132. 高AC/A比調節性内斜視の二重焦点眼鏡の使用は10年以内に大多数の小児で中止され,斜視手術を受けた小児ではより一般的であった

Outcomes in accommodative esotropia with a high AC/A ratio

Reynolds MM, Diehl NN, Mohney BG. Eur J Ophthalmol. 2021 Nov;31(6):3342-3348. doi: 10.1177/1120672120977831. Epub 2020 Dec 24. PMID: 33356527; PMCID: PMC10153757.


目的:小児の高AC/A比調節性内斜視(AET)のアウトカムを報告すること。

方法:1975年1月1日から2004年12月31日の間で,ミネソタ州オルムステッド郡に居住し,調節性内斜視と高AC/A比と診断された19歳未満のすべての小児の医療記録をレトロスペクティブに検討した。

結果:30年間の研究期間中に合計512人の患者がAETと診断され,そのうち395人(77.1%)が完全調節性ET,117人(22.8%)が部分調節性ET,106人(20.5%)が高AC/A比を有していた。二重焦点眼鏡で管理された高AC/A比の患者93人(87.7%)のうち,50人(53.8%)が平均58.7(範囲:5.6-229)か月後に使用を中止した。二重焦点眼鏡を中止したカプランマイヤー率は,3年で24.5%,5年で36.4%,10年で61.4%であった。二重焦点眼鏡を中止した患者は,中止しなかった患者に比べ,斜視手術を受けた割合が高かった(44% vs 18.6%, p = 0.009)。二重焦点眼鏡で管理された高AC/A患者は,使用しなかった患者と同様の立体視を達成し(p = 0.65),手術を必要とする割合も高くなかった(p = 0.13)。

結論:高AC/A比調節性内斜視の二重焦点眼鏡の使用は10年以内に大多数の小児で中止され,斜視手術を受けた小児ではより一般的であった。二重焦点眼鏡の使用は,使用しなかった人と比較して,手術を受ける可能性が高いことや立体視の強化とは関連しなかった。

※コメント
結果の解釈ですが,5人に1人が高AC/Aというのは少し多い印象があります。と思って本文を見てみると,遠見よりも近見が10Δ以上大きい偏位量の場合に高AC/Aと定義しているとのことです。近見加入をして偏位がどのようになったか,もしくは,他の検査等の記載はありませんでした。
これは偽High AC/Aが紛れ込んでいますね。
逆に考えると,この様な内容の論文でもそれらしいカタチで公表されるということです。吟味が大切ですね。

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