最晩年のカラヤンと若きスミ・ジョーの素晴らしい「夜の女王のアリア」
カラヤンのDVDを見てたら、
ソプラノ歌手のスミ・ジョーが素晴らしく歌うシーンがあり、その部分の動画がYOUTUBEにあったので、ご紹介。
最初の方にカラヤンが「少し待って欲しい。一つ約束がある」っつって登場してくるのは、大賀典雄ですね。自身もバリトン歌手で、ソニーの社長等を歴任した。
カラヤンと大賀は、大賀が音楽の勉強でベルリンにいた時、とても若い頃に最初に会ったそうで、CDの開発や映像機器(カラヤンは自分の会社を設立して映像化に熱心だった)や飛行機の操縦等の趣味が合い、公私ともに仲が良かったそうです。
カラヤンが亡くなったのはカラヤンの自宅で大賀とミーティングをしていた時だそうです。カラヤンがベッドの上でミーティング中に発作を起こして、大賀に倒れこんで亡くなったそうです。
そんな仲の良さが伝わってくる場面です。
ついでですが、大賀典雄は、ソニーからの退職金を全て軽井沢町に寄付して、軽井沢大賀ホールが造られたそうです。偉いもんです。
で、その間に待っているのがソプラノ歌手のスミ・ジョーと、もう一人はチェチーリア・バルトリです。
ソプラノ歌手っていうか、オペラ歌手っていうか、その分野にまったく興味がないので全然知らなかったのですが、二人とも、上記動画の後、数々の実績を積み重ねて現在では偉大なソプラノ歌手です。
その偉大なソプラノ歌手二人が、まだ若く、実績もそれほどなく、希望と不安ですくんでいるような時、飛躍するために巨匠に会いにいった一場面です。良い場面ですね。
たぶん何かのオーディションのためにカラヤンの前で歌っているんだと思うんですが、カラヤンにリクエストされてスミ・ジョーがモーツアルトのオペラ「魔笛」の「夜の女王のアリア」を歌います。「昼間だから声がでない」とか言いながら。
これが、素晴らしい。
先述しましたが、私はソプラノ歌手というか、オペラ歌手にまったく興味がありません。というか、あーゆー声の出し方がキライです。個性を消していくようで。
それでも、素晴らしい。
カラヤンは彼女の歌声を
「神からの贈り物」
と絶賛したそうですが、ほんとに素晴らしいです。
このドキュメンタリーが撮られたのはカラヤンが亡くなる2年前です。
名声も名誉も実績も、たくさんのほぼ何もかも持っているが、もうすぐ去って行く者と、あまり多くを持っていないが、これから何かを掴もうとしている者の対比が味わい深いですね。人生の真実が切り取られています。泣けます。