23. 斜位の既往のある恒常性外斜視は,既往のない症例より,術後の大まかな立体視が優れていたが,間欠性外斜視と比較すると立体視が劣っていた

Binocular status after surgery for constant and intermittent exotropia

Wu H, Sun J, Xia X, Xu L, Xu X. Am J Ophthalmol. 2006 Nov;142(5):822-6. doi: 10.1016/j.ajo.2006.06.045. Erratum in: Am J Ophthalmol. 2007 Jan;143(1):201. PMID: 17056364.

目的:間欠性外斜視;X(T)の患者と同様に間欠性外斜視の既往を持つ恒常性外斜視患者が術後二重固定を達成できるかどうか,またX(T)の既往を持たない患者よりも術後の感覚的転帰が良好かどうかを検討すること。

デザイン:前向き比較臨床研究。

方法:間欠的または恒常的の外斜視を有する63人の患者を3群に分けた。X(T)(第1群),X(T)の既往がある恒常性外斜視(第2群),X(T)の既往がない恒常性外斜視(第3群)であった。手術成績は3群間で別々に評価し,運動面と感覚面を比較した。運動的アライメントの成功は,8Δ以内(exoまたはeso)と定義された。60秒以下の立体視をbifixation(両中心固視)とし,800秒以下の立体視をgross大まかな立体視とした。

結果:第1群,第2群,第3群のアライメント成功率はそれぞれ79%,71%,67%であった(第1群vs第2群,P = 0.826; 第1群vs第3群,P = 0.551; 第2群vs第3群,P = 1.000 )。第1群の25名(74%)が両中心固視を達成し,第2群,第3群では達成しなかった(第1群vs第2群,P = 0.001,第1群vs第3群,P = 0.001)。一方,第1群の34名(100%),第2群の11名(79%),第3群の5名(33%)が大まかな立体視を達成した(第1群vs第2群,P = 021;第2群vs第3群,P = 025;第1群vs第3群,P = 0.001 )。X(T)群では,2つの恒常性外斜視群に比べ,両中心固視と大まかな立体視の両方で有意に良好な感覚面を得た。2 群の患者は 3 群の患者よりも大まかな立体視において良好な感覚面の結果を示した。

結論:X(T)の既往のある恒常性外斜視患者は,X(T)の既往のない患者より,術後の大まかな立体視が優れていたが,X(T)の患者と比較すると,両中心固視と大まかな立体視が劣っていた。X(T)が悪化した恒常性外斜視患者は,治療の最適な時期を逸している可能性がある。

※コメント
間欠性の既往の有無が術後の立体視に及ぼす影響を示しています。間欠性期間がないgroup3の立体視が不良なのは理解できますが,group2の成績が悪いとなると,constantの状態が続くことでその後の感覚面に影響を及ぼす事が示唆されます。
立体視と両眼視はまた捉え方が異なりますが,脳の可塑性や神経回路の再活性化(個人的な考察)を考えると,やはり両中心窩に刺激を与えるというのら重要なことなのかもしれません。

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