見出し画像

板橋区の不登校支援のドタバタ劇

8/7付けのプレスリリースで「板橋区、スダチと連携し区内の小学校に向けオンライン再登校支援を実施」というものが出回り、その後、板橋区が慌てて火消しに走る(「板橋区と株式会社スダチが連携し不登校支援を強化」という記事について)というドタバタ劇があり、このお盆時期に事務局さんみんな大変ですなぁと思うとともに、この会社のやばさを知れば知るほど、背筋が凍る今日この頃です。

この「株式会社スダチ」という会社は、3週間で不登校を解消するというのをキャッチコピーに「累計再登校人数1000名!」とうたっている会社です。
簡単に言うといわゆる「不登校ビジネス」。

で、この会社の方針が「子どもとは一言も話さず、会わずに、親とだけ話して不登校を解消する」というものらしく、簡単に言うと「家に居づらくして無理やり学校に行かせる」という、不登校支援としてはほぼ禁じ手といわれるような手法だったため、「そんな団体と板橋区が!?」と各地で物議を醸したわけです。

※詳しくは、経験者の方のこちらのツイートが参考になります。
https://x.com/odu4fue8bo/status/1822994402815709207

これやれば、子どもは恐らく「学校に行く」と家を出ます。なぜなら学校に行くよりも家にいるほうが怖いから。
安全な場所ではなくなったから、家にいられないだけです。学校に行きたくなったわけじゃないんですよね。
(もちろん、ごく一部の「なんかめんどくせ~」という不登校の子には、根本解決になる可能性もありますが)

ちなみに私は子供のころに、この状況を経験しています。
「学校行きたくない」と言ったら、家からパジャマのまま、ランドセルと一緒にたたき出されました。

そんな日が続いて、行きついたのは「家の電話線を抜き(学校から電話が来ないように)、学校に行くふりをして家を出て、路地裏で午後までしゃがみこんで時間をつぶす」という対処法でした。
当時はケータイもメールもない時代だったので、家電さえ鳴らなければ親は不登校に気づきませんでした。
帰ってくれば、ご機嫌で迎えてくれます。

これ、お子さんにやってほしいですかね?
事件・事故に巻き込まれるかもしれないし、結局学校には行ってないし、親は騙されて安心しているだけです。

我ながら悪知恵が働いていたなと思いますが、学校よりも家よりも、薄暗い墓地に面した路地裏のブロックの上が、一番安心できる場所になってしまったんです。

この会社がやろうとしているのは、これと同じことだと思うんです。
子どもから居場所を強制的に奪い、安心できる時間を奪う行為です。

安心できる場所が無くなれば、私のようにどこかを放浪するか、
命を絶つかしかなくなります。

不登校は親が追い詰められます。
でもそれ以上に、子どもも追い詰められています。

どうか、不登校の親御さんに「もっと厳しくしなさい」とか「あなたが原因です」と責めるのではなく、支えて、安心させて、明るい未来を見せてあげてほしいと思います。
親の心が落ち着けば、いずれ子どもの心も落ち着きます。
落ち着いたら、学校以外でもいいから少しずつ外の世界との接触を増やしてみてください。きっと、その子に合ったタイミングでその子に合った方法で大きく羽ばたくときが来ます。

家を安全ではない場所にしても、解決はしません。
大人の仕事は、家を安全地帯として確保したまま、学校を安全な場所にすることです。
学校が安全だと感じられるようになれば、ほとんどの子は学校に行けるようになります。

ちなみに私はこの後転校し、転校後の小学校は欠席なしで学級委員をつとめ・中学校は皆勤賞を取ってます。

不登校の時期が数年あっても大丈夫。
特に小学校の学習なんて、本気になれば数か月あれば追いつきます。
私も丸一年小学校に行っていませんでしたが、普通に大学に行って薬剤師になり、偉い人たちに「先生」とか呼ばれるような仕事もしていたりします。

人生、生きてさえいれば、そう簡単にダメになんてならないですよ。

板橋区教委が、このまま「「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、将来、児童・生徒が豊かな人生を送れるよう、社会的に自立をすることをめざす「不登校対応ガイドライン」の不登校対応方針を変更するものではありません」の方向性でいてくださることを、心より祈っております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?