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COTEN CREWは世界への回答のひとつ。「正解」ではなく「回答」を増やしたい | 飯田 光平 × 深井 龍之介
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COTEN CREWは世界への回答のひとつ。「正解」ではなく「回答」を増やしたい | 飯田 光平 × 深井 龍之介

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法人COTEN CREWへ参加してくださった企業の方々へのインタビュー。第五弾の対談相手は、「日本および世界中の人々が本を自由に読み、学び、楽しむ環境を整える」というミッションのもと、オンラインを中心に本の買取・販売を手がけるバリューブックスの飯田光平さんです。

かなり初期からCOTENを支援してくださっているバリューブックスさん。COTEN CREWへの思い、バリューブックスさんのユニークな組織・考え方についてお伺いしました。

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飯田 光平(イイダ コウヘイ)さんプロフィール:
1990年、神奈川県藤沢市生まれ。古本の買取・販売を手がける株式会社バリューブックスに編集者として所属しながら、フリーとしても活動。これまでに書店勤務、書籍や紙モノの編集など、本にまつわる仕事を経験。2021年より浅間山のふもと、北軽井沢に移住。

本のスポンサードをずっとしたかった

下西(COTEN広報):
本日はよろしくお願いいたします。バリューブックスさんと COTEN のお付き合いも、長いですよね。いつからどのように始まったのでしょうか。

飯田 光平さん(以下、飯田):
僕が COTEN RADIO のリスナーだったことがきっかけでした。聴き始めたころは覚えていないですが、かなり初期の頃だったと思います。「偉人への悩み相談コーナー」があったときですね。当時はまだ、社内で聴いている人はほとんどいませんでした。

深井 龍之介(以下、深井):
本当に一番最初ですね。

飯田:
すごく好きなポッドキャストだったので、「バリューブックスで何かお手伝いできたらな」とよく考えていました。社内で雑談まじりにそのことを話したら、「とりあえず連絡してみたら?」って言われて。「あ、確かに」と思ってすぐに連絡してみたんです。

番組内で参考文献を集めるのが大変だと話されていたので、「バリューブックスから本を提供しましょうか」と問い合わせフォームから連絡して。そうしたらすぐ、数時間後くらいかな、たかちんさん(※ COTEN CGO 佐野貴)から電話が来てびっくりしました。

深井:
来たメールをたかちん(※COTEN 取締役 佐野貴)と一緒に見てたのを覚えてます。「電話するわ」ってたかちんがすぐ電話して、「すごいいい人だった!なんかできるかもしれん!」って。そこからとんとん拍子で本を提供してもらうことが決まりましたよね。

僕達もちょうど「書籍代が馬鹿にならんね…」って言ってた頃だったからすごくありがたかった。今もずっと継続的に買ってもらっていて、本当に助かってます。

飯田:
参考文献の提供は、バリューブックスがダイレクトに力になれることだと思いましたから。

COTEN と出会う前から、社内では「本のスポンサード」を始めたいと話していたんです。サッカー選手へシューズを提供するように、僕らが支援することでそのプレイヤーがより活躍できるようになる。そんな思いを持ちつつも、本を必要とするプレイヤーはどんな人だろうと考えている時に、COTEN を知って。「まさに本を欲しているプレーヤーじゃないか!」と感じで、そこからスポンサードの形が一気に具体化しました。

深井:
確か本を提供してもらい始めたのが2020年の12月からでしたよね。もうゆうに数百冊は提供していただいている。そこに加えてずっとスポンサーにもなっていただいて、本当にありがたいです。そして今回は法人 COTEN CREW に加わってもらって。関係性が少しずつ変わってきましたね。

法人COTEN CREWの“合理性”

飯田:
そうですね、「COTEN のスポンサー企業」から「見返りを求めない COTEN CREW」へと変わった。ただ、正直な思いとしては、それによってバリューブックスと COTEN の関係性は今までと変わらない感覚なんです。というのも、今までも「本やお金をサポートするから、その対価としてバリューブックスを広告してほしい」と思っていたわけではなくて。僕たちとしては、COTEN の活動がより前に進んでいくことが、一番なんです。
一緒に取り組んできたキャンペーンも、COTEN、リスナーさん、バリューブックスにとってよい形になるものをしたい、という思いでしたから。COTEN CREW になっても僕達のスタンスは全く変わらないので、定義が変わったことについても、いち企業としてはあまり大きな事として捉えていません

「スポンサー企業だから、番組では必ずバリューの宣伝してください」という取り組みだと、COTEN も自由な活動がしにくいし、その違和感はリスナーさんにも伝わるじゃないですか。僕自身がCOTEN RADIOのいちリスナーですから、そんな形では関わりたくない。

お互いが無理に関わるのではなく、僕たちが提供できるものを使ってプレイヤーがより成果を出し、それによってバリューブックスの存在やサービスを知る人が増える。こうした形の方が自然だし、結局は一番効果的なものになると思うんです。ですので、COTEN CREW になって COTEN の活動を応援していくことは、慈善事業ということでもなく、ビジネスとして合理的な判断の上で行なっているとも言えますね。

深井:
めっちゃわかりますそれ。本当の合理性ってそうなりますもんね。新しいポスト資本主義社会には、ポスト資本主義的な合理性が必要だと思っています。次の社会の合理性みたいなもので、システムとして回っている状態を目指してますね。

だから法人 COTEN CREW も「気持ちでやってます!」じゃなくて、システムとしてそうですよね、というものでありたい。お互いメリットがあって、そのメリットが今までの資本主義の中では説明できない、というのが法人 COTEN CREW だと思ってるんです。法人COTEN CREWは「見返りなし」と言ってるけど、ないとは思ってない。「今までの資本主義的な『見返り』と思われているものには該当しませんが、このような見返りがあるので、ちゃんと考えたら合理的だよね」という話をしています。だからちゃんと参加いただく方々にメリットがあるものだと思っているし、そこをお互いが理解できているのはすごく嬉しいです。

飯田:
そうなんですよね。伝わりやすいように「合理性」という言葉も使ったけれど、結局は「気持ち」なのかな、とも思っていて。COTEN RADIO に本を無償で提供したいと思った時も、深井さんから COTEN CREW の話を聞いた時も、それが「ポスト資本主義」なのか「打算的なお金儲け」なのか、厳密に判断していたわけではありません。「バリューブックスが協力することでより力を発揮できるなら、協力したい」という気持ちから行動し始めたので。

それを後から振り返り、会社の状況や社会状況に照らし合わせて「巡り巡って、この方がメリットあるんです」と解釈して説明している感覚があります。ですから、「なぜ COTEN を支援するのか」というロジックも、きっと何年も経ったら別の形で説明しているのかも知れませんね。

特殊?なバリューブックスという会社

深井:
そういう会社だからこそ今回参加していただいているんでしょうね。そういう決裁ができる会社。 バリューブックスさんの決裁方法ってすごい特殊じゃないですか。承認フローがないんですよね。

飯田:
基本的には決裁に承認は必要ありません。もちろん不安があれば事前に周りに相談したりしますし、高い買い物をしたら「どうしてそれを買ったの?」と聞かれることはあります。でも、その際も自分がきちんとその理由を説明できればいいだけなので。法人COTEN CREWに関しても、身の回りの人にかんたんに話はしましたが、自分で決めたことですね。

COTENさんへ提供している書籍代も合わせたら、そこそこな額ですけどね。自分で言うのもなんですが、変わった会社ですね(笑)。

深井:
すごく変わってますよね。一般的な会社なら、費用対効果とか判断される。

飯田:
そうですよね。ただ、よい形で評価していただくこともあるものの、ある意味では、バリューブックスは組織として未熟だ、と表現することもできると思います。僕たちの組織の在り方を見て、「自由ですごい会社ですね」と言ってくださる方もいれば、「基本的なこともできていない会社だ」と感じる方もいるでしょうね。

自分たちとしては、全てゼロベースで考えて実践している感覚です。もしかしたら、車輪の再発明をしているだけかも知れないですが。会社から上司の存在を無くしたことにより、むしろ「上司という役割には意味があったんだ」と実感したり。世の中の常識を疑い、結局はその常識に戻ったりもするけれど、この回り道を自分たちが実感しながら進むことが大事だと思っています。

決裁に関しても、細かいルールはありませんが、「その人の器に合った金額かどうか」がひとつのポイントになるのかな? と個人的には考えています。COTEN への本やお金の支援も、僕の器に収まってるんじゃないかな。「よく分からないけど、飯田くんがいけると思えているなら、いいんじゃない」と。これが仮に、月100万円の支援額だったら、みんなにもっと費用対効果をシビアに聞かれるんだと思います。その場合でも、きちんと社内に説明できれば問題ないんですけどね。今回のサポートは、僕の器で間に合っているからスムーズに実行できているんだと解釈しています。

深井:
そうやってクリティカルシンキングがされてるのがすごいことですよね。COTEN でもそれをすごく大切にしているんですけど、世の中で当たり前だと思われていることを改めて組織で考え直して新しい基準を作っていくって、キリがないし、難しいじゃないですか。しかもバリューブックスさんは社員が300人くらいいらっしゃいますよね。その人数でコンセンサスとるっていうのはめちゃくちゃ難しいのに、できてるっていうのはすごいと思っています。

飯田:
できてるのかなぁ……。常に変化と議論の毎日です。でも、会社が今も存続しているという意味では、なんとかなってるとも言えそうですね。たとえば、社内の評価制度もまだ確立していないので、議論の真っ最中です。最近では各チームでそれぞれの評価制度を考えて、スキルに応じて給与を決めたり、プレゼン方式で「私は給料をいくらにしようと思います」と自ら発表し、他のメンバーが承認する形にしてみたり。

深井:
今僕たちがやろうとしているやつと全く一緒だ。給与を自己申告制にしようかなと話しているんです。

飯田:
そうなんですね。プレゼン方式では始め、給与を自己申告し、それに対してチームからフィードバックをもらうものの、最終的には自分で決める形を試したんです。そうすると、会社の人件費が結構上がりまして(笑)。自分自身やチームメイトに対して、シビアに評価するのは難しいですよね。それに、給与は会社の経営状況にも左右されることですが、そこを加味して自分の給与を考えるのも、大変な作業です。

どうすればよりよい仕組みをつくれるのか、話し合いと実験を繰り返しています。一部のチームだけですが、プレゼン内容と決定した給与を社内に公開してみたこともありましたね。

深井:
本当にすごくフラット。いいですね、常識に囚われないというか。

飯田:
自分たちのスタンスは、きっと振り子のように揺れ動いているんだと思います。「常識に囚われずに行動する」という片方の極端に振れる時期があれば、そこでの課題を実感して「常識も大事だよね」ともう片方の極端に振れていったり。それの繰り返しですね。

常識的と常識外れの中間地点、平均値を目指すというよりは、いつも揺れ動いていることによって、結果的には真ん中を歩いている。そんなイメージを持っています。設立して15年経ちますが、いまだにバタバタしてますからね。毎年、様々な課題に直面しながら「やばいぞ、どうしようか」と考えながら泳ぎ切っています。

深井:
でも生きてる感じしますね。

飯田:
そうですね。最終的には「やるしかない」と覚悟を決めて、全力で頑張るだけですから。

世界への回答を増やす

飯田:
COTEN CREW になることで見える未来がある、と思っています。他の COTEN CREW と知り合いになれる、といった直接的な恩恵もあるけれど、一番の魅力は「この船に乗っていたら、お互いにとってよい未来に行くんだろうな」と感じられるところじゃないでしょうか。面白そうな未来に一緒に行ける。でも同時に、「そうは思わない人」がいてもいいと思うんです。

バリューブックスのミッションは、「日本および世界中の人々が本を自由に読み、学び、楽しむ環境を整える」です。展開する事業やサービスは、門戸を広くして、多くの本を読む人のためになるものをつくりたい。

たとえば上田にある実店舗の本屋「茶と本 NABO」は、公民館のような場所にしたいとも思っていて。本好きの人だけを意識した空間にしてもいいのだけど、ふだんはあまり本を読まない人や、中学生やおじいちゃんまで、幅広い人が気軽に来れる場所にしたい。「本」は誰しもが手に取りやすいものだと思うからこそ、こちらが受け取り手を選びたくないんです。

だから、COTEN CREW になることを特別なものだと定義したくないし、そういった形で発信するつもりもありません。「この船に乗ったら楽しそうだよ。よかったら、あなたもどう?」ぐらいの気持ちで伝えていけたらいいですね。

深井:
無茶苦茶嬉しいです。本当にありがたい。それが全てですからね。COTEN から声を掛けるか、COTEN CREW のみなさんが広めてくださるか、以外の誘い方は基本ないですから。その分社会に価値を出していきたいですね。

飯田:
社会って、一度に大きくアップデートされていくイメージがあると思うんです。今は資本主義社会だけど、その前は◯◯社会で、これからは△△社会だと。でも、実際は同時期に違う社会が存在しているし、そう思う方が気が楽だな、と感じますね。今が資本主義社会であることはわかっているけれど、「なんか嫌だなぁ」という人がいたときに、COTEN CREW のようにちょっと違うコミュニティ・違うコンセプトのものがあると、心が救われる気がするんです。

それに、COTEN CREW になることが、僕個人やバリューブックスの「僕たちは、完全にポスト資本主義です」という表明に繋がるわけではない、と認識しています。こういうのって、割合だと思うんです。どちらかに振り切らなくても、資本主義が70%・ポスト資本主義が30%と混ざった企業や個人もいますよね。そういった前提に置いて、現在の社会と違うものが同時期に生まれる、存在するということについては、諸手を挙げて賛成するし喜びたいです。

だから、COTEN に限らずいろんな企業やグループが、COTEN とはまた違うコミュニティをつくっていったらいいですよね。COTEN が世界の正解ではないけれど、世界への回答のひとつではある。世界への回答が増えるのは、素晴らしいことだから。

深井:
今いいこと言いましたね。名言出たなあ。資本主義が全部ダメなわけじゃないし、完全になくなるわけじゃないですからね。

飯田:
バリューブックスの創業者である中村大樹も、今の社会にうまく適合できなかった人なんです。大学を卒業したけれどうまく就職できず、家にひきこもっていたときに、大学の教科書をネット売ったらお金になった。その体験から、バリューブックスは始まっています。だから、無理に今の社会に適合しなくてもいい、という感覚が社内にある気がします。以前、新卒で入社希望の学生さんに会った際に「僕、まともに就活をしたことがなくて……」と言われて。そこで気がついたんですが、僕も含め、きちんと就活したことのある人間が社内に数えるくらいしかいなかったんです。

バリューブックスは「今の社会はおかしい、変えたい!」と熱烈に思っている人が集まっているというよりも、今の社会にうまく適合できなかった人たちの集団のように感じます。だからこそ、世の常識だったりルールに対して「本当にそれだけなのかな?」と思えるのかもしれない。

深井:
COTEN もみんな変わってますね。COTEN CREW も、法人も個人も今の社会からしたら変わっている人ばかりなのかもしれない。それぞれが一つの回答として存在して、影響しあっていけたらいいですよね。

飯田:
きっと COTEN CREW はみんな、「COTEN を応援したい」という同じ動機を持つ人たちだから、楽しく出会えるんでしょうね。COTEN 抜きで、おたがいに協業していくことがあってもいいわけですし。主催者側としても、招いた人たちが勝手に繋がり合っていくって、嬉しいことですよね。

深井:
めちゃくちゃ嬉しいです。どんどん COTEN CREW どうしでも繋がっていってほしいですね。そんなコミュニティになったらいいなと思っています。

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