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民泊日記 3

家族の次に待っていたのはそう、VS.お役所でした。
商売するなら避けて通れません。
民泊開業のマニュアルは多岐にわたり、しかも長くて複雑。
そして、商売をする私たちだけではなく、お役所の人もまた人間。
あんな複雑なものを、100%ちゃんと理解出来てる人間なんて
この世に多分いないんじゃないだろか?
申込書を取り寄せ、必要事項を書いて書類をそろえて提出(大変だった!)
何もなければ受理まで2~3週間、という期間を大幅に超えた頃
役所から電話。
「消防署の許可証が入ってないから受理出来ない。出してください。」
いや、それね、私も気になっていたんです、宿泊業だし。
でも、書類のどこにも、提出書類のチェックリストにさえも、
消防署の許可証とは書いてないですよ?
「開業マニュアルの○ページに書いてあるんですけどね」
あわてて開いてみたらあった、長い長いマニュアルの最後の方に
消防法については、最寄りの消防署にご相談ください、とたった一言。
あの、せめて提出書類チェックリストに「消防署許可証」って、
付け加えてもらえませんか?
「ええ、載ってないです、すいません。でも出してください。」
よく怒らなかったねえ、私ならキレる、と友人に言われましたが
さすがに50年生きてきて、若い頃は公務員経験もあるからわかります。
電話をくれた人は、マニュアルやチェックリストを作った人じゃないから
不備があっても勝手に直せる立場じゃないんですよね。
だからいちいちこうやって電話で説明してる。公務員とはそういうもの。
仕方がないから消防署に検査を依頼すると
今度は消防署の書類にはお店の名前を書け、と所長さんがおっしゃる。
民泊は正式には個人名で登録だから、店名はいらない(マニュアル記載)
と言っても、そんなはずはないの一点張りなので、
急遽、名前をCoteauに決定(はっきり決まってなかった)して記入。
しかしその書類が役所に回ったら
「店の名前は書かなくていいと言ったでしょ」と担当者からまた電話。
あのもう私、どうしたらいいの?
その後も、マニュアルのどこをどう読んでも
我が家の広さなら4人の宿泊定員は、後日現地視察に来た別の職員さんの
「この広さなら6人だね」の一言で書き換えられ、
(慌てて寝具を追加購入した)
水道設備の基準をまるでわかってない若い保健所のお兄さんに、
役場にいってあなたが確認を取ってこいと言われて走り回り、
(後で調べたらそれはそのお兄さんのお仕事だった!)
いやもう、本当に大変でした。

でもね、あのね、
あんな複雑なものをちゃんと理解している人間は
やっぱりいないんだということは、わかりました。
しかも、民泊制度はまた立ち上がったばかりなのです。
いちいち腹を立てたところで何も始まらない。
余計な怒りは回避出来るようになったんだなあ、私。
ダンナともめた時も、若いときなら計画が破綻するくらいの
大げんかになったかもしれないけれど
ちゃんとそうならないように回避しながら自分を主張できた。
歳を取るのも悪くないなあと、思います。

とにかく消防署の一件で、宿の名前が決まりました。
Coteauは、フランス語で「高台」という意味だそうです。
うち、坂を上った高いところにあるのでピッタリだから、まあいいか。

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