター名誉賞を受賞したことを讃える舞台です。この賞は毎年何人か受賞するんだそうで、他の受賞者の方々も見えます。
ここに、ニコラス・ブラザース、チャック・グリーン、ジミー・スライド、ハワード(Sandman)シムズが登場します。みんな、当時の「生ける伝説」みたいなダンサーです。
で、ま、お年のせいか、さすがに何だかおぼつかない人もいるわけですが、ニコラス・ブラザースね、まだまだスゴいっす。
兄のフェイアード・ニコラス73歳、弟のハロルド・ニコラス66歳ですよ。もう悠々自適の生活なんでしょうに、相変わらずスゲーわけです。そのお年にになっても、なお、努力を続けて、鍛錬を重ねてるんでしょうね。
もうね、舞台背景も音楽も、他には何もいらない。いまでもダンス一本で舞台で勝負してやっぞ、みたいなね、エンターテナーの矜持(きょうじ)みたいなものがね、グイグイ迫ってきます。
それをね、ニコラス・ブラザースと同じヴォードヴィル出身っつーか、旅芸人一座出身のサミー・デイヴィスJr.にね、舞台からトリビュートして贈ってるわけです。
artですわ。素晴らしいっす。