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映画『メリー・ポピンズ』の本当の意図〜子どもの頃見た感じと大人になって見た感じ


映画の『メリー・ポピンズ』って、ほんとに素晴らしいです。つか、ジュリー・アンドリュースが素晴らしいです。例えるものが無いくらい素晴らしいです。子どもの頃初めて見てから、ずーっと心奪われています。


で、これがですね、大人になって見ると、ちょっと違う感じを受けます。いや、変わらず素晴らしいんですが、メリー・ポピンズは、子ども達を救いに来たのではなく、あの一家を救いに来たんだなぁ、と。


そこが、また一段と素晴らしいっすね。


子どもには子どもとしての印象を与え、大人には大人としての印象を与えるのが深みがありますわ。


その「バンクス一家を救う」っていう映画の意図は、原作者のパメラ・トラバースが、メリー・ポピンズの映画化を希望するウォルト・ディズニーとの交渉過程で生まれたものなんだそうです。


映画『ウォルト・ディズニーの約束』を見て知りました。原題自体が『Saving Mr. Banks 』(バンクス氏の救済)ですし。


映画『ウォルト・ディズニーの約束(Saving Mr. Banks)』


この映画、映画自体として考えると面白いのかどうかわかりません。いや、わたしは『メリー・ポピンズ』が大好きなので、冷静に判断できないというか。


ただ、原作者パメラ・トラバースを演じるエマ・トンプソンがいいですわ。誰が見ても。


エマ・トンプソン


この方、1990年代から活躍する英国の名女優で、ほんとに上手いです。2018年に大英帝国から女性の騎士号Dame(デイム)を贈られましたね。男性で言う「サー」です。ですから、なんか正式な場で、彼女が目の前にいて呼びかける時は「デイム・エマ・トンプソン」と言うんですって。


偏屈で気難しい原作者を、うまーくチャーミングに演じてます。主人公がただ偏屈で気難しくて観客の反感だけを買うんじゃ映画が成り立ちませんからね、そこら辺をエマ・トンプソンは見事に処理してます。


この方、日本ではたぶん1992年公開の『愛と死の間で』あたりで有名になって「演技力を兼ね備えた英国の正統派美人シリアス女優が出てきた」みたいな扱いだったような気がしますが、実は世界有数の名門ケンブリッジ大学のご出身で、大学時代は「Dr.HOUSE」のヒュー・ローリーとかとコメディ劇団やってたっていう面白女で、YOUTUBEで色々見てみると、英語圏ではその面白女っぷりをいかんなく発揮しています。


↓は、若い頃、ドナルド・トランプから夕食に誘われた話をしています。撮影の時にトレーラーにいたら、トレーラーにある電話(固定電話)が鳴って、出てみたらドナルド・トランプで、夕食に誘われた、と。なんでこの電話番号知ってるの?私でさえ知らないのに。っていう、わたくし英語よくわかんないですが、たぶんそんな面白昔話で会場をわかせています。


さて、原作者パメラ・トラバースは、ほんとに偏屈で気難しかったそうで、映画『メリー・ポピンズ』を見てから、ジュリー・アンドリュースのこともディック・ヴァン・ダイクのことも大嫌いになったそうです。なかなか、あの二人を大嫌いだという人はいませんわね。


大人になって見て改めて発見したことがもう一つ


そうだ。

大人になって見て改めて発見したことがもう一つ。

メリー・ポピンズが来る前に出て行く意地悪なナニーがエルザ・ランチェスターだったこと。

ビリー・ワイルダーの名作『情婦』の看護婦役の人ですね。

実質的な主人公である老弁護士役チャールズ・ロートンの看護婦役です。二人は実生活ではご夫婦だったそうです。チャールズ・ロートンは英国の舞台人らしい味わい深い演技で、それをエルザ・ランチェスターが軽やかに受け流しているような感じが良かったですね。