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バーベキューで、公園に日常生活をおびき出す | バーベキューアンドコー 成田收彌 × COTEN

株式会社COTENの挑戦を応援してくださる、法人COTEN CREW企業の皆様をご紹介します。
COTENを通じて人文知に投資することを決めた彼ら。
日頃、どのような問題意識を持って活動されているのでしょうか。

今回は、株式会社バーベキューアンドコー 代表取締役の成田收彌(なりた あつや)さんです。

※COTENには、メンバー同士がフラットに「タメ語」で話す文化があります。その空気感をお伝えするため、今回のインタビューはタメ語&ニックネームで実施し、記事もそのままお届けします。

成田收彌(なりた あつや)
株式会社バーベキューアンドコー代表取締役・株式会社キャッスルホテル専務取締役。
兵庫県明石市出身、関西学院大学法学部政治学科卒。アメリカンフットボール部出身。
大学卒業後、飲食業・ホテル業に従事した後、2008年より家業の株式会社キャッスルホテルで勤務。P-PFI制度に代表されるパークマネジメントの領域で事業展開を進めている。

仕事はリクエストベースで決める

COTENインタビュアー(以下、ーー):あっちゃんの会社バーベキューアンドコーはどんな事業をしているの?

成田收彌(以下、あっちゃん):明石海峡大橋や淡路島が一望できる大蔵海岸の「ZAZAZA」など複数のバーベキューの場を運営してる。でも、ただバーベキューをするだけの場所を提供しているんじゃなくて、コミュニケーションや付加価値となる何かを掛け合わせた体験も提供できる場を作っているんだ。
もともとは、おじいちゃんの代からのホテルキャッスルプラザの一部門だったところから僕が任されて独立した。大学卒業後、僕は飲食店に就職して店長、そしてホテルマンと経験を積んでから家業のホテル事業に入ったんだ。先代のおじいちゃんの歴史があったから、僕自身ホテルからバーベキュー事業に移ることに抵抗はなかったよ。

ーーおじいちゃんの歴史?どんなおじいちゃんだったの?

あっちゃん:知り合いに誘われてマッチ工場の見学に行き、その晩のうちに工場の図面を引いてマッチ工場を始めた。その後は映画館の緞帳広告からヒントを得て日本初のマッチ広告事業、下水処理技術の開発、大企業に事業売却、不動産業と次々に異業種事業を展開していって。

ーーおじいちゃんは一代ですごいね。一人の人?っていうくらいいろんなことをやっていて。

あっちゃん:そうなんだよね。で、「みんなが難しいっていうんだったら宴会場やレストランのあるホテルをうちが作るわ」って言って明石市でホテル業を始めた。なかなかここにはホテルができなかったんだ。神戸、大阪、姫路が近いからという理由もあって。でも地元ではホテルを作りたいという要望があったから。

ーーあっちゃんのおじいちゃんは地元のリクエストをいち早く拾って、それを実現していったんだね。

あっちゃん:そうだね。親父も僕も人々からのリクエストに応えていくところはおじいちゃんから受け継いでるかな。そうすると、未知の領域に踏み出すことになるから収益とかの計算が立ちにくいんだけど、「計算が立たないからやりません」という自分と「計算の外に飛び出してなんとかしよう」と思う自分と選べる時に、どちらが自分のことを好きでいられるか問題が発生して。

ーーどっちのボタンを押すかってことだよね。

あっちゃん:そう。最初はめちゃめちゃ計算したり考えたりするんだけど、最終的にはコールされたら応えて仕事にしていく。

ーーおじいちゃんのDNAがあっちゃんにも受け継がれているんだ。

合理を追求した先には美学がある


あっちゃん:例えばAとBの道があって、常識的にはみんなAを選びますっていう時に、自分がBを選ぶメンタリティって何だろうって考えると、僕の場合はこれだ!と気づいたことがあって。
ーーそれは何?
あっちゃん:Bを選ぶメンタリティは美学だってこと。「親父から教わったからBを選ぶ」とか、「学生時代の仲間と約束したことがあるからこの局面で僕はAは選べないんだ」、みたいな。言い換えると、損得を超えた判断基準を持っていることなんじゃないかなって。
ーーなるほどね。
あっちゃん:自分の美学を言語化してみると、「誰かの困りごとの解決になるのであれば、難しい内容のリクエストにも真摯に向き合って考える」みたいなことかなと。自分らしさが最後に残るところだなって。でも、最初から美学を追求すると即死するっていうか、いきなり美学にいくんじゃなくて、まず合理的にめちゃくちゃ追求して調べて、なんとかできないかを検討する。そして、最後の瞬間にいろんな思いがこもるってことをしている気がする。

ーー単なる合理性だけで考えると、ほとんどの人が選択しないところにあっちゃんの意思を込めて、「いや、こっちだ」ってやるところがおもしろいってことかな。

あっちゃん:まさにそう。そして、最終的に踏み込むかどうかの僕なりの判断基準もあって。

ーーどんな判断基準?

あっちゃん:「おもしろいんだ」ということを言語化できるかどうかということ。自分が感じとっているおもしろさをフィーリングの状態でしか言えない時は共感してもらえないから、いくべきじゃない。

ーーなるほどね。合理性を超えたおもしろさみたいなことが言語化できた時に、勝てるんじゃないかと思うってことか。

バーベキューはコミュニケーションだ

あっちゃん:「バーベキューはコミュニケーションだ」という言葉も、パッと出てきたんじゃなくて、「こいつで戦おう!」と思ったんだ。バーベキューは料理名でもシーンでもないコミュニケーションなんだよね。そして、なぜコミュニケーションをする必要があるのかって考えた時、すごく大事なことに気づいたんだ。

ーーすごく大事なこと、それは何?

あっちゃん:相手の気持ちに立って考えること。
もう少し詳しく説明すると、そもそも人同士の価値観ってすり合わないものだと思っている。一方がもう片方の価値観に合わせる振りをするんじゃなくて、「私たちは価値観や意見が合う訳ではないけど、この塊肉を分け合った関係だ。私だけの利益を考えると世の中○○になったほうが良いが、それはきっとあなたにとって不利益だろうから、○○をそう簡単には選ぶことはできないな。」と考えられるようになること。それが相手の気持ちに立って考えることなんじゃないかな。

あっちゃん:まとめると、同じ肉の塊を分け合ったという記憶の共有が、関係を今までと違うものにするということをバーベキューで伝えたいんだよね。
そして、ホテル業をやっていたおかげでもう一つ大事なことに気づいたんだ。

ーーそれは何?

あっちゃん:海外から来てうちのホテルを利用してくれた多くの観光客の方が、「観光は楽しかった。でも、日本人が普段どんな生活をしているのか分からなかった」と言って帰るんだ。日本には建物から日常生活がはみ出しているところがあまり存在しないんだよね。

ーーどういうこと?

あっちゃん:これはCOTEN RADIOから学んだことのひとつなんだけど、日本がプライベートとパブリックという概念をインストールした時、プライベートを閉ざしてしまって。パブリックでは極端に行儀良くなってしまって、公私の中間がない。だから公園というパブリックスペースに人々の日常生活をはみ出させるために、バーベキューを使っておびき出そう、公園をシェアリングガーデンにしようと僕は考えた。そうすれば家には人を呼べなくても近所の公園でおもてなしすることができる。そこが地域らしいご飯を振る舞ったり、地域や自分の仲間を紹介できる場になるはずだって。

ーーなるほど。法人COTEN CREWになったこともあっちゃんの中ではつながっているの?

あっちゃん:そうだね。1年くらい前にNewsPicksでCOTENを知って、COTEN RADIOを聞き始めた。自分の人生を振り返ると、中学受験以降はあんまり勉強してこなかったなというのが自分の中にあって。中高時代はバスケットボールに熱中して、大学からはアメフトに転向。大学卒業後はハードワークに明け暮れて。教養を身につけることを意識したことがあんまりなかったんだ。
だから「COTEN RADIOを聞いていたら、賢くなれるかも」って思った。もちろん、単純に番組がおもしろいっていうのもあって、最初の放送から追いかけ始めたんだ。聞き続ける中でひとつだけ決めていたことがあったよ。

ーー何を決めていたの?

あっちゃん:法人COTEN CREWになるかの判断は最新回まで全部聞いてからにしようってこと。僕が個人的に聞き続けるだけでもよかったんやけど、COTENは世の中を作り変える社会実験をしてるんだなってすごく思って。全貌は僕にはまだわからないけど、違ったアプローチで僕も同じようなことを考えている気がしていて。COTENは何かを変えたい、世の中がこういうふうになったらいいのにって思ってそうな感じがしたから。世界史データベースができて使えるようになることも待ち望んでいるよ。

(編集:株式会社COTEN 内山千咲/ライター:坂本リサ


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